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運命の恋人

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「あ、あれえええぇえ!?」


 朝になると、フィンは自然に目を覚ました。大きなベッドから体を起こすと、全裸なことに気付き毛布に包まる。


「起きたようだね」


 フィンの声に気付いた男は、扉を開けて優しく声をかけると、横に座り頭を撫でた。
 白シャツに、金の糸で刺繍がされた薄めの青の長ズボン。持っていた青のジャケットは適当に椅子に掛けていた。


「お、起きました!ごめんなさい、昨日はあのまま寝てしまったようで」


 フィンは顔を真っ赤にしながら俯き、自分の醜態を恥じた。まるで幼児おさなごのように寝てしまい、迷惑をかけた事を謝る。


「気にしなくていい。魔力を使いすぎたんだろう。そして、もうここは君の家でもあるんだ、好きにするといい」


 男は軽く笑みを浮かべ頭を撫でると、優しく額にキスをした。


「へ?」

「君が求めたのは教科書だけじゃなく、住む家もだろう。ここにいるといい」


 男は洗練された柑橘系の香水を香らせながら、フィンの耳元でそう囁く。
 まるで愛し合っている恋人のような振る舞いに、フィンは動揺しながら毛布に包まり顔を隠した。


「そ、それは申し訳ないので……」


 フィンは男の提案に首を強く横に振った。


「なぜ?恋人なら一緒にいるべきだ。君があの扉を開けたからには、もうどう足掻いても君は俺のものだ。他に行くことは許さない」


 男は当たり前だと言わんばかりにフィンにそう言うが、フィンはこの展開についていけてない。


「あの、昨日も言ってたその……恋人ってなんで、僕が、貴方の、?」


「……そもそも昨日は休館日だ。それでも扉は君を招き、堅牢な守りが施された俺の屋敷に通した。あの本棚達は侵入者を許した事はない。それでも君を傷付けずにすんなりと通したと言うことは、俺が君を心から望んだからだ」


 男はフィンが被る毛布を剥ぎ取り、少し乱暴に押し倒して愛おしそうに笑みを浮かべ見下ろす。
 フィンは服を着ていないため、白い肌を男の前に晒すことになり、恥ずかしさのあまり顔を手で覆った。


「う、あ、何するんですか、僕何故か全裸だし、王都に来たばかりでこの状況、全然飲み込めないです!僕みたいな平凡な田舎者を、恋人にするって正気ですか……?」



 男はフィンの言葉を聞き、首に軽く歯を立てる。


「わっ……」


 フィンは目を見開きビクッと体を震わせる。



「君だって、俺を望んでいるはずだ。そうじゃなきゃ本棚達は君を通さない」


 男はさらに、フィンの体に指を滑らせ脇腹を撫でる。


「それに、ではない。んだ。これは絶対だよ、分かってる?」


 男は低い声でフィンに質問した。

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