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第三章 禁断のプロポーズ
法律に八つ当たりするな
しおりを挟むいろいろと思い巡らしながら病院の廊下を歩いている夏目に、追いかけてきた克己が話しかけてきた。
「お前、最近、大胆だな、やることが。
なに?
もしかして、凄い危機感、感じちゃってる?」
答えないでいると、
「そうだよねえ。
なんだかあの二人の間には、割り込めないものがあるもんね」
とピンポイントで嫌なとこを突いてくる。
「社長の地位も、未咲ちゃんも、両方取られちゃったら、お前、大変だね」
「なんか楽しそうに聞こえるのは気のせいですか……?」
いやいやいや、と克己は笑っている。
「まあ、もともと後継者レース、トップは広瀬専務って言われてたもんね。
あの歳で専務なんて、大抜擢だし。
お前が対抗馬で出てこなければ、ぶっちぎってたよ」
いや、出馬した覚えもないのだが、いつの間にか、会長の隠し子であることがバレて、巻き込まれただけだ、と思っていた。
「専務がぶっちぎってたのは、切れ者だからって言うのもあるけど。
ちょっと噂があったんだよね。
専務は社長の甥じゃなくて、実の息子だって」
足を止める。
「広瀬専務の母親と社長、秘書室時代に付き合ってたらしいんだ。
それが突然、会長の二番目の奥さんの連れ子だった弟の方と結婚したんだよね。
でも、結婚したときには、もう妊娠してたらしくて。
社長に押し付けられて結婚したんじゃないかって噂だったけど」
あれっ? と克己は言う。
「専務が社長の子で、未咲ちゃんが、会長の子だったら、血の繋がった叔母と甥になっちゃうよね。
まあ、兄妹よりはマシか」
と笑うので、殴ってやろうかと思った。
「……そもそも兄妹で結婚しちゃいけないって誰が決めたんですかね」
と低い声で問うと、
「法律に八つ当たりするなよ」
と苦笑いされる。
「法律決めたのなんて、神様じゃない。
その辺の人間じゃないですか」
「ま、人間が決めたって言うか。
単に、遺伝子的に問題が起きるからだろ。
大丈夫、大丈夫。
きっと、未咲ちゃん、他所の子だから。
未咲ちゃんのママは、いろんな人と噂立ってたからね。
意外と僕の子かもよ」
「……全然、計算合わなくないですか?」
と言いながら、いっそ、本当に克己が未咲の父親ならいいのに、と思っていた。
何歳のときの子だか、知らないが……。
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