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一年生・秋の章 <エスペランス祭>
騙されませんよ!★
しおりを挟む「はーっ……はぁ、はっ……しゃお、くん」
フォンゼルは自身の中に大量に吐き出された精液を感じながら、全身の力を抜いて必死に呼吸をし、切なげにシャオランを呼ぶ。
息を切らせながら名前を呼ぶ姿に、シャオランは思わず相手から目を逸らした。
「惑わすような声で呼ばないでください……本当に悪いひとですね」
シャオランは未だ欲の篭る瞳をチラつかせながら、射精が終わるとずるっと陰茎を引き抜く。
糸を引いた精液が、二人をまだ繋いでいる。それがゆっくり垂れてシーツに垂れていくのと同時に、フォンゼルの後孔からどろっと濃い白濁がこぽこぽと溢れて止まらなかった。
「んっ……」
フォンゼルはぐったりとした様子だったため、シャオランは優しくフォンゼルの頭を撫でてから仰向けにさせると顔を覗き込む。
「大丈夫ですか?」
激しいセックスをしたあとの、シャオランの優しい気遣いにフォンゼルはきゅんっと胸を高鳴らせふにゃっと笑みを浮かべ勢いよくシャオランに抱きつく。
「なっ……!?」
狼狽えるシャオランは、とりあえずフォンゼルを抱きとめて目を見開いた。
「いきなりなんですかもー……」
シャオランはそのままフォンゼルの頭をぽんぽんと撫でると、フォンゼルは顔を上げて不意打ちでキスをしすぐに唇を離した。
シャオランは目を見開き固まる。
「セックスのとき、キスせーへんの、ボクのこと好きちゃうから?」
フォンゼルの問いかけに、シャオランは顔を赤らめて俯く。
「いえ……そういう訳じゃ。というか、僕を好きだと言うのは本気なんですか」
「えー……ボクそんな遊んでそうに見えるんや」
フォンゼルはシャオランのミステリアスな黒い瞳をじっと見つめながら首を傾げると、シャオランの耳元で口を開く。
「……ねー?しゃおくん。ボクの初めて奪ったんやから、責任取ってくれるやんな?」
「っ!?」
シャオランは衝撃の言葉に思わずフォンゼルの体を引き剥がし驚きの表情を浮かべた。
「は……?いや、奪ったって表現!貴方が最初に挿れたのに」
狼狽えるシャオランに、フォンゼルはにこーっと笑みを浮かべる。
「いや、騙されませんよ!本当に初めてだとでも言うんですか!?そんなワケ……」
シャオランは必死にフォンゼルの言葉を否定し信じない様子でいると、フォンゼルの表情は次第に曇り目に涙を溜めていく。
「……(な、泣きそうな顔してますね……なんですかこの圧倒的僕の悪者感!いや僕も酷くしましたが元はと言えば)」
シャオランは思考を巡らせていると、フォンゼルはムスッとした表情でシャオランを睨む。
「ヤり逃げする気なん?ボクは本気で好きやのに……だから襲ったのに……」
フォンゼルの一言でサーッと青ざめたシャオランは、慌てて手を前に出し相手に落ち着くように諭すと口を開く。
「ヤり逃げなんて人聞きの悪いことを言うのはやめてくださいって……。
そもそも好きだから襲うっていう短絡的思考もどうかと思いますが、そこは……僕も結局は言えた口ではないですね……。
いやそんなことより、本当にその……初めてだったんですか?」
シャオランは戸惑いながらもフォンゼルに問いかける。
シャオランが疑うのも無理はない。
そもそもシャオランが好き勝手セックスしたのも、フォンゼルの体にすぐ自身のモノが馴染んだからであって、イコール経験は少なからずそれなりにあると踏んだからである。
それに、フォンゼルは手酷いセックスに感じている様子だったため、そういうセックスに慣れているのだとシャオランは勝手に勘違いしていた。
「信じてくれへんの?」
当の本人は初めてと言い張るため、シャオランは複雑な表情を浮かべる。
「本当に初めてなんですか……だって、あんなに」
「お尻でオナニーしてるゆーたやんか」
「あっ……」
そう言えば言っていたとシャオランは頭を抱える。
「おもちゃで。シャオくんのよりはちーさいけどな……?」
「…………(なら僕は、初めてのひとにあんな抱き方を)」
なんと答えていいかわからなかったシャオランは、すっかり目を細めて気まずそうに黙ってしまう。
「ほんで、ボクMやし、ちょっと酷くされたぐらいじゃご褒美なんやけど」
フォンゼルがそう言うと、シャオランはビクッと体を震わせフォンゼルをゆっくり見つめた。
「ねーシャオくん……」
フォンゼルはそう言ってシャオランを引き寄せ見上げると、意味深な笑みを浮かべながらさらに続ける。
「東方になんか、帰してやらへんよ」
「……!」
シャオランは目を見開き、ドキッと胸を高鳴らせた。
東方では見ない煌めく淡い紫の瞳が酷く綺麗で、自分と真逆な真っ白な髪色が美しい。そんな相手が自分に執着していると思うと、現実味が湧かず何も答えることは出来なかった。
何も言わないシャオランに、フォンゼルは押しが足りないのかと首に抱き付いて頬を膨らませる。
「なー?セックスしたし少しは好きになったやろ?な?ボクやって見た目悪くないと思うし、付き合ってくれるやんな?なぁ?」
フォンゼルはそう言ってシャオランに詰め寄ると、至って本気の表情でそう言い放つ。
「……まったく、そこまで必死になって。僕の何が良いんだか」
シャオランはそう言って溜息をつくと、根気負けしたかのような表情でフォンゼルを見た。
「後悔しないでくださいよ」
シャオランは小さく笑ってフォンゼルの頬を撫でると、そのまま優しくキスをする。
「せーへんし、させへんよ……!(シャオくんからチューしてくれた……!)」
フォンゼルは目を輝かせ、ぼーっとした表情を浮かべる。
「フォンゼルさん、その手はなんです」
シャオランは、まだ勃起したままの自身の陰茎がフォンゼルの手によってキュッと握られていることに気付き眉を顰める。
「まだ、せーえき残ってそやなーて……吸ってもええ?」
「そこまでしなくていいですよ……って返事する前に咥えちゃうなら、聞かないでください」
フォンゼルはシャオランの返事を待たずに、射精したばかりのシャオランの陰茎を丁寧に舐めてから強く吸い上げる。
「っ……」
フォンゼルは中に残っていた精液を吸い取ると口を離し、舌でかき混ぜてから口を開いてシャオランに見せた。
「あー」
フォンゼルの咥内はシャオランの精液でどろどろに糸を引いている状態だったため、シャオランを困った表情を浮かべて顔を赤らめる。
「……ひとの精液で遊んでないで、ちゃんとごっくんしてください」
フォンゼルはシャオランの言う通りに精液を飲み込むと、舌なめずりをし厭らしい笑みを浮かべる。
「飲ませる一択なんや、えっち」
「っ……」
シャオランは自身の失言に口を噤む。
「もう一回せーへん……?」
「……」
「シャオくん勃起おさまらへんし」
フォンゼルは弄ぶようにシャオランの陰茎を上下に扱きつつ、先端を指でぐりぐりと弄った。シャオランは少し悩んだ後、相手の後頭部を支えると、スイッチが入ったように目の色を変えて噛み付くようなキスをした。
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