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月末までに、お前を払ってもらおう

今朝はプールで朝食を――

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 朝食はプールに用意してあった。

 いかにも南国な感じの、フルーツたっぷりで美しい朝食がバスケットに入って水の上に浮かんでいる。

 インスタ映えすると、今、人気なのだそうだ。

「せっかくだから写真撮れよ」
と桔平が言ってくる。

 真珠が写真を撮ると、自分も一応、といった感じで撮っていた。

 朝の光に輝く水面と揺れる朝食を見ながら、

「お前、プール入って食べるか?」
と訊いてくる。

 真珠は、ははは、と苦笑いして答えなかった。

 ちょっと食べにくそうだったからだ。

「あ、でも、食べてる写真は撮りたいかもです」

「物好きだな」
と言いながらも、桔平は、ワンピースと大差ない水着に着替えてきた真珠が、プールでドリンクを手にしている写真を撮ってくれた。

 そのあと、朝食は引き上げて、プールサイドで食べた。

「食べたら帰るか」
と言われ、ええ~? もうですか、と言いそうになったが。

 そもそも、誰かに会うためにドバイに呼ばれたんだったな、と思い出す。

 でもまあ、なんだかんだで楽しかった。

 真珠は桔平とともにプライベートジェットでドバイに戻ることになった。

「なんでお前が来るんだっ」

「いや~、羽島さん、ぎっくり腰が出ちゃって」
と迎えに来た侑李と桔平がちょっぴり揉めていたが……。



 ドバイに戻った桔平は会社に向かう車内で言う。

「俺は仕事に行くが。
 お前はどうする?

 建設中のホテルでも見てみるか?」

「何処にあるんですか?」
と真珠は訊いた。

 人工島の何処かかなと思う。

 ドバイには巨大な人工島がどんどん建設されている。

 上空から見ると、ヤシの木の形をしている「パーム・ジュメイラ」や「パーム・ジェベル・アリ」。

 世界地図の形をしている「ザ・ワールド」などだ。

 ほぼ完成しているパーム・ジュメイラには、豪華なホテルやタワーマンション、別荘などがある。

 桔平に訊くと、
「いや、その何処でもない。
 うちのホテルだけの人工島を建設している」
と言う。

 ……いや、何処に向かってるんですかね? この人は、と思ったが、確かにそんなホテルもあるし。

 言ってみれば、一島一リゾートのモルディブみたいなものかなと思う。

 ……まあ、モルディブの素朴な感じと違って巨大そうなのだが。

「いえ、結構です。
 何処か観光したいです。

 ひとりで見て回るので、大丈夫ですよ」
と言ったが、桔平は不安そうだった。

「私が奥様をご案内しましょうか」

 助手席の侑李が言い出す。

 桔平は何故か舌打ちしたが、
「まあ、お前が一番適任か」
 任せた、と言う。

「大丈夫ですよ」
と侑李は軽く言って笑った。

「私は裏の世界にも通じてますので安全です」

 それ、かえって不安ではっ?

「ご安心ください、真珠様」
と笑う侑李の顔は美しすぎ、また、桔平と違って愛想が良すぎて逆に嘘くさい。

 人買いに連れて行かれる感じに真珠は連れ去られた。

 だが、裏の世界に精通しているという侑李はちゃんと危ない場所を避けつつ、ドバイを案内してくれた。


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