60 / 75
白地図と最後の事件
じゃあ、犯人は――
しおりを挟む「もし、ほんとうにこのプリンターだったらどうする?」
みんなが帰ったあとで、茉守たちは本堂にある小部屋のプリンターを眺めていた。
「そうだな。
使用履歴を調べられないかな?」
と言うマグマに、
「わかるものもあるみたいですけど。
これはわからないみたいですよ」
ピッピといじりながら茉守は言う。
「じゃあ、確かめることもできねえな」
と言うマグマに茉守は言った。
「……できないこともないかもしれませんよ」
どうやって?
と二人が見る。
「此処のプリンター使ってる人たちを一人ずつ呼び出して脅すんです」
「いや、全員をかっ?」
「佐古さんが、文章自体はスマホアプリで作ったようだと言ってたましたよね。
では、お年寄りは外せるのでは?」
「だが、デイサービスとかカルチャー教室でスマホの使い方習ってる老人も居るぞ」
「じゃあ、その方たちは加えましょう。
それと、若い人に絞ればあまり居ないのでは?
あと、自分の職場や自宅のプリンターの機種が此処と被っていない人です。
もし、此処のプリンターを使ったのなら。
その理由は、自分の家のと違うから疑われないように、そうしたはずですから」
「なるほど。
自宅のはわからないが、事業所とかのプリンターとかはわかるかもな」
とニートが言う。
「参考までに、此処のプリンターを使う人で、一番この手の機械ものに詳しいのは誰ですか?」
「……ニートだろ」
とマグマが横に立つニートを見る。
「じゃあ、犯人はニートで」
「いや、待てこら。
詳しくても関係ないだろ。
それに、俺だと、自宅のプリンターになるだろ、これ」
「観光客の女にまたニートさん死んでっ、とか言われてやっちまったんだ。
それなら、お前を殺しに来たわけだから、女が身元を証明するものを持ってなかったのもわかる」
「いや、死んでって迫ってくる人間を殴るとか突き落とすとかならわかるが。
どうやって、毒薬飲ますんだよ」
「お飲みくださいと言っても飲みそうにはないですよね」
そう茉守は言い、小首をかしげる。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
没入劇場の悪夢:天才高校生が挑む最恐の密室殺人トリック
葉羽
ミステリー
演劇界の巨匠が仕掛ける、観客没入型の新作公演。だが、幕開け直前に主宰は地下密室で惨殺された。完璧な密室、奇妙な遺体、そして出演者たちの不可解な証言。現場に居合わせた天才高校生・神藤葉羽は、迷宮のような劇場に潜む戦慄の真実へと挑む。錯覚と現実が交錯する悪夢の舞台で、葉羽は観客を欺く究極の殺人トリックを暴けるのか? 幼馴染・望月彩由美との淡い恋心を胸に秘め、葉羽は劇場に潜む「何か」に立ち向かう。だが、それは想像を絶する恐怖の幕開けだった…。
意識転移鏡像 ~ 歪む時間、崩壊する自我 ~
葉羽
ミステリー
「時間」を操り、人間の「意識」を弄ぶ、前代未聞の猟奇事件が発生。古びた洋館を改造した私設研究所で、昏睡状態の患者たちが次々と不審死を遂げる。死因は病死や事故死とされたが、その裏には恐るべき実験が隠されていた。被害者たちは、鏡像体と呼ばれる自身の複製へと意識を転移させられ、時間逆行による老化と若返りを繰り返していたのだ。歪む時間軸、変質する記憶、そして崩壊していく自我。天才高校生・神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、この難解な謎に挑む。しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、想像を絶する恐怖と真実への迷宮だった。果たして葉羽は、禁断の実験の真相を暴き、被害者たちの魂を救うことができるのか?そして、事件の背後に潜む驚愕のどんでん返しとは?究極の本格推理ミステリーが今、幕を開ける。
隠蔽(T大法医学教室シリーズ・ミステリー)
桜坂詠恋
ミステリー
若き法医学者、月見里流星の元に、一人の弁護士がやって来た。
自殺とされた少年の死の真実を、再解剖にて調べて欲しいと言う。
しかし、解剖には鑑定処分許可状が必要であるが、警察には再捜査しないと言い渡されていた。
葬儀は翌日──。
遺体が火葬されてしまっては、真実は闇の中だ。
たまたま同席していた月見里の親友、警視庁・特殊事件対策室の刑事、高瀬と共に、3人は事件を調べていく中で、いくつもの事実が判明する。
果たして3人は鑑定処分許可状を手に入れ、少年の死の真実を暴くことが出来るのか。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
マーガレット・ラストサマー ~ある人形作家の記憶~
とちのとき
ミステリー
人形工房を営む姉弟。二人には秘密があった。それは、人形が持つ記憶を読む能力と、人形に人間の記憶を移し与える能力を持っている事。
二人が暮らす街には凄惨な過去があった。人形殺人と呼ばれる連続殺人事件・・・・。被害にあった家はそこに住む全員が殺され、現場には凶器を持たされた人形だけが残されるという未解決事件。
二人が過去に向き合った時、再びこの街で誰かの血が流れる。
【作者より】
ノベルアップ+でも投稿していた作品です。アルファポリスでは一部加筆修正など施しアップします。最後まで楽しんで頂けたら幸いです。
空の船 〜奈緒の事件帳〜
たまご
ミステリー
4年前、事故で彼氏の裕人(ヒロト)を失った奈緒(ナオ)は、彼の姉である千奈津(チナツ)と未だ交流を続けていた。あくる日のこと、千奈津が「知人宅へ一緒に行って欲しい」と頼み込んだことで、奈緒は、千奈津に同行するが、知人宅を訪れると、知人の夫が倒れているのを発見してしまい…。
【完結】少女探偵・小林声と13の物理トリック
暗闇坂九死郞
ミステリー
私立探偵の鏑木俊はある事件をきっかけに、小学生男児のような外見の女子高生・小林声を助手に迎える。二人が遭遇する13の謎とトリック。
鏑木 俊 【かぶらき しゅん】……殺人事件が嫌いな私立探偵。
小林 声 【こばやし こえ】……探偵助手にして名探偵の少女。事件解決の為なら手段は選ばない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる