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一年生・秋の章<それぞれの一週間>
天然王子と性教育①
しおりを挟む「王子、朝ですよ」
第三王子ライトニングの側近・リーヴェスは、いつも通りの日常に戻りライトニングを起こしに部屋へと入ると、カーテンを開けて陽射しを部屋に取り込んでからライトニングにそっと声をかけた。
「んん……」
リーヴェスの滑らかで安心する声色に反応したライトニングは、眠たい目を擦りながら上半身を起こす。しかしその表情はぼーっとしており、なかなか目を覚まさない。
リーヴェスはそんなライトニングを予期しており、クスッと笑みを浮かべてからすぐさまティーセットを運んだ。
「さぁどうぞ。特製のハーブティーです」
リーヴェスがライトニングにハーブティーを手渡すと、ライトニングは寝ぼけ眼のままカップを持ち飲み始める。
猫舌なライトニングに合わせた飲みやすい温度。ライトニングはあっという間に飲み終えると、パチっと目を覚まして覚醒した。
それを確認したリーヴェスは、笑みを浮かべて王族への敬意を払い頭を下げ「おはようございます王子」と挨拶を始める。
「おはよう。ははっ、やはり朝はこれを飲まないと目が覚めないな。良い気分だ」
ライトニングは空のカップをリーヴェスに渡すと、腕を上に伸ばし欠伸をしてからリーヴェスを見上げ笑みを浮かべる。
「一度に大量に魔力を消費したとお聞きしましたので、体が怠いのではないかと思い、今日のハーブティーは体の回復に効果のある薬草も混ぜてます」
リーヴェスは手際よくカップを下げながらにっこりと笑みを浮かべた。
「たしかに気怠い……体もまだ重くてな。まあでも、お前のお陰で何とかなりそうだ。こうして側近に戻ってくれたしな」
ライトニングは無意識にリーヴェスを見上げて感情の籠った視線を送ると、成熟していない甘い雰囲気が二人を包む。
しかしそれに気付いているのはリーヴェスだけであった。
「…………(王子の声色が甘ったるく、私を見る目が柔らかい。いったい私はどう反応すればいいのか。尊き王族に私ごときが素直に反応してもいいのか……?あまり自惚れないようにしなければな……だがしかし、どうにもこうにも愛おしい気持ちが溢れて堪えるのに必死になる……)」
リーヴェスは必死に身の程を弁えなければと自身を嗜め、ライトニングから視線を外し照れを隠すように咳払いをすると、平静を装いながら口を開く。
「し、しばらくはこの調合のハーブティーを出すことにします。さぁ王子、着替えましょうか。ガウンのままではお寒いでしょう?朝食はこの部屋に持って来させますので」
少しよそよそしい様子のリーヴェスに、ライトニングは目を細め切なげに首を傾げる。
「リーヴェス……どこか、具合でも悪いのか?何だかいつもと様子が違うように見えるが」
ライトニングはリーヴェスの心配をして手を差し伸べると、そっと相手の手に触れぎゅっと指を掴みながら見上げた。下着を纏いガウンだけを羽織ったライトニングの姿も相まってか、ライトニングはさらに意識してしまい顔を真っ赤に染めた。
「っ!!い、いえ、決してそんなことは!私はいたって普通です王子」
上擦った声で不自然に返答するリーヴェス。
「そう、か……?目が泳いでいるが、まぁいい。とりあえず着替えさせてくれ」
ライトニングは少し疑問に思いながらも毛布を捲り全身を露わにさせると、リーヴェスはあることに気付く。
ライトニングの下着は湿っている様子でシミが出来ており、なおかつくっきりと朝勃ちをしていたのだ。
「(朝勃ちは仕方ないとして、あのシミの大きさ……まさか夢精ではっ……!?)」
リーヴェスは目のやり場に困ったのか、わなわなと震えながら真っ赤な顔を逸らし呼吸を荒げる。
「……おいリーヴェス、一体どうした?」
ライトニングは怪訝な表情でリーヴェスを見た。
「い、いえ……その。申し上げにくいのですが」
「なんだ。はっきり申せよ」
ライトニングはムスッとした表情でリーヴェスの手を引っ張ると、こちらを向かせて頬を膨らませた。
「下着が……」
リーヴェスは自身の手で自らの目を覆いながら小さい声で指摘をすると、ライトニングは自身の下着に視線を落とした。
「??ああ、またか……ここ最近、こうなることが多いのだ……起きるとぬるぬるしたものがたくさん出ている。これは一体なんなんだ?」
ライトニングは性の知識が乏しいのか、特に恥ずかしがる様子もなくリーヴェスに問いかける。
「なっ……えぇ?王子、知らないのですか!?(王族の性教育はどうなっている!?)」
「ん?知らないが?疑問に思って前にメイドに問いかけたら顔を赤くして逃げられたのだが」
ライトニングは眉を顰め溜息を吐きながら首を傾げた。
「(うわー……無意識にセクハラしてる)王子、せめて同性に聞くとかしないと。年頃のメイドだと特に困ってしまいますよ」
リーヴェスはライトニングの天然加減に呆れて溜息を吐くと、「失礼します」と言いそっとベッドに座る。
「……これは、恥ずかしいことなのか?」
ライトニングは心底分からないと言いたげに眉を下げ問いかけたが、リーヴェスは決心をしたように口を開いた。
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