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好きと言えた日②★
しおりを挟む別邸に戻ったフィンとリヒト。
パタンと扉が閉まると同時に、リヒトはフィンを思い切り抱き締めた。
込み上げるフィンへの愛情が、溢れて行き場を失い、フィンに掬って欲しいとせがむ。
「わっ……」
フィンは突然の抱擁に、少し顔を赤くさせながら驚いた表情を浮かべた。
リヒトはそのまま何も言わず、無言でフィンの髪の匂いを嗅ぎ、首元にも鼻を当てて深く呼吸をする。
「いい匂い」
リヒトは小声でそう呟くと、フィンは耐えきれず身を捩らせた。
「リヒト、くすぐったいっ……」
リヒトはパッと顔をあげ、フィンの手を指先でさする。
「俺も、フィンと手繋ぎたい」
「え、あ……」
リヒトはフィンの両手と自分の両手を重ね合わせ、恋人繋ぎをしながら見つめ合った。双子と手を繋いだ時とは違い、甘く痺れるような感覚に、フィンはぎゅっと目を瞑る。
普段の愛を囁く甘い雰囲気のリヒトの姿は、自分にだけだったと本邸で気付いていたフィンは、その雰囲気が押し寄せているのを感じ心臓を高鳴らせた。
「目、開けてよフィン。俺のことをちゃんと見て」
リヒトに甘く低い声でそう言われ、目を開け俯き加減でリヒトを見つめたフィン。
「うぅ……(ちかい、でも綺麗)」
フィンはそんなことを考えながら、小さく揺らぐ瞳で、リヒトの銀色のまつげを眺めていた。
リヒトは庇護欲をそそるフィンの顔をまじまじと見つめ、どんどんと湧き上がる独占欲に抗えず口を開く。
「どうしようもないくらいに好きだ。君が愛おしくて堪らない……」
「っ……」
リヒトは赤くなっていくフィンの顔を満足そうに眺めると、「俺のフィン」と小さく呟き、優しくキスをした。
「んむっ……」
突然唇を塞がれも、注がれる愛情に目を細めながら受け入れるフィン。
リヒトは柔らかい唇の感触を楽しむように啄むと、ぺろっと唇を舐めてそのまま体を離した。
真っ赤な顔で狼狽えるフィンをお姫様抱っこをし、リビングに向かう。
「っも、歩けるよ僕……」
フィンは恥ずかしそうにリヒトを見上げる。
「俺は君を甘やかさなきゃ気が済まない」
「うう……」
リヒトはフィンの体を眺める。
シャツから覗く白い肌に、ハーフパンツから出る細いふくらはぎ。今すぐにでも全部脱がしたい衝動に駆られるが、まだ保てている理性でグッと抑え込んだ。
そんな葛藤を知らないフィンは、リヒトに何気なく笑顔を向ける。
「あ!リヒト、あの、お仕事お疲れさま」
フィンは、仕事をしてきたリヒトを労うと、リヒトはコクリと頷き優しく微笑む。
「ありがとう。……君に早く会うために急いだつもりだったが、思ったよりも時間がかかった。任務地が少し遠くてね」
「どんなお仕事なの?」
フィンは首を傾げ、じっとリヒトを見上げる。
「今日はそうだね……東の森で熊を倒したよ。大きい熊」
「えっ」
「火を吹いてた。なかなかだったかな」
「えぇっ!?」
フィンは、王都は変な熊がいるのだなぁと驚いた様子だった。
リヒトはリビングにつき、フィンをソファーに座らせると、パチンと指を鳴らす。
すると、テーブルには皿に乗った大粒のチョコレートが一粒現れ、フィンは満面の笑顔を浮かべた。
「わぁ!」
「約束、今日の分のチョコレートを食べよう」
リヒトは上着を脱いでフィンの横に座り、フィンの額にキスをした。
「っ……覚えててくれたんだね」
フィンは心臓をドキドキさせながら、キスをされた額を手で押さえて嬉しそうに笑う。
「忘れるわけがないよ。君のお願いだからね。さ、こっちにおいで」
リヒトはフィンを持ち上げると、靴を脱がせて向かい合わせになるように自分の太腿の上に乗せた。
「な、なんかこれ、はずかしっ……」
「もっと近くにきて」
リヒトは股間部分にフィンのお尻が乗るように腰を持って引き寄せると、そのまま左手をフィンの後ろ腰に添えて支える。
「(っ……お尻に、リヒトのちんちんが当たってる)」
フィンはどんどんと厭らしい雰囲気になるリヒトにもじもじしながらも、リヒトの肩に手を置いて座り続けた。不意に、お尻に硬い感触を感じ、思わず顔を赤くし俯く。
「どうかした?」
リヒトはニィッと口角を上げ、わざとらしく質問をする。
「っぇ、な、なんでもない……」
フィンは首を強く横に振ると、下唇を噛みながら目を潤ませた。
リヒトはその様子を見て、興奮した表情でパチンと指を鳴らしチョコレートを引き寄せて摘む。
「はんぶんこ、しよっか。食べて」
リヒトはそう言ってチョコレートを半分咥え、「ん」とフィンに顔を近付ける。
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