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寝ても覚めても、君といたい①
しおりを挟む「寝て、おきたら、実は夢だったら、どうしよう」
「そんな訳あるか」
「でも、オレ、まだ夢なんじゃないかっておもっちゃうときあって」
それもそのはず。平凡な高校生として生きていたナツメが突如妖怪しかいない異世界に来たのだ。普通に考えれば、それは”ありえない“事であって、信じ難い現実。
アサヒはそんなナツメの気持ちを汲み取ったのか、強く抱き締め目を細める。
「俺だって、目が覚めて、お前が消えてたらどうしようって思う時がある」
「……」
ナツメは何も言わずアサヒを見上げると、アサヒは愛おしそうにナツメを見返した。
「……急にお前がいなくなったら、俺はどうしたらいい」
普段滅多に言わない不安を吐露したアサヒ。愛しげで、されど不安げなアサヒの美しい瞳を見たナツメは、ハッとしたように目を見開き目を潤ませた。
「アサヒ……」
「頼むから、ずっとそばにいてくれ。寿命で死ぬならそれでいい。その時は絶対に俺の側で死んでくれ。頼む……」
自分の知らない世界へ帰らないで欲しいと願うアサヒ。ナツメが帰りたいならそれは止めないと今まで気持ちを抑えつけていた部分があったが、本音はこうだった。
「こんな事、お前が酔ってなかったら言わないぞ……起きたら忘れろよ馬鹿野郎」
アサヒはそう言って再び強く抱き締め、ナツメはしばらくすると寝息を立てて眠り始めた。
「あいしてる……」
ナツメは寝言でそう呟くと、無意識にアサヒを強く抱き締める。アサヒはそれを聞くと、嬉しそうに小さく笑みを浮かべた。
「素面で言え、ばーか……」
アサヒはそのまま、つられるように目を閉じて眠りについた。
----------------------------------------------
翌朝。
目を覚ましたナツメは、二日酔いで軽い頭痛に表情を歪めながら上体を起こした。
「頭いて……あれ、オレ昨日いつ寝たっけ?てか、風呂入った?」
清潔な布団と寝間着を着ていたナツメは、そのままゆっくり立ち上がってきょろきょろと周りを見渡す。
すると、寝室の扉が開かれアサヒが入室した。
「もう起きたのか?」
「うん……なあオレ、いつ寝たっけ?」
ナツメがそう問いかけると、アサヒは「やっぱりか」と仏頂面で言ってナツメの頭を指で弾く。
「飲み過ぎなんだよばーか。酔って速攻布団入って寝てたぞ。とりあえず、犬達が寝てる間にとっとと風呂入りにいくぞ、準備しろ」
「え!?ちょ、待って置いてくなよ~!」
アサヒはお風呂に行こうとしていたため、片手に着替えを入れた風呂敷を持って廊下に出る。ナツメは慌ててお面を被り、同じように風呂敷を持って後を追った。
黒狼隊は早朝まで飲んでいたのか、全員眠りについており浴室には誰もいない。
「お面外して入っていーよな?」
寝間着を脱ぎながら問いかけるナツメ。
「ああ。でも一応中に持ってけ」
「うん」
ナツメは服を全て脱ぐと、アサヒより先に洗い場に到着した。
「?シャワーっぽい蛇口がない」
「水玉の形式だ。妖力に反応するやつだから、俺が押してやる」
後から入ってきたアサヒは、水玉を押して妖力を付与すると、鏡の上にあった蛇口から温かいお湯が出てきたためナツメは驚く。
「へー!うちの隊とは違う仕組みなんだ」
九尾隊のお風呂は、どこかにいわゆるボイラー室のような場所があり、常に水玉と火玉が稼働している状態のためいつでもお湯が出る状態になっている。
ナツメはあくびをした後、そのままそのお湯を頭から浴びて顔をゴシゴシと洗っていると、後孔からドロっと何かが溢れる感触を感じ慌てて鏡に背を向け振り返った。
「!!??」
白濁がぽたぽたと垂れた事で、昨晩性行為をした事に気づいたナツメ。それどころか、それが引き金で全て思い出すことになり顔がみるみる赤くなっていく。
「(うっっっっっっわ、え?オレなんであんな……うわああああああ)」
急に大人しくなり動かなくなったナツメに気付いたアサヒは、ちらっと横目でナツメを確認する。そして状況を瞬時に読み取ると、何も言わずに気まずそうに表情を歪め、とりあえず石鹸で全身を洗っていった。
「……(あの顔、完全に思い出したって顔だな)」
「……(は、恥ずかしすぎる)」
ナツメは顔を真っ赤にしながら俯き、アサヒの方を見ず石鹸を手に取りそれを泡立ててゆっくりと体を洗い始める。
「……」
「……」
お互い何も話さず、体を洗い終えたアサヒはとりあえず湯船の方へ行き気を遣ってナツメに背を向けるようにしてお湯に浸かり始めた。
「黒狼隊は酒飲み集団だからな、このお湯は通称“酒抜きの湯”って呼ばれてる名泉を引っ張ってきてるらしいぞー。源泉がすぐ近くなんだと」
アサヒは何事もなかったかのようにナツメに話しかけると、ナツメはビクッと動揺した後に慌てて口を開く。
「へ、へー……入ったら俺の二日酔いも治るってこと?」
「だいぶ良くなると思うぞ」
「……そ、そっかー」
ナツメは気まずそうに相槌を打ちながら体を洗っているが、中々湯船に来ないナツメにアサヒは思わず振り返る。
「おい、いつまで洗っ……」
アサヒの目に飛び込んだのは、ナツメが立ったままお湯をずっと被っている姿。アサヒは目を見開き思わず立ち上がる。
「どうした」
アサヒが話しかけると、ナツメはチラッとアサヒの方を見てすぐに目を逸らす。
「あの……」
「?」
「ずっと、出てくる……俺の指じゃ、届かない、から……」
ナツメはアサヒに背を向けると、太腿を伝って流れ続ける白濁がアサヒの目に飛び込んだ。
「……ああ、悪い……ちゃんと掻き出してやる」
アサヒは湯船から出るとナツメをの正面に立ち見下ろす。
ナツメは動揺し顔が真っ赤のまま、アサヒに目を合わせようとせず俯いた。
「おねがい、します……」
ナツメは消え入りそうな声でそう言うと、アサヒはナツメを抱き締めるような体勢になる。そのまま後孔に指を這わせるが、緊張しているナツメがぐっと体に力を入れた。
「おい……力抜け。あと、足少し開いてもう少し俺に体を預けろ」
「っごめ、ごめん……」
ナツメは昨日の記憶が余程恥ずかしいのか、震えた声で謝ると言われた通りに少し前屈みで足を開き、指を挿入しやすいようになんとか力を抜いた。
「挿れるぞ」
アサヒはゆっくり優しく指を挿入すると、その長い指で自身の精液を掻き出していく。かなり奥に射精し過ぎたかと反省しつつ、器用に精液を掻き出した。
ナツメは声を出さないようにぐっと口を閉じていたが、その代わりに目を潤ませ鼻息を荒くし自身の口を手で覆っている。
「……(逆に興奮するっつーの)」
必死に声を抑えるナツメの姿に、アサヒは眉を顰めなんとか耐えると指を引き抜いてお湯で洗い流してあげた。
「ほら。もう大丈夫だ。奥に出しすぎて悪かったな」
「……ううん、ありがと」
相変わらずナツメはアサヒに目を合わさず小さい声でお礼を言うと、二人は横並びで湯船に入りしばらく会話をしなかった。
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