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一年生・秋の章 <エスペランス祭>

副作用は甘い微熱⑤★

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「はぁっ……はぁ、はっ……」


 シャオランはフォンゼルの口を片手で覆ったまま、じっと相手の目を見つめて腰を振り続ける。
 こんな風に酷くするつもりは無かったはずだったが、欲に忠実に従うと自分はこんなに夢中に貪れるのかと心の奥底で思った。
 シャオランはフォンゼルの細い手首を掴んだままベッドにさらに押し付けると、奥を弄るように腰を押し込む。


「んっ、んんっ……んんっ」


 フォンゼルは抵抗するどころか、目を細め甘い声を漏らし、シャオランが奥に来やすいように力を抜いた。シャオランはそれに気付くと動きを止め、塞いでいた相手の口から手を離す。


「……少しは嫌がると思いましたが」


 シャオランはフォンゼルの耳元でそう言い放つ。


「酷くして後悔させようとでもしたん……?」


 フォンゼルは息を上げながらも問いかけると、シャオランは少し考えるように黙り込む。
 そして、答えが出たのか、少し息を吐いてからフォンゼルの額に滲む汗を優しく親指で拭うと、ようやく口を開いた。


「……少しは、そう思っていたのですが。でも八割は僕の本性かもしれないです」

「本性?」

「僕は、自分の欲望を押し付けるのが好きな性癖のかもしれません。
 いや、きっとそうです。貴方を好きにしている間、全く罪悪感もなくひたすら興奮していたんですから」


 シャオランはそう言って覆いかぶさるのをやめ、フォンゼルの両方の乳首をキュッと強めに摘んでみせた。


「んっ……」


 フォンゼルはピクッと大きく跳ねるように反応を示す。


「こうやって、貴方の体を弄ぶのに快感を感じてます」


 摘んでいた指を離すと、今度は親指でぐりぐりと潰して弄り出すシャオラン。
 最初は痛みに顔を歪めたフォンゼルだったが、それも束の間、痛みの奥から湧き上がる甘い快感を感じ取り、乳首はすぐ硬くなっていった。


「ほんなら……そのせーへき、ボクしか受け止められへんかもよ……?」


 フォンゼルはそう言って小さく笑みを浮かべ、キュッと後孔を閉じ挑発しながらさらに続ける。


「たぶんなー、ボク、Mやと思うんよ……せやから、優しいシャオくんのがこうなの、なんとなく察知したんかもしれんなぁ」

「僕の本質を、気付いたとでも言いたいんですか……こんな短時間で」

「ボク、変なとこで勘がええんよ。せやから、その感覚が君を好きって言ったし、きっと君とのセックスは気持ちいいんやろなぁーって」


 フォンゼルはそう言って心底愛おしそうに笑みを浮かべると、シャオランは少し驚いて目を見開いた。


「ぶっ飛んだことを言うんですね……軽々と恥ずかしいことを……」


 戦いを通じて感じたのは、フォンゼルは思ったままに行動し、発言し、縦横無尽な振る舞いをする自由な性格だということ。遠い東の国から来た自分のことをからかって楽しんでいるだけだろうと思っていたが、彼は自分を本気で好きだと言い張る。
 自由に生きてきた言わば自分とは真逆の存在が、こんな自分を好きになるのだろうかと疑問符しか浮かばないシャオランだったが、今はもう欲望に任せるしかなかった。


「……遊び慣れてますよね、貴方。そうやって色んな人に適当なコト言って、飽きたら捨てるんですか?」


 シャオランは再び腰を動かし、今度は腰を持ってギリギリまで陰茎を引き抜いてから、勢いよく奥まで挿入するようにしてフォンゼルを犯していく。


「ぁっ!あああっ、あっ!」

「良いですよ別に……今だけは貴方に遊ばれてあげますから、その代わり、僕の好きに抱かせてもらいますね」


 フォンゼルは何か言いたげな視線をシャオランに向けるが、激しい挿入を繰り返され出てくるのは甘い声だけだった。


「どうせ、卒業すればまた国に帰るんですから、貴方にとっては良い遊び相手かもしれません」


 シャオランは自分で自分を追い込むような言葉を言い続ける。それに比例するように、激しくフォンゼルを犯し続けた。


「ぁっ、あうっ、ううっ、やぁっ……あひっ、い……うう、ああぁっ」


 この短時間で簡単に堕とされるとは。
 犯しているのは自分なはずなのに、心はフォンゼルに握られているような感覚。
 
 まるで甘い蜜に潜む毒牙にかかったように、フォンゼルの乳首に歯を立て、強く吸いついてはしつこく押し潰しながら必死に舐める。
 乳首は激しい愛撫で次第に赤く充血していき、フォンゼルはさらに甘い吐息を漏らすようになっていった。


「もっと、支配させてください……」


 シャオランは小さくそう囁くと、一度陰茎を引き抜き、今度はフォンゼルを乱暴にうつ伏せにさせ首を押さえる。そして、足を閉じさせそのまま覆いかぶさり挿入していった。


「っひ、あっ……」


 正常位とはまた違った感覚に、フォンゼルはぶるっと体を震わせぎゅうっとシーツにしがみつく。苦しいのも束の間、相手の体で拘束され自分の意思で動かすことのできない体は、簡単にその快感を受け入れた。


「ぁっ……もっ、こんなん反則やってぇ……」


 フォンゼルは上擦った声で唾液を垂らしながら小さくそう叫ぶと、蕩けた表情をしながら振り向く。体を押さえつけながら配慮の無い動きで犯しているののにも関わらず、フォンゼルは気持ち良さそうな表情をしていたため、シャオランは耳元で口を開いた。


「変態……」


 シャオランはフォンゼルを罵りつつも、上から下へと腰を打ち付けていく。
 両手でフォンゼルの腕を押さえつけて腰を動かし、次第に限界が近くなったシャオランはフォンゼルの首やうなじに噛み付いた。


「ひんっ……もうそんなんされたらイっひゃう……しゃおくっ、むりぃ……」

「僕ももう限界です……」

「なかっ、なかにだひて……!」

「そのつもりですよ」


 シャオランはフォンゼルのうなじあたりを強く噛んでから、次は耳を噛んでピアスを舌で転がし口で咥えて軽く引っ張る。
 そして、ギュッとフォンゼルの腕を強く握りながら、「出します」と小さく言って最奥に押し込んだ陰茎から大量の精液をフォンゼルの中に流しこんでいくと、体を震わせたフォンゼルも同時に射精している様子だった。
 フォンゼルは、背中に感じるシャオランの微熱を感じながら、密かに笑みを浮かべるのであった。

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