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私、おそろしいものを手に入れてしまいました……
では、一杯いれてやろう
しおりを挟む急になにか主張し始めたぞ。
久しぶりに始まったつぐみの演説。
奏汰は、見るからに一生懸命、という風情で語るつぐみを面白おかしく眺めていた。
しかし、何故、コタツで此処まで頑張る……。
貴方、お父様と私とどちらを取るんですか、というくらいの勢いだ。
「奏汰さん、結婚するとき、ともに手を取り合い、新しい家庭を作っていこうと言ってくれたではないですかっ」
ま、確かに言ったが。
「今まで育ってきた環境が違うので、衣食住に対する考え方が違うのも当然です。
だから、お互いの意見をすり合わせながら、この家のルールを作っていくべきだと思いますっ」
いや、お前、すり合わせる気、全然ないだろ。
よく考えたら、リビングにコタツがあっても、自分が入らなければいいだけの話なので、最早、どっちでもいい気もしていたのだが。
一生懸命語るつぐみの姿が微笑ましかったので、黙って眺めていた。
「昔、おばあちゃんちには、掘りごたつがあったんですよ」
なんか話がよそに流れていってるぞ。
「中に携帯ゲーム機を落としては、みんなが焼いていました」
それ、危険な代物だろ……。
お前は、俺に、コタツは危険だと教えたいのか。
「つぐみ」
とそろそろかな、と思い、呼びかける。
「なにか呑むか」
しばらくしゃべらせておいたので、喉が渇いた頃だろうと思い、そう言うと、つぐみは、えっ? と嬉しそうな顔をした。
だが、すぐに、いやいや、ひっかかりませんよ~。
このまま、酔わせて、うやむやにする気ですね~、という顔をする。
心の中では笑いながら、
「珈琲を淹れてやろう」
と言うと、
珈琲ですか……とあんな顔をしておきながら、実は呑みたかったのか、残念そうな顔をしていた。
そして、
「この時間から飲んだら眠れなくなりませんかね~」
と今度は違う心配をし始める。
いやいや、大丈夫だ、と腹の中で思いながら、奏汰はキッチンへと向かう。
ウイスキー入りのアイリッシュコーヒーだからな――。
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