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青葉日記

俺はきっと心が広い

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 俺はきっと心が広い。

 好きな女を彼女の推しに会わせるだなんて――。

 あれから、俺は堀様と意気投合し、何度か一緒に呑んだ。

 警戒心が強いというレイ様とやらとも呑んだ。

 どちらも驚くようなイケメンで、ちょっと変わってはいるが、いい人たちだ。

 ……この人たちが恋愛対象としてのあかりに興味がなくてよかった、と心底感謝する。

 その興味ないっぷりと来たら、夫の自分が不安になるくらいだ。

 通知表で言うなら、興味関心の欄が△を飛び越えて、×な感じだ。

 自分の妻なのに、こんなことを言うのも照れるのだが。

 あかりは見た目はかなりいいし。

 性格も温厚で、愛らしいのに――。

 レイ様は、半目のあかりを平気で、
「可愛いだろ」
と言って、堀様に見せるくらい、家族な感じだし。

 堀様は、まるで犬猫を見るような目であかりの写真を見て、
「可愛いね~」
と言っているだけだし。

 なんだろう。
 この二人のあかりを見る感じ。

 何処かで見た、と思ったら、みんなが日向を見るときの目つきと同じだった。
 

 ともかく、俺はあかりの喜ぶ顔が見たくて、今度、堀様とあかりを会わせることにした。

 その話をたまたま電話で話していた大吾に言うと、

「なにが心が広い。
 ほんとうに心が広いのなら、そんな訳のわからん俳優じゃなくて、俺のところまで、あかりを連れて来い」
と言う。

 いや、心が狭くて、カイロまで連れてかないわけじゃないんだが。

 というか、大吾は相変わらず、あかりにご執心だが、あかりは大吾には全然興味がなく。

「よく日向と遊んでくれるいい人」
としか認識していないので、別に会わせても構わないのだが――。

 籍は入れたが、慌ただしくて。

 まだ式もしていないし、新婚旅行にも行ってないから、カイロまで行ってもいいんだが。

 新婚旅行なら――

「……やっぱ、フィンランドだろ」
と呟き、電話を切った。

 切り際、
「なにがフィンラン……ッ」
とちょっと大吾の声が聞こえた。
 

 いつかレイ様と堀様を目撃したレストランが堀様のお気に入りだと言うので。

 あの店に堀様を招待することにした。

 レイ様もと思ったが、海外に戻っていて、いなかった。

 日向も行くというので、みんなで車で走っている途中、窓の外を見ていた日向が叫んだ。

「すごいおじさんっ」

 あかりが振り返り、自分も振り返りそうになる。

「すごいおじさん……?

 ……すごい格好のおじさん?

 ……すごい人数のおじさん?」
と呟くと、振り返っても見えなかったらしいあかりが苦笑いして、

「どっちもちょっと気になりますね」
と言っていた。

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