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第六章 月読おはぎとオーパーツ

だったら知らせるな

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 我も、我も食べてみたい、と人が集まってきたので、追加でどんどん小豆を用意していたのだが。

 人手が足らなくなっていたらしく、青龍も人喰い鬼も一緒に並んで小豆を洗っている。

 いや、鬼はみんなには見えていないのだろうが。

 晴明が汚い格好で洗うなと言って、狩衣を貸したので。

 鬼が見えてない者には、たぶん、狩衣を着た透明人間が、しゃこしゃこ小豆を洗っているように見えている。

 そんな恐ろしい光景にもめげずに、その側で伊予は青龍に、

「ねえ、青龍。
 大人になった方がたくさん洗えるんじゃないかしら」
とか言って、なんとか青龍をイケメンの大人に変化させようとしている。

 そのとき、晴明が、

「女御様。
 ふわふわがこちらの土鍋に近づいてきておりますぞ」
と言ってきた。

 晴明は遠慮なく、鷹子をこき使う。

 布に包まれて保温していた土鍋に、例のふわふわが舞い降りかけていた。

 30度に近くなっているのだろう。

「温度が下がってるわ。
 火にかけて」

「はいっ」
と女房たちがすぐに動く。

「あっ、ここの火が消えかけています」

「扇いでっ」
と言いながら、鷹子は自らの扇でも火を勢いづかせるよう、扇ぎ始める。

「……女御様、それはお顔を隠されるためにの扇でございます」

 命婦は諦めたようにだが、一応、そう言ったあと、自らの扇で鷹子の顔を気持ちほど覆ってみせた。



「なんとっ。
 中宮が出てきておるのかっ」

 是頼は小豆を煮るのに駆り出されていたので、是頼の使いが吉房に中宮が人前に出て来ていることを伝えていた。

「行くべきか。
 行かざるべきか……」

「中宮様は斎宮女御様のなさることに夢中のようなので、どちらでも良さそうです、と是頼様が」
と使者は言う。

「どちらでもいいのなら、いっそ、教えてくるなっ。
 迷うではないかっ」
と吉房が悩んでいるころ、中宮、寿子は違うことが気になっていた。



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