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第二章 相思相愛編
模索
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はあ、とルーファスは溜息を吐いて、扉に背を凭れた。
「危なかった…。」
危うく、彼女にキスをしてしまう所だった。完全に無意識だった。
我に返って慌てて手を離し、苦し紛れの言い訳をしたがあまりにも不自然だったかもしれない。
リスティーナはその苦し紛れの言い訳を素直に信じていた様子だったのである意味、助かったのだが。
それにしても、彼女は少し素直すぎるのではないだろうか。
普通、あんなことをされたら、疑いそうなものだが…。
自己評価が低いというか、警戒心がないというか…。
でも…、不意にルーファスはあの時のリスティーナを思い出す。
そっと目を閉じた彼女はまるでこちらがキスをするのを受け入れてくれるかのように見えた。
もしかしたら…、彼女も俺からのキスを望んでくれていたのではないかと期待してしまう。
ルーファスはすぐさまその考えを否定する。
好きでもない男にキスをされて喜ぶ女がどこにいるというんだ。
「…。」
ルーファスは赤い絨毯を見つめながら、先程のリスティーナの言葉を思い出した。
彼女は自分に生きて欲しいと願ってくれた。その言葉が…、泣きそうになる位、嬉しかった。
自分は生きていいのだと認められた気がして…。
こんな気持ちになったのはノエルと出会った日以来の事だ。
いや…。ひょっとしたら、ノエルの時以上に…。
ルーファスはリスティーナが手を握ってくれた手にそっと視線を落とした。
小さくて、柔らかく、温かい手だった。まるで心も温かくなるような…。
ギュッと手を握り締める。
リスティーナは俺が生きる事を望んでくれている。
それだけで…、十分だった。彼女の言葉はルーファスに生きる意味を与えてくれた。
ルーファスは生きたいと思った。叶う事なら…、この先もずっと彼女と…。
ルーファスはそっと目を伏せた。
今は先の事よりも他にやるべきことがある。ルーファスは顔を上げ、歩き出した。
「ルーファス殿下…。」
その時、前方に鳶色の髪をした侍女がいた。ルーファスと目が合うと、ビクッと怯えたように震えたが目を逸らすことはしなかった。じっ、と何かを見極める様にこちらを見つめてくる。
ルーファスは、その女に見覚えがあった。確か、あの侍女はリスティーナの…。
母国から連れてきた侍女でスザンヌといったか。故郷を離れてリスティーナに付き従う位だ。
並々ならぬ忠誠心と信頼関係がないとついてはこれないだろう。
ただの仕事でリスティーナに従っているようには見えない。
リスティーナもこの侍女の事を信頼している様子だった。
それに…、この侍女はリスティーナの部屋で朝食をとった時、逃げることなく、その場に留まった。
この侍女なら…、あるいは…、
ルーファスはスザンヌに近付いた。
スザンヌは逃げなかった。手は震え、顔は青褪めていたが頭を下げて、その場から動かなかった。
「顔を上げろ。」
スザンヌの目の前で立ち止まったルーファスはそう言い、ゆっくりと顔を上げたスザンヌに言った。
「お前は確か…、スザンヌと言ったな?」
「えっ?は、はい。」
ルーファスの言葉に少し驚いたような顔をしながらもスザンヌは戸惑いながら頷いた。
「一つ、忠告しておく。王妃には気を付けろ。もし、また王妃から呼び出されたり、何か異変があればすぐに俺に知らせろ。どんな些細な事でもいい。…いいな?」
「は、はい。畏まりました。」
ルーファスの命令にスザンヌは頷いた。ルーファスはそれだけ言うと、すぐに横を通り過ぎて立ち去って行った。スザンヌは困惑した眼差しでルーファスの後姿を見送った。
「どういう意味…?今の…。」
スザンヌはもう見えなくなったルーファスが去った方向を見つめながら、ぽつりと呟いた。
王妃には気を付けろ?まさか…、王妃様がリスティーナ様に何か危害を加えるというの?
そういえば、リスティーナ様は王妃様に呼び出された後、顔色が悪かった。
本人は緊張していただけだと言っていたがもしかして、その時に何かあったのでは…?
