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ささやかなる弁当

本日のこれはデートでしょうか

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「そういえば、スケジュール帳の方なんですが。
 あれからデートのシールって、使ってないんですけど。

 課長と結構出かけてますけど。
 あれはデートではないんですかね?

 毎回思うんですよ。
 今日のこれはデートなのかなって」

「少なくとも今日は違うだろうよ」

 三人でしたしね……。

「焼肉行ったのも、寿司食ったのも違うだろう」

 食事会だ、と前を見たまま駿佑は言う。

「そうか。
 そうですね。

 ……デートの定義ってよくわかりませんよね」

「恋人同士で出かけたら、デートじゃないのか?」

「その定義に従ってしまうと、我々、三回どころか、一回もデートしてないことになりますね」

「……そうだな」

「ということは、永遠にあと三回出かけられますね」
と万千湖は笑う。

「……そうだな」

 いいような悪いような?

 私はちょっと楽しみかな、と万千湖は思っていた。

 約束の三回のデートが叶えられないのなら、課長との縁は切れないまま、ずっとこうして二人で出かけられる。

 ……っていうか、一緒に住むわけだしね。

 いや待てよ。

 課長が結婚とかしたら、課長の家族と私の二世帯になってしまうのか。

 共有スペースで課長の家族と和やかに暮らし、課長の孫をおのれの孫のように微笑ましく見守る自分の未来が見えた。

 ……何故、私は妄想の中でも結婚していないのでしょう。

 相手が思い浮かばないからかな。

「結婚してください」
と言った雁夜が浮かんだが。

 いや~、でもやっぱり、雁夜さんが結婚したいのは、マチカで私ではないのでは、と思ってしまう。

「……私、もう見合いとかするしかないんですかね?」
と思わずもらして、

「いや、この間、俺としただろうっ!?」
と叫ばれてしまった。



 いや、その気がない人と見合いしてもな。

 っていうか、あの時点では私も結婚したいとか欠片も思ってなかったし。

 今も結婚したいかはよくわからないのだが……。

 眠る前、万千湖は今日のカラオケのことを書き、印刷したカラオケの写真も貼って、日記を閉じた。

 Believe in yourself.

 表紙にそう小さく書かれている。

 いや、実はそのことに気づいたのは、つい最近なのだが。

 まあ、それはそれとして。

 自分を信じて頑張ろうっ!

 ……なにかをっ!

 そう、なにかを頑張ろうっ!

 そう思いながら、万千湖は眠りについた。


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