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俺にも呪いがかかっている
……め、めでたしめでたしなのか?
しおりを挟む夢の中、朝霞は城の横にある巨大な教会の中にいた。
高い天井にはめこまれた無数のステンドグラスから光がふりそそぐ荘厳な教会。
朝霞は真っ白なドレスに真っ白なヴェールをつけ、王子とともに祭壇の前に立っていた。
結婚式のようだ。
無事、エンディングを迎えたらしい。
スタッフロールはまだ出ていないが、と思う朝霞の手を王子がとった。
王子は神父に見守られながら、そっとあの、ある意味、掘り出して見つけた大きなダイヤモンドの指輪を朝霞の薬指にはめる。
そして、身を起こし、言った。
「朝霞よ。
お前は見事、紀和一世を打ち倒し」
打ち倒してはいません……。
「ついに、此処までたどり着いた」
王子……、と朝霞は十文字そっくりの王子を見つめる。
だが、先ほど、握られた手の感触は、現実ほどリアルではなく。
ああ、これはやっぱり、夢なんだなーと思っていた。
「朝霞、お前の旅は、ここから始まる」
「旅?」
「お前は隠れキャラのジュモンジーを攻略した」
……モンスターみたいな名前になっちゃってますけど、と思う朝霞に王子は言った。
「これから、このゲームの裏面が始まる」
ええっ?
「長い長い旅路だ」
と言いながら、王子は朝霞の手を強く握る。
そのときだけ、現実の十文字が手に触れてきたときの感触が蘇っていた。
「ときに道に迷うこともあるだろう。
だが、ジュモンジーはきっとずっとお前の側にいるし、騎士団長もお前を見守っている」
……おにいちゃん、と朝霞はヴェールの向こう、参列者席にいる騎士団長を見た。
「朝霞姫」
と騎士団長が立ち上がる。
「これから俺も自らが一生を共にする相手を見つけ、いずれ、お前とは離れていくだろう。
だが、それでも俺はいつでもお前の幸せを願っているよ。
……いつでも呼べ。
何処からでもお前が呼ぶなら、俺は駆けつけて、お前を助けるだろう」
朝霞の前に歩み出た騎士団長はひざまずき、朝霞の手を取ると、その甲に口づけた。
打ち倒されたはずの紀和一世がいつの間にか、神父を押しのけて現れ、太い柱の陰からこちらを窺っている隣国の佐野村王子を見て言う。
「朝霞よ。
あの者には美しい姫たちを用意しているから、大丈夫だ」
何処からともなく、美しい二人の姫が現れた。
名前は、ゲーオタと、ジツハ・キンニクオタというらしい……。
今、佐野村王子は、獲物として二人の前に投げられた。
……め、めでたしめでたしなのか?
と朝霞が思ったとき、紀和一世が、高らかに宣言した。
「このゲームを攻略した朝霞姫に、称号を与えよう!」
まさか、上級穴掘り職人とか?
と身構えた朝霞に、紀和一世は朗々とした声で言う。
「朝霞姫。
今日から、お前は、オタク姫と名乗るがよい」
「……いや、その称号なら、もう持ってます」
で、結局、あのゲームはしなかった――。
夢の中で攻略してしまったし。
実際にやってみたら、全然違うゲームだったり。
王子が先輩に似ていなかったりしたら、嫌だからだ。
でも、何故か、王子の出てくる夢はもう見なくなった。
リアルな世界で、裏面が始まってしまったからだろう。
「先輩、先輩。
昨日、おかしな夢を見たんですよ。
海からギョーザが――」
「黙れ」
と十文字が言い、みんなが笑う。
そんな日常がゆっくりと過ぎていった。
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