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第二章 相思相愛編

ルーファスの身体

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「殿下?」

ルーファスが低い声で何かを言いかけるが、リスティーナの声にハッと我に返ると、

「っ、すまない。何でもないんだ。それより…、」

そう言って、ルーファスはリスティーナの夜着の上から膝を触り、スルッと服越しに足に触れる。
そうして、夜着の裾を軽く摘み、じっとリスティーナを見つめた。

「君の服…、脱がしてもいいか?」

リスティーナは真っ赤な顔でコクン、と頷いた。
恥ずかしくて、顔が見れず、目を合わせることができない。そんなリスティーナにルーファスがフッと笑い、夜着を脱がせていく。

スルッとリボンが解かれ、釦も外された。ひんやりとした外気が肌を刺激する。
リスティーナの着ていた夜着がパサリ、と音を立てて、ベッドの下に落とされた。
夜着を脱がされたリスティーナは下肢を隠す白いレースの下着以外は何も身に着けていない。
ほぼ裸に近い姿を彼の前に曝け出す形になった。
ルーファスが息を呑んで、ピタッと動きを止めた。
リスティーナはかああ、と顔を赤くして、慌てて胸を両手で隠した。は、恥ずかしい。

「そ、そんなに見ないで下さい…。」

ルーファス殿下に裸を見られている。それだけでリスティーナは恥ずかしくて、堪らなかった。

「隠す必要はない。とても、綺麗だ…。」

ルーファスの手がそっとリスティーナの両手を掴んで、胸からどけられる。
隠していた所が暴かれて、リスティーナは羞恥心が増した。
ルーファスは熱の籠った視線でリスティーナをじっと見つめた。

「雪のように白い肌だな。それに、柔らかい…。」

ルーファスの両手がリスティーナの胸をやんわりと包み込んだ。

「あ…、すごいな。君の肌はまるで吸い付くようで…、甘くてとても滑らかだ…。ずっと、こうして触れていたい。」

そのままゆっくりと胸を優しく揉みしだかれる。胸の膨らみを撫でられ、愛撫を繰り返される。
その愛撫にリスティーナはピクン、と反応してしまう。

「すまない。痛かったか?」

それに気付いたルーファスが気遣うように声を掛ける。
リスティーナはふるふると真っ赤な顔で首を振った。

「ち、違います。ただ…、気持ち良くて…、」

かああ、と顔を赤くしながら恥ずかしそうに言うリスティーナにルーファスは嬉しそうに口元を緩ませ、「そうか。」と言い、もう一度同じように胸を愛撫した。

「っ、あ…!」

最初は撫でるだけだったのに、今度は乳首をつついたり、優しく摘まれる。
彼から与えられる刺激にリスティーナは甘い声を上げ、反応してしまう。
そして、最初は控えめに主張していただけの乳首が段々と膨らみ、硬く尖っていく。
その反応にルーファスは嬉しそうに言った。

「君のここ…、硬くなってきた。俺の愛撫で感じてくれているんだな。舐めたら、もっと気持ちよくなるのか…?」

そう言って、ルーファスはリスティーナの胸に舌を這わせた。熱い舌が乳首を舐め上げる。
それだけで身体に痺れるような快感が走った。

「あぁ!っ…、は、あ…、」

突然の強い刺激にリスティーナはビクビクと身体が震える。
ルーファスはリスティーナの赤く色づいた乳首を舌先で突いたり、舐めたりした。

「あっ、あっ…!」

「声も可愛い。もっと聞かせてくれ。」

ルーファスはぼそっと耳元で囁いた。
彼の熱い吐息と低い声で囁かれるだけでリスティーナはピクン、と反応してしまう。
今度はルーファスは乳首を口の中に含み、舌で転がした。カリッと歯を立てて、甘噛みされる。

「あ、あっ…!あぁっ……!」

リスティーナは堪らず声を上げた。
空いた手は片方の胸を揉みしだき、乳首を摘んだりと愛撫を繰り返される。
両方の刺激により、快楽の波が押し寄せてくる。リスティーナはビクビクと身体が跳ね上がり、甘い嬌声を上げた。

「ふ、あ…!っ、ああ!」

気持ちいい。お腹の奥がジンジンする。リスティーナは無意識に足を擦り合わせ、刺激を求めてしまう。
ルーファスはそんなリスティーナを見て、目を細めた。
胸の愛撫を止めて、スッと太腿に触れる。たったそれだけで敏感になったリスティーナの身体は小さく跳ねた。

「下も…、触っていいか?」

「っ、は、い…。」

ルーファスの手がリスティーナの下着に触れた。

「…?少し湿っている。もしかして、これが…、濡れているということか…?」

「ッ!」

ルーファスの指摘にリスティーナは恥ずかしくて、顔を手で覆った。

「ご、ごめんなさい!はしたないですよね…。こんな…、」

「ち、違う!そんな事、思っていない。」

涙目になったリスティーナにルーファスは慌てて否定した。そして、微かに頬を染めながら、

「まさか、俺の愛撫で濡れる程、感じてくれるとは思わなかったんだ。だから、その…、嬉しくて思わず声に出てしまっただけで…。」

「え…?」

ルーファスの顔を見上げれば、彼はホッとしたような表情を浮かべ、

「安心した。君はちゃんと感じてくれているんだな。」

リスティーナはそんなルーファスを見て、またトクン、と胸が高鳴った。
よ、良かった…。私の事、軽蔑しないんだ。はしたないとか下品な女だとか思われたら、どうしようかと…。

