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恋とか、愛とか②
しおりを挟む「うん、一緒にいたい。これからもずっと」
フィンは目を細め、満面の笑みを浮かべて大事に言葉を紡いだ。
自分より遥かに美しく、尊い存在の“大魔法師”が、こうやって自分に愛を囁くだなんて誰が想像出来ただろう。
最初は信じられない気持ちがあったが、リヒトの深い愛情を感じ、自分が側にいることで笑顔になるリヒトを愛おしいと感じていたフィン。
「…………」
リヒトは、イザックの先祖返りとして恋心を感じない体質だったが、運命の恋人を求め、今こうしてフィンに出会い慈しむ事が出来ている。
愛に関心が無い自分を嫌い、その正体を模索し足掻き、ようやく手に入れたこの感情を、リヒトは余すことなくフィンに注いでいきたいと誓った。
「俺もだよ、フィン。……君がいなければ、一生愛なんて分からずに生涯を終えた。絶対に離さない」
二人は見つめ合い、やがって小さく笑うと、呼吸をするように自然に口付けを交わす。
「さっきの話だけど、早く大人になろうなんて思わなくていい。今の君だって十分魅力的だよ」
リヒトの言葉を、フィンは強く否定をする様に首を横に振った。
「やだ。僕おっきくなりたい。エヴァ様が、チーズを食べたらおっきくなるって!」
フィンは目を輝かせながら、リヒトの髪を泡で包みツインテールの形に遊ぶ。
「(大人になる=大きくなる。という考えが可愛い……それにしても、姉様は適当なことを言ってないか?)」
こうなった以上は、好きなだけ試させてあげようと思ったリヒト。ふぅ、と軽く息を吐き目を細めた。
「……明日の朝はチーズを出してもらおうか。アネモネに言っておこう」
「わーい」
フィンは両手を上げて喜び、二人はしばらくお風呂で話をするのであった。
------------------------------
この気持ちは、恋なのか、愛なのか。
それとも両方なのか。
リヒトは自問自答する。
形容し難いこの溢れ出る本能的な感情は、きっと恋だ。
無責任に相手を好きになり、もっと知りたい、もっと欲しいと求める感情。
それなら、愛は?
「……見返りを求めず、与えることで幸福感に満たされ、自己犠牲も厭わない感情」
イザックの手記に残された、愛の本質について語られた一文を無意識に口にするリヒト。
「愛のはなし?イザック様の手記だ」
フィンは、エヴァンジェリンからイザックの話を聞いてから、リヒトの書物庫でイザックの残した手記を見たため、リヒトの言葉の意味を瞬時に理解する。
「読んでたの?よく分かったね。イザックの手記を読んだ時、当時の俺は全く理解出来なかった。それが、君と出会ってようやく理解できたんだ」
リヒトはベッドの上で横向きで肘を立て、片方の腕で頭を支えている状態で、横で仰向けに寝転ぶフィンの頭を撫でた。
「ただ、俺が手記を書くなら……うん、冒頭を変えるかな。“愛し愛されたいと強く願い”に書き換える。俺は欲深いから、きっとこれからもっと君からの愛を欲しがるだろうから」
リヒトが堂々と言うと、フィンはリヒトから目を逸らし照れた表情を浮かべる。
「愛って、どうすれば伝わるのかな?」
フィンは純粋な眼差しで、はにかみながら問いかけると、リヒトはすぐにフィンに顔を近付けた。
「こうすれば伝わる」
一瞬でフィンの唇を奪ったリヒトは、不敵な笑みを見せながらついでに頬にも唇を落とす。
「!?」
フィンは不意打ちを二回もくらい、「むー」と唸りながら照れ隠しで毛布を被り顔を隠した。
「……ね、リヒト。リヒトは僕しか愛したことないって言ってるけど……」
フィンは毛布を被ったまま、少し拗ねたような声で話をする。リヒトは首を傾げ、毛布の上からフィンのお腹あたりを撫でた。
「ん、そうだよ?」
リヒトは首を傾げる。
「……なんかすごーく慣れてる気がする」
フィンはくぐもった声でそう言い放つと、リヒトは困ったように笑った。
「慣れてる?君にしたいな、と思ってることをしてるだけだよ」
リヒトは大人な笑みを浮かべながら毛布を軽く引っ張るが、フィンがすぐに戻すため、まだすっぽり隠れたまま姿を現さない。
「そんなもんなの……?大人だから?」
フィンは毛布から少し顔を出し、チラリとリヒトの様子を伺う。
「……フィン。俺が他のエルフとしていたと思ってる?」
確かに、そういった行為をする事で愛情が芽生える可能性があるかもとは考えたが、そもそも興味を持たない者に対して扇情的な気持ちを持つ事が不可能だったため、実戦すらしていない。
「ちがうの?」
「違うよ。フィンとしかできない」
リヒトは真顔で言って退ける。
「…………~っ」
聞いた自分が恥ずかしくなったのか、フィンは再び毛布で赤くなった顔を隠し、リヒトはそれを見て楽しそうに笑うのであった。
END
シリーズ二作目に続きます!
---------------------------------
皆様、ここまでご愛読ありがとうございました!
大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。
は、一作目の区切りをここで終わらせたいと思います。
フィンの学園生活を描いた二作目に関しては、7月末頃(未定ですが、もっと早いかも知れません)より連載を開始する予定なので、引き続き応援頂ければと思います。
二作目のタイトルですが、
大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。~魔法学院編~
になります。
二作目は一作目よりもっと長くなりそうなので、また気長にお付き合いいただければと思います!
ここまで応援いただきありがとうございました&これからもよろしくお願いします!
みるくくらうん
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長くなりましたが、これからも応援していますᐡ⸝⸝› ·̫ ‹⸝⸝ᐡ💗
雛菊様>コメントありがとうございます😊
私自身も、リアルが大変な時は更新ができず長らく放置気味な時期もあり、長期的に続けて更新できるような状況ではない時もあって……雛菊様のようなご愛読してくださる方のコメントを見ると俄然「更新せねば!」とやる気が出てきます☺️💖本当に嬉しいコメントです!
まだまだこれからも続編を書いていく予定なので、また気が向いたらお立ち寄りください♩