大魔法師様は運命の恋人を溺愛中。

みるくくらうん

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シュヴァリエ家の双子②

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「フィンちゃん、こっちがシエルで、こっちはノエル。シュヴァリエ家の末っ子よぉ!」


 エヴァンジェリンはシエルとノエルを紹介する。銀色の髪と桃色の瞳で、リヒトが幼い時はこんな顔だったのかと思えるような風貌。そして何より、シエルとノエルは全身そっくりだった。


「フィンです、よろしくお願いします!」


 フィンはすっとしゃがみ、シエルとノエルに優しく微笑む。


「「…………」」


 人見知りなのか、シエルとノエルはおどおどした表情でフィンをじっと観察していた。どちらもエヴァンジェリンのドレスを掴み、フィンの様子を伺っている。


「……?」


 フィンは笑顔のまま手を振ってみる。


「「…………」」


 双子はじーっとフィンを見つめるだけで、何も喋らない。


「ごめんねフィンちゃん。この子達本当に人見知りで。でも逃げないのは珍しいわね」


 エヴァンジェリンはシエルとノエルの背中をそっと押して、フィンの前に立たせた。双子は恥ずかしがってエヴァンジェリンの周りをうろうろと走り回る。


「こーら、走らないの!いい子だから、フィンちゃんに自己紹介して」


 エヴァンジェリンの呼びかけに、双子はピタッと足を止めてフィンの前に立ち、同時に口を開く。


「しえるです」

「のえるです」


 可愛らしい声に、フィンは首ったけの様子で双子を見た。


「(か、かわいっ……!あれ?でも、さっきエヴァンジェリン様は、こっちがシエル様でこっちがノエル様って言ったような……)」


 エヴァンジェリンの紹介とは違い、お互いの名前を名乗った双子に、フィンは首を傾げる。


「あの、こちらがシエル様で、そちらがノエル様じゃないのかな……?」

「!」


 フィンはふにゃっと笑みを見せ双子に尋ねると、双子は目を見開いた。そしてすぐにエヴァンジェリンを見上げ、嬉しそうに笑みを浮かべる。


「ぼくたちのこと、わかるんだ!」

「わかるんだ!」


 エヴァンジェリンも驚きの表情でフィンを見た。


「すごいわね、初めての人は分からないことが多いのに!この子達を見分けられるの?」


「えっ、はい、なんとなく違うのでわかります!」


 双子は超高速でぐるぐると走り回り、再びフィンの前に立つ。


「えっ?えっと、右がシエル様で、左がノエル様ですね」


 フィンは双子を瞬時に当てて見せ、エヴァンジェリンは口をあんぐりと開けた。
 双子は嬉しそうに飛び跳ね、フィンに同時に抱き付く。



「「ふぃん、だーいすき」」

「!?!?」


 すぐに懐かれたフィンは、嬉しそうに双子に抱き付き返す。


「(フィンちゃん、只者じゃない!)」


 エヴァンジェリンはますますフィンを気にいるのであった。
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