「じゃあ…、脱がすぞ?」

そう言って、ルーファスはリスティーナの意思を確認してくれる。
リスティーナが頷くと、彼はリスティーナの下着に手をかけ、スルッと取り去った。
最後の砦だった下着も脱がされてしまい、生まれたままの姿になったリスティーナは全身の血が噴き出しそうな位に恥ずかしい。見られている。彼に、全部…。

ルーファスはリスティーナの膝に手をかけて、そっと足を開かせた。
リスティーナは彼の前で全裸になったが、ルーファスはまだ寝間着姿のままだった。

「あ…、あの…、殿下は…、脱がないんですか?」

リスティーナの言葉にルーファスの表情が強張った。
ルーファスは数秒、押し黙っていたがリスティーナの顔を見て、観念したように口を開いた。

「俺の身体は…、その…、気持ち悪いから…。君は見ない方がいい。」

ルーファスは黒い傷跡のある自分の顔に手を当てると、

「俺の身体には…、顔にあるこの傷と同じような黒い紋様が全身に広がっているんだ。顔の傷の方はまだマシな方だ。だが…、身体に広がっている傷は顔よりもひどい。醜くて…、俺ですら目を背けたくなるほどにおぞましい身体だ。だから…、」

「っ、殿下は醜くなんかないです!」

ルーファスが言い終わらない内にリスティーナは彼の手を取り、黒い紋様が刻まれた手の甲にチュッと口づけした。ルーファスがビクッと手を震わせた。
リスティーナは彼の手を離さないまま、そっと頬に寄せた。

「殿下に醜い所なんて一つもありません。」

彼の容姿は一般的に見ると、異質かもしれない。
でも、彼の見た目は黒い紋様の傷痕がある以外は普通の人と変わりない。
醜いと呼ばれる程のものじゃない。
少し人と違った見た目をしているというだけで醜いと蔑み、容姿で人を判断するその人達の心根こそが醜いのではないか。リスティーナはそう思う。

「殿下は綺麗です。とても…。」

「っ、綺麗…?」

ルーファスの瞳が揺らいだ。
リスティーナは微笑んではい、と頷いた。
リスティーナはルーファスから手を離すと、スッと手を伸ばした。
彼の頬を両手で挟むようにして、そっと触れる。
そのままチュッと彼の唇に口づけた。

「私の目には…、殿下が輝いて見えます。」

今まで出会った男性の中で一番綺麗…。心からそう思う。
容姿ではなく、心が誰よりも美しいのだ。
こんなにも心が綺麗な人は今まで見たことがない。
ルーファスがリスティーナを見て、目を細めた。
そのままリスティーナの肩と腰に手を回して強く抱き締める。

「リスティーナ…。」

リスティーナも彼の背中に手を回して、抱き締め返した。

「殿下…。怖がらなくても、大丈夫です。私…、殿下の事をもっと知りたい。ちゃんとあなたをこの目で見たいんです。」

そう言うと、リスティーナを抱き締めている彼の腕が微かに震えた。
リスティーナは大丈夫…。と安心させるようにその腕をそっと優しく撫でた。

「…本当に…、いいのか?」

「はい。」

リスティーナは頷いた。
彼ともっと触れ合いたい…。服越しではなく、素肌で…。
リスティーナをじっと見て、ルーファスはゆっくりと寝間着の帯を解いた。
衣擦れの音がして、彼の寝巻きがパサリ、と寝台の下に落とされる。
服を脱いだルーファスの身体は全身の至る所に黒い紋様が広がっていた。
彼の言う通り、その傷痕は顔よりも広範囲に広がっている。顔の傷よりも、どす黒くて、色が濃い。

「…大丈夫か?」

彼の言葉に切なくなる。どこか怯えたようにこちらを見る目は私がどんな反応をするのか恐れているかのようだった。きっと、今までもこの傷痕を見た人達から、ひどい言葉を投げられ、傷ついてきたのだろう。

「大丈夫ですよ。殿下。…私のお願いを聞いて下さってありがとうございます。」

リスティーナはルーファスに微笑みかけて、そう言った。

「っ…、どうして、君が礼を言うんだ。」

「だって…、殿下にとって肌を見せるのはとても勇気がいる行為だったのでしょう?それなのに、私のお願いを聞いてくれて…。だから…、私、嬉しいんです。」

リスティーナはニコッと笑い、

「殿下はいつも仮面や手袋をしているから…、何だか距離があるみたいで少しだけ寂しかったんです。でも…、今はこうして、何の隔たりもなく、触れ合う事ができて、嬉しいです…。」

リスティーナは彼の手をギュッと握ると、

「できれば…、これからは私の前では仮面や手袋越しではなく、直接触れ合いたいです。」

「…。」

黙ったままのルーファスにリスティーナは焦った。
しまった。あまりにも図々しい事を言ってしまった。

「あ、あの…!すみません!無理なお願いをしてしまい…!」

不意にルーファスはリスティーナに握られた手をそっと引き寄せると、恭しく持ち上げるようにチュッと指先に口づけた。ツ…、とそのまま唇を這わせて、掌、手首にも口づけた。

「俺も…、ずっと君にこうして、直に触れてみたかった。…ずっと、ずっと我慢していたんだ。」

彼の目は欲情の色に染まっていた。その目を見ていると、雄の気配を感じ、背筋がゾクッとした。
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