何であの王子はあんな妙な事を言ったのだろうか。
まるでリスティーナ様にこれから、何かよくないことが起こるのだと確信しているかのような物言い。
あの王子は何か知っているの?
それに、あの茶葉…。スザンヌは顎に手を当て、考え込んだ。
一応、エルザにも報告しておいた方がいいかもしれない。スザンヌはそう考えた。
「はあ…。」
リスティーナは溜息を吐いた。
難しい単語が多くて、分からない。
リスティーナは一刻も早くルーファスの呪いを解く手がかりを見つけたかった。
その為にまずは呪いに関する本を集めて、それを片っ端から読んでいこうと思った。
早速、図書館にやってきたリスティーナは自分でも読めそうな本を手に取って読み始めた。
しかし、読み始めてすぐにリスティーナはある事に気付いた。
そもそも、呪いに関する基礎知識が自分にはほとんどないのだということに。
こんなので本当に殿下の呪いを解くことなんてできるのだろうか。
リスティーナは自分の無力さに泣きたくなった。
あれだけ、大口を叩いておきながら、基礎の段階で躓くなんて情けない…。
ずーんと落ち込みかけたリスティーナはブンブンと首を横に振った。
駄目駄目!弱気になっては…!
悩んでいる暇があるなら、少しでも呪いを解く手がかりを見つけるのに専念しないと…!
そう思って、リスティーナは『呪術の博物誌』の本に目を通した。
「あら?リスティーナ様じゃない。ごきげんよう。」
かけられた声に顔を上げればそこにはアーリヤが立っていた。
「アーリヤ様!」
リスティーナは慌てて立ち上がり、カーテシーをとった。
本に夢中で全然、気付かなかった。
「こうして、会うのは久し振りね。あの夜会以来かしら?そういえば、あの夜会で途中からあなたの姿を見当たらなかったから、心配していたのよ。」
リスティーナは内心、ぎくりとしたが表情には出さずにそれらしい言い訳をした。
「お気遣いありがとうございます。実は、あの後、少し気分が優れなくて…、休憩室で少しだけ休むつもりがそのまま寝てしまって…、」
「あら、そうだったの。もう、具合はよろしいの?」
アーリヤは扇を口元で隠しながら、目を細めた。
「は、はい。お蔭様でもう大丈夫です。」
「そう。それなら、良かったわ。」
アーリヤはスッとリスティーナの対面の椅子に腰を下ろした。
リスティーナは所在なさげに立ち尽くした。
軽い挨拶をしたら、すぐにどこかに行くのかと思ったのに…、もしかして、アーリヤ様もここで本をよむつもりで?でも、アーリヤ様の手には本がない。読書をするという訳ではなさそうなのに…。
リスティーナは本を読まずに目の前に座ったアーリヤに疑問を抱いた。
「リスティーナ様もおかけになって。」
「は、はい。」
アーリヤがにこやかにリスティーナに座るように促した。
リスティーナは促されるがままに座った。
「随分、変わった本を読んでらっしゃるのね。好きなの?そういう本が。」
「え…!?あ、いえ…!違います!別に好きという訳ではなくて…、」
アーリヤが指さした先にはリスティーナが選んだ本が積み重なって置かれていた。
どれも呪術に関する本ばかりで普通の人が見たら、ギョッとするだろう。
リスティーナは慌てて否定した。
「ただ…、その…、調べたいことがありまして…、」
何となく、ルーファス殿下の事は隠しておいた方がいいと思い、口を濁した。
アーリヤはふうん、と言って、頬杖をつくと、
「何を調べているの?」
「あ、えっと…、それは…、」
アーリヤの質問にリスティーナは困惑した。言っていいものだろうか。
いや。でも、後宮の女性達はルーファス殿下の呪いを恐れて彼を嫌悪している。
ここは隠しておいた方がいいのでは…。
「実は、私、呪術は少しだけ齧ったことがあるのよ。呪術の歴史と種類、その傾向と解呪方法…。
そういった事を知りたいというのなら、私でも教えてあげられるわ。リスティーナ様が知りたいというのなら、教えてあげましょうか?」
「えっ?ほ、本当ですか!?」
リスティーナはアーリヤの言葉にパッと顔を輝かせた。
まさか、アーリヤ様が呪術に詳しいとは思わなかった。
そもそも、呪いに詳しい人間なんかそう簡単に見つからないだろうと思っていた。
だから、自力で調べるしかないと考えていたのに…、
リスティーナは希望の道が開いた気がした。アーリヤ様に教えてもらえれば、何か分かるかもしれない!
