31 / 75
海に浮かぶ証拠と第三の殺人(?)
お前ら部外者だろうが
しおりを挟む「結局、これは連続殺人事件なのか?
そうじゃないのか?」
茉守たちと一緒に近くのうどん屋で昼食を食べながら、佐古が呟く。
「『ツギ ハ オマエダ』の紙がまたあったということは、連続殺人なのか?
前回は乱暴に書き殴った手書き。
今回は印刷したもの。
別人が連続殺人のフリをしたのかもしれないが」
「死体が二体。
刺された人が一人。
『ツギ ハ オマエダ』が二つ。
どういう順番で殺されたのかわからないですけど。
数は合ってますよね」
と茉守が言う。
「そんなに細かい死亡推定時刻って出ないし。
一人は生きてるので、よくわからないんだが。
たぶん、犯行が行われた順番は、署長、山頂の男、橋の上の女じゃないか?」
そう佐古が教えてくれた。
マグマが、
「マスコミは『ツギ ハ オマエダ』に関しては報道してないよな」
と佐古と那須に確認する。
那須が横に座る佐古を見ながら答えた。
「まだ規制がかかってるからな。
まあ、明日辺りには、もうオッケーになってるかもだけど」
「じゃあ、犯人はどうやって『ツギ ハ オマエダ』のことを知ったんだろうな」
と呟くマグマに、茉守が言う。
「山頂に後から結構、観光客来てたじゃないですか。
上でみんなが、『ツギ ハ オマエダ』に関して揉めてるのを聞いてたと思いますね」
佐古は、そうだったな、と頷いたあとで、
「じゃあ、もし、これが連続殺人ではなく。
誰かがあの文面を利用し、橋の女を連続殺人に見せかけて殺そうとしたのなら。
その観光客の中に犯人が居る可能性も……」
と言いかけて、
「待て」
と唐突に話を止めた。
茉守は犯人でも入ってきたのかな。
いや、入ってきたところで、わかんないよな、とキョロキョロと店の方を振り返ってみたりしていたが、そうではなかった。
「さっきから、お前らナチュラルに事件に首突っ込んでるが。
部外者だろうが」
佐古のその言葉に、倖田が、
「俺は橋の死体を見つけたし、第一発見者で容疑者だし。
『ツギ ハ オマエダ』も見つけたし」
と言い、ニートが、
「俺も庭の死体を見つけたし、『ツギ ハ オマエダ』も見つけたし」
と言い、マグマが、
「俺は最初に刺された奴を見つけたし、署長殺しの容疑者だし」
と言い、茉守が、
「私も最初の人見つけましたし……
あ、でも、すみません。
なんの容疑者でもないんですが」
と言った。
「お前ら、事件に首突っ込むためなら、容疑者になってもいいのかっ。
っていうか、ほんとにどの件にも関わってるなっ」
もうお前らがほんとうに犯人なんじゃないのかっ、と罵られる。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦憶の中の殺意
ブラックウォーター
ミステリー
かつて戦争があった。モスカレル連邦と、キーロア共和国の国家間戦争。多くの人間が死に、生き残った者たちにも傷を残した
そして6年後。新たな流血が起きようとしている。私立芦川学園ミステリー研究会は、長野にあるロッジで合宿を行う。高森誠と幼なじみの北条七美を含む総勢6人。そこは倉木信宏という、元軍人が経営している。
倉木の戦友であるラバンスキーと山瀬は、6年前の戦争に絡んで訳ありの様子。
二日目の早朝。ラバンスキーと山瀬は射殺体で発見される。一見して撃ち合って死亡したようだが……。
その場にある理由から居合わせた警察官、沖田と速水とともに、誠は真実にたどり着くべく推理を開始する。
ここは猫町3番地の5 ~不穏な習い事~
菱沼あゆ
ミステリー
「雨宮……。
俺は静かに本を読みたいんだっ。
此処は職場かっ?
なんで、来るたび、お前の推理を聞かされるっ?」
監察医と黙ってれば美人な店主の謎解きカフェ。
5話目です。
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
彩霞堂
綾瀬 りょう
ミステリー
無くした記憶がたどり着く喫茶店「彩霞堂」。
記憶を無くした一人の少女がたどりつき、店主との会話で消し去りたかった記憶を思い出す。
以前ネットにも出していたことがある作品です。
高校時代に描いて、とても思い入れがあります!!
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
三部作予定なので、そこまで書ききれるよう、頑張りたいです!!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる