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運が悪い日④
しおりを挟む「お前はカラスと踊ってろ、クオンの劣化版」
「チッ……誰が劣化版だクソ鬼!」
アサヒはカラスの大群に飲まれるが、爪や尻尾で応戦し確実にカラスを仕留めていく。黒妖怪を放出している間骨釘の攻撃が止んだため、ナツメは慌てて声を出した。
「カゲロウ、ヒサトさんのとこに連れてって!」
「分かった」
ナツメはカゲロウの腕から離れヒサトの近くへ駆け寄ると、ヒサトは呪詛返しの影響で体にダメージがあるのか、言葉を発することが難しくなっていた。
「ヒサト……!すまない、ワシの所為で」
ゲンドウは悲しみに満ちた表情を浮かべ、苦しそうなヒサトを見つめ涙をグッと堪えた。ヒサトは呼吸もままならず、最早何も見えていない虚な瞳でゲンドウを見る。
「兄さ……ゲホッ、僕、は、大丈……」
ヒサトは自身の体が壊れつつあることを悟りうっすら笑みを浮かべるが、ゲンドウはヒサトの頬を撫でるとナツメの方を向いた。
「鬼の起源である閻魔の力を借りた状態の酒呑童子はかなり強い。かなりの密度の瘴気を酒呑童子から感じる。あの状態の酒呑童子から供給される瘴気ではヒサトの肉体が耐えられぬだろう。
加えてワシの所為で呪詛返しのダメージも負っておる。ここまで酒呑童子と繋がっているとは……」
「……」
ナツメはゲンドウの言葉を真顔で聞いていたが、何かに気付いたように目を見開いた。
“それでも救える手立てはあるか”と言葉の裏に隠されたゲンドウの気持ちを汲み取ったナツメは、覚悟を決めた表情を浮かべる。
「あのさ。一個だけ、方法があるかもしれない」
ナツメはゲンドウにそう言い放つ。
「……本当か」
ゲンドウは思わず目を見開く。
「本には正直解決方法は書いてなかったんだ。でも、ヒントはたくさんあった。まず、妖力が空っぽになった妖怪は絶対に自分の意思で喋ることは出来ない。普通ならダイダラボッチみたいに理性を失って知性も下がるし、ただ瘴気としての生存本能だけでしか戦うことが出来ないはず。
だから、ヒサトさんは間違いなく妖力がまだ残ってる。どこかに、微かに残ってる。だからそれを引っ張り出したいんだ」
ナツメはギュッとヒサトの手を握ると、希望に満ちた瞳で見上げ続けた。
「ナツメ、理論は分からんでもない。じゃがヒサトの場合はその僅かな妖力を自分の意志で目覚めさせ、さらに増幅させることなどできる状態ではない」
「ヒサトさんの妖力じゃなくても良い」
「……何?」
ゲンドウはピクッと反応するとナツメは何を考えているのか分からず呆然とした表情を浮かべる。
「お喋りとは随分よゆーなこったァ、ニンゲン様。いい加減、神様の真似事はやめておけよ」
酒呑童子は再度骨釘を地面から突出させると、ナツメはバランスを崩し地面に膝を突く。
「っつ」
「ナツメ!」
「骨釘っつーのは、ただの骨で攻撃してる訳じゃねぇのよ。これは俺が眠っている間に考えた神通力に対して対抗するための技だ。魂縛呪は魂を持つものにしか発動しねぇし、神通力は予め分かっていないと使えない。どこから飛び出してくるかも分からない物をお前は止められない。そうだろ、ニンゲン」
「っ」
結界はあくまでも一時的に瘴気を弱めるだけ。物理的な力まではどうにも出来ない。カゲロウは瞬時にナツメを抱えると骨釘を刀で薙ぎ払い、それを見たアサヒが自分の方へ攻撃が向くように再度酒呑童子の方へと加速した。
酒呑童子は再度烏を放つが、アサヒはそれを一蹴する。
「随分と気前良く瘴気を使うなテメェ。そろそろ限界じゃねーのか?」
アサヒはそう言って口を開くと、妖力を凝縮させた閃光を放ちレーザーのような鋭利な攻撃を放つ。
酒呑童子は黒い障壁を瞬時に展開するが、防ぎきれず横にそれ、その際に右腕を負傷する。切り口からは蛇状の瘴気が溢れ傷を癒していった。
「ッ……痛ぇじゃねえかよ、ぶち殺すぞ狐ェ!」
酒呑童子は大声を上げ怒りを表すと、瘴気を放出し角を光らせる。するとヒサトにも大量の瘴気が流れ込み、魂縛呪で動けないはずの四肢が小刻みに震え出す。
「っ、魂縛呪が……早くどうにかしなきゃ」
長い時間魂縛呪で留めていたからなのか、ナツメの力が少し弱まりヒサトの制御が出来なくなるのも時間の問題だと気付き、ナツメはカゲロウの方を見て「連れてって」とお願いをする。
「うん。アサヒの攻撃で骨釘がまた止んだ。今のうちにヒサト様のところに行こう」
カゲロウはナツメを抱え再びヒサトの元へ辿り着くと、ナツメはヒサトに駆け寄り左手首を掴んだ。
「ヒサトさん、聞こえる?あのさ、俺、ヒサトさんのこと助けるから!」
ヒサトは既に表情を作ることが出来ない状態だったが、僅かながら笑みを見せた気がしたナツメはニコッと笑みを浮かべる。
「ナツメ。一体どういうつもりじゃ」
ゲンドウの問いかけにナツメは真顔で口を開く。
「他人の妖力を取り込むことはできないんだよね?」
ナツメはゲンドウに問いかける。
「ああ。一種の拒絶反応が起こり、自身の妖力が反応して押し出そうと一時的に妖力が増幅される」
ゲンドウはそう答えた後ハッとした表情を浮かべた。
ナツメはニッと笑いゲンドウを見ると、ゲンドウは困ったように額に指を当てて考える仕草をする。
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一気読みしたくて、数日更新があっても読むのを我慢!
いま、読み進めていたらその間に更新されていて、ナツメがちょーー頑張ってる!!
頑張れナツメ!頑張れみんな!
誰も欠けないで酒呑童子を倒せますように!!!
毎日、煮えるような暑さですが、無理なく執筆活動頑張ってください!更新楽しみにしてます。ほんっとに作者様の作品は読むのが楽しいです!あぁ楽しい〜!
たくさん更新ありがとうございます😆
お話楽しみにしています❤️
酒呑童子は手強そうですね…皆無事に帰還出来ますように✨
お話進んできてこれからの展開超楽しみ~٩(*´◒`*)۶♡
更新頑張ってください🥰💓応援してます!