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クロワッサンとキッシュ①
しおりを挟む「……んん」
王都に来て3日目の朝。
フィンが目を開けると、リヒトが寝息を立てて眠る姿が目に飛び込む。まるで抱き枕かのように自分を抱きしめて眠っており、起きる気配は無い。
昨晩の夕方から夜にかけて行われた激しい行為が、まるで無かったかのようにベッドは綺麗になっており、フィンは自分が質の良いシルクの寝間着を着させられていることに気付いた。
「(もしかして、散々泣いた後のアレって夢だったのかな!?)」
フィンは目を見開き心臓をバクバクとさせ記憶を思い返す。路地で思わず号泣しリヒトに宥められ、そのあとは……。
「(そう言えば噛まれたっけ)」
指で首を撫でるように確かめると、うっすらと歯形がついていることに気付き、やはり昨晩の事は夢では無いと実感した。
「夢じゃなかった……」
フィンがぼそっとそう呟くと、リヒトはぱちっと目を覚ます。
「!?」
フィンは驚いてビクッと体を震わせ、気まずそうにリヒトを見つめた。
「あ……」
「おはよう。起きたのか、フィン」
リヒトは愛おしそうにフィンを強く抱き締めると、胸元にフィンの頭を持っていきふわふわと髪を撫でた。そして額に唇を落とすと、じっとフィンを見下ろす。
「っ……お、おはよ」
フィンは赤い顔でリヒトに返事をすると、リヒトは嬉しそうに笑みを浮かべ、フィンの頬に口付けをしそのまま少し起き上がり耳元で囁いた。
「……体は辛くない?」
「っ……」
「昨日はもっと丁寧にするつもりだったけど、後半は抑えが効かなくて」
リヒトの言葉に、フィンは耳を真っ赤にしてプルプルと首を縦に振る。
「だいじょうぶ……(すごく気持ち良かったのは覚えてるけど、そんなの言えない)」
「ん。良かった……」
リヒトは肘をついて横向きになると、フィンのお腹を優しくさする。この中に自分のモノが蹂躙したことを思い出し、満足そうに笑みを浮かべた。
ふと部屋にかかった時計を見ると、時刻は9時過ぎを指している。
「今日は俺は仕事なんだ。まだ時間はあるし、一緒にゆっくりとご飯でも食べようか」
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身支度を終えた2人は、小さな食卓に着席する。魔法人形がせっせと朝食を用意し、それを綺麗に並べていった。
焼きたてのクロワッサンに、フレッシュなサラダとレモンが入ったキッシュ。温かい紅茶が注がれていくと、フィンは緊張した面持ちでそれを眺めた。
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