「お願いします!アーリヤ様。私に呪術について詳しく教えて頂けないでしょうか?」
「フフッ…、素直な子は好きよ。いいわ。教えてあげる。じゃあ、私の部屋に移動しましょうか。」
アーリヤの言葉にリスティーナははい!と頷いた。本を抱えて、アーリヤの後に続いた。
「アーリヤ様。ありがとうございます。あの…、でも、本当にお邪魔しても大丈夫なのですか?何か予定があったのでは…、」
「構わないわ。今日は特に予定はないから。それに、丁度、暇してた所だったの。」
「そ、そうでしたか。」
リスティーナはホッとした。
そして、アーリヤに対して、苦手意識を抱いていた自分を恥じた。
アーリヤ様が夜会で言っていたことには賛同はできないけど、アーリヤ様にだって色々と考えがあってのことなのかもしれない。
あの時のアーリヤ様の意見は受け入れられないが、少なくとも、こうして、私が困っているのを見て、教えて下さるというのだから親切な方だ。
リスティーナは少しだけアーリヤに好感を抱いた。
「助かります。アーリヤ様が呪術に詳しいだなんて、私、知りませんでした。」
「私の母国では王族は呪術学を学ばないといけないの。何百年も前の話だけど、王女が呪いに掛けられたことがあってね。それ以来、万が一、呪いにかけられても対処できるようにって、呪いに関する知識を叩き込まれるようになったのよ。」
「そんな事があったんですか。知りませんでした。」
そんな風にアーリヤと会話しながら、歩いていると、いつの間にかアーリヤの部屋に辿り着いた。
「危なかった…。」
危うく、彼女にキスをしてしまう所だった。完全に無意識だった。
我に返って慌てて手を離し、苦し紛れの言い訳をしたがあまりにも不自然だったかもしれない。
リスティーナはその苦し紛れの言い訳を素直に信じていた様子だったのである意味、助かったのだが。
それにしても、彼女は少し素直すぎるのではないだろうか。
普通、あんなことをされたら、疑いそうなものだが…。
自己評価が低いというか、警戒心がないというか…。
でも…、不意にルーファスはあの時のリスティーナを思い出す。
そっと目を閉じた彼女はまるでこちらがキスをするのを受け入れてくれるかのように見えた。
もしかしたら…、彼女も俺からのキスを望んでくれていたのではないかと期待してしまう。
ルーファスはすぐさまその考えを否定する。
好きでもない男にキスをされて喜ぶ女がどこにいるというんだ。
「…。」
ルーファスは赤い絨毯を見つめながら、先程のリスティーナの言葉を思い出した。
彼女は自分に生きて欲しいと願ってくれた。その言葉が…、泣きそうになる位、嬉しかった。
自分は生きていいのだと認められた気がして…。
こんな気持ちになったのはノエルと出会った日以来の事だ。
いや…。ひょっとしたら、ノエルの時以上に…。
ルーファスはリスティーナが手を握ってくれた手にそっと視線を落とした。
小さくて、柔らかく、温かい手だった。まるで心も温かくなるような…。
ギュッと手を握り締める。
リスティーナは俺が生きる事を望んでくれている。
それだけで…、十分だった。彼女の言葉はルーファスに生きる意味を与えてくれた。
ルーファスは生きたいと思った。叶う事なら…、この先もずっと彼女と…。
ルーファスはそっと目を伏せた。
今は先の事よりも他にやるべきことがある。ルーファスは顔を上げ、歩き出した。
「ルーファス殿下…。」
その時、前方に鳶色の髪をした侍女がいた。ルーファスと目が合うと、ビクッと怯えたように震えたが目を逸らすことはしなかった。じっ、と何かを見極める様にこちらを見つめてくる。
ルーファスは、その女に見覚えがあった。確か、あの侍女はリスティーナの…。
