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情事後の接吻★
しおりを挟む「アサヒ……ごめん、オレなんかすごい声でちゃってた……かも」
射精をしてしばらくすると、少し冷静になったナツメが先程までの自身の乱れっぷりを思い出し赤面する。
アサヒは一瞬キョトンとした後に、鼻で笑いナツメを見た。
「なんだ今更。お前いつもあんな声出してるぞ?」
「えっ……」
「今日は途中から声が枯れてないだけマシだな」
アサヒはそう言ってナツメの中に埋まっていた自身のモノをズルっと引き抜く。
「んんっ……」
蓋がなくなったナツメの後孔からは、こぷっとアサヒの濃い精液が溢れていくが、最奥へ放たれているため全ての精液が流れ出てくる訳もなく、アサヒは気まずそうな表情でその様子を見ていた。
「……悪い。奥に出しすぎた」
「……いいよ。朝、風呂で出すから」
「今出してやる」
アサヒはナツメの上体を起こして抱き締めると、膝立ちの体勢にさせてから後孔に指を二本這わせる。
「わっ……」
驚くナツメを他所に、アサヒは後孔に指を挿入すると優しくかき混ぜるように動かして精液を掻き出した。
「んんん……」
ナツメは目をぎゅっと瞑り不服そうな唸り声をあげる。
「我慢しろ。ったく、やっぱ気失うまでシとけばよかったか……」
いつも気を失ってぐっすりと眠っている時に後処理をしていたため、こうも意識がハッキリしている時に後処理を行うのも中々に恥ずかしいものがあるのか、アサヒは少し照れながら指を動かした。
「しかしまぁ、よくこんなちっせー穴に挿いるな」
中を掻き回すアサヒは、キツく狭い中指で堪能しながら感心したように呟く。
「お前がそういう風にしたんじゃん……甘露蜜のおかげもあるし」
甘露蜜という元の世界にはなかったパワーアイテム。
エンジュから聞いたが、この世界では男同士での性行為は珍しいものではなく、あり得る行為。そもそも恋愛は異性ですべきという概念すらなかった。甘露蜜も、発端としては男同士での性行為をスムーズに行うためのアイテムとして開発されたものであった。
「……痛いとか、そういうのはちゃんと言えよ」
アサヒは少し不安げにナツメに問いかける。
「え?痛いって思ったことないよ……ちょっと苦しい時もあるけど、それも嫌じゃない」
「本当か……?」
アサヒは不安げにナツメに再度問いかけると、ナツメはジッとアサヒをみて頬を摘んだ。
「ほんとーだってば……」
「ならいい」
アサヒはそう言って後孔から指を引き抜くと、今度は少し濡れた布でナツメの体を拭き始める。
「え、え、なにっ?」
「なにって、いっつもやってんだろ。体拭いたら布団も取り替えてる」
アサヒは当たり前にナツメの体を拭き始めるが、いつも行為が終わる頃にはナツメの意識はほぼ無いためその記憶がない。
「オレいっつも意識ハッキリしてないからわかんなかった……そっか、起きたら布団も体も綺麗だなーとは思ってたけど」
ナツメは大人しくアサヒに体を拭かれ続ける。ナツメの少し華奢気味な体を丁寧に拭くアサヒは、鼻で笑って口を開いた。
「この俺がお前の世話してやってんだ、ありがたく思えよ」
アサヒはそう言ってナツメにデコピンをした。
「……そりゃどーも、これからもよろしくたのむぞ」
ナツメはべっと舌を出して返事をすると、アサヒの髪を掴んで引き寄せキスをする。柔らかくて暖かい唇の感触を確認したアサヒは、少し目を細めてナツメを抱き締めた。
「お前なぁ……俺を煽る天才か」
「キスぐらいでなんだよー」
ナツメは可笑しそうに笑う。
「きす……お前がいた世界ではそう言うんだっけか?」
「チューとも言う」
「ちゅー?じゃあお前に接吻するときは”ちゅーさせろ“って言った方が良いのか?」
アサヒは至って真面目に首を傾げナツメを見る。少し変わったイントネーションで元いた世界の単語を話す姿は、ナツメの心をくすぐった。
「ふはっ……なんか、かわい」
「?」
アサヒは笑うナツメを訝しげに見る。
「おい、馬鹿にしてるだろ」
「うん。おもしろいんだもん」
「……」
アサヒは拗ねた表情でナツメの体を無言で拭く。
「拗ねた?」
「……拗ねてねーよ」
アサヒは明らかに不機嫌そうな表情でナツメを見ずに、それでも優しい手つきでナツメの足を拭いた。
「ねー、ごめんって」
「……」
「ねー。可愛いなーって思っただけだって」
ナツメはクイっとアサヒの髪を引っ張って頬を膨らませる。
「はいはい、わかったっつの」
「じゃあ、ちゅーして」
ナツメは唐突にそう言って微笑むと、アサヒは一瞬目を丸くし絆されたように表情を緩め、ふっと軽く笑うとナツメに優しく口付けをした。
体を綺麗にし寝間着を着させたアサヒは、ナツメを替えの布団に寝かせると行灯を部屋の隅に置いて柔らかな橙の光を部屋にもたらす。
「……明日は初めて翠緑から出るんだ。ちゃんと俺の言うことを聞いて勝手なことするんじゃねーぞ」
アサヒはナツメを寝かしつけるように横向きで寝ながらナツメを見つめ、低い声で注意を促す。
「うん。迷惑かけないようにする」
ナツメはコクリと頷き、自身の頭を撫でるアサヒの手の感触を感じながら眠りについた。
「おやすみ。本当寝つきが良いなお前」
眠らずとも動けるアサヒは、しばらくナツメの寝顔を見てから仕事をするため机のある部屋に移動した。
「……猫又。よく調べておくか」
ツクヨミに取り憑いたとされる猫又の黒妖怪。アサヒは少しでも有益な情報を得るため本を開き、それは朝まで続いたのであった。
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