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ささやかなる弁当

課長のツッコミが厳しすぎる

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 課長のツッコミ厳しいな、と思いながら、万千湖は自らが淹れたお茶を啜っていた。

「ところで、増本が言っていた日曜のカフェの話はなんなんだ」
と駿佑が訊いてくる。

 昼間、瑠美が、
「絶対来なさいよっ」
と脅していたのを聞いていたようだ。

 そこで、万千湖が第一日曜に現れるイケメンの話をすると、駿佑は、

「面白い奴だな、増本は」
と言う。

 ええ。
 私が行ったからって、イケメンさんが現れるわけでもないのに、と万千湖は思ったが、駿佑が言いたいのはそういうことではなかったようだ。

「そのイケメンがいるかもしれないところにお前を連れていって、そいつがお前を好きになったらどうするつもりなんだ」

 それはない、と万千湖は笑ったが、駿佑は真顔で言ってくる。

「だって、お前、モテそうじゃないか」

 は?

「俺は見合いしても結婚する気などなかったが。

 まあ、お前なら、部長の手前、何度かデートしているうちに誰かが持ってくだろうから大丈夫かなと思ってたんだ。

 ……意外と誰も持っていく気配がないんだが」
とあれから、三週間くらい経ったが、今も目の前にいる万千湖を見て言う。

 何故、私は見合い相手に、売れ残り商品のように言われているのでしょう……。

「……課長はその毒舌がなければモテるんじゃないですかね?」
とこちらからも、ちょっと嫌味を言ってやりました。

 だが、駿佑は腕を組み、見下みくだすようにこちらを見て言う。

「俺がモテるわけないだろう。
 自慢じゃないが、身内とクラスメイトと同期と世話になった先輩以外の親しい女はいない」

 結構いるではないですか。

 まあ、なんだかんだで面倒見がいいからな、と思い、ちょっと不安になってしまった。

「お前はモテたんじゃないのかアイドル」

 いつもアイドルって言葉をさげすみに使ってくるのがすごいな……。

「調子に乗るなよ」

「いや……今の言葉でどうやって調子に乗ったらいいんですか」

 というか、実際、アイドルなんてやっていても、実生活でモテたことなどないのだが。

 キャラのせいかな。

 ユカちゃんはモテててたみたいだし。

 サヤカさんは……

「姉御っ」
と慕われていたようだし。

 まあ、モテているのとはちょっと違うかもしれないが……。


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