母国から連れてきた侍女でスザンヌといったか。故郷を離れてリスティーナに付き従う位だ。
並々ならぬ忠誠心と信頼関係がないとついてはこれないだろう。
ただの仕事でリスティーナに従っているようには見えない。
リスティーナもこの侍女の事を信頼している様子だった。
それに…、この侍女はリスティーナの部屋で朝食をとった時、逃げることなく、その場に留まった。
この侍女なら…、あるいは…、
ルーファスはスザンヌに近付いた。
スザンヌは逃げなかった。手は震え、顔は青褪めていたが頭を下げて、その場から動かなかった。
「顔を上げろ。」
スザンヌの目の前で立ち止まったルーファスはそう言い、ゆっくりと顔を上げたスザンヌに言った。
「お前は確か…、スザンヌと言ったな?」
「えっ?は、はい。」
ルーファスの言葉に少し驚いたような顔をしながらもスザンヌは戸惑いながら頷いた。
「一つ、忠告しておく。王妃には気を付けろ。もし、また王妃から呼び出されたり、何か異変があればすぐに俺に知らせろ。どんな些細な事でもいい。…いいな?」
「は、はい。畏まりました。」
ルーファスの命令にスザンヌは頷いた。ルーファスはそれだけ言うと、すぐに横を通り過ぎて立ち去って行った。スザンヌは困惑した眼差しでルーファスの後姿を見送った。
「どういう意味…?今の…。」
スザンヌはもう見えなくなったルーファスが去った方向を見つめながら、ぽつりと呟いた。
王妃には気を付けろ?まさか…、王妃様がリスティーナ様に何か危害を加えるというの?
そういえば、リスティーナ様は王妃様に呼び出された後、顔色が悪かった。
本人は緊張していただけだと言っていたがもしかして、その時に何かあったのでは…?
何であの王子はあんな妙な事を言ったのだろうか。
まるでリスティーナ様にこれから、何かよくないことが起こるのだと確信しているかのような物言い。
あの王子は何か知っているの?
それに、あの茶葉…。スザンヌは顎に手を当て、考え込んだ。
一応、エルザにも報告しておいた方がいいかもしれない。スザンヌはそう考えた。
「はあ…。」
リスティーナは溜息を吐いた。
難しい単語が多くて、分からない。
リスティーナは一刻も早くルーファスの呪いを解く手がかりを見つけたかった。
その為にまずは呪いに関する本を集めて、それを片っ端から読んでいこうと思った。
早速、図書館にやってきたリスティーナは自分でも読めそうな本を手に取って読み始めた。
しかし、読み始めてすぐにリスティーナはある事に気付いた。
そもそも、呪いに関する基礎知識が自分にはほとんどないのだということに。
こんなので本当に殿下の呪いを解くことなんてできるのだろうか。
リスティーナは自分の無力さに泣きたくなった。
あれだけ、大口を叩いておきながら、基礎の段階で躓くなんて情けない…。
ずーんと落ち込みかけたリスティーナはブンブンと首を横に振った。
駄目駄目!弱気になっては…!
悩んでいる暇があるなら、少しでも呪いを解く手がかりを見つけるのに専念しないと…!
そう思って、リスティーナは『呪術の博物誌』の本に目を通した。
「あら?リスティーナ様じゃない。ごきげんよう。」
かけられた声に顔を上げればそこにはアーリヤが立っていた。
「アーリヤ様!」
リスティーナは慌てて立ち上がり、カーテシーをとった。
本に夢中で全然、気付かなかった。
「こうして、会うのは久し振りね。あの夜会以来かしら?そういえば、あの夜会で途中からあなたの姿を見当たらなかったから、心配していたのよ。」
リスティーナは内心、ぎくりとしたが表情には出さずにそれらしい言い訳をした。
「お気遣いありがとうございます。実は、あの後、少し気分が優れなくて…、休憩室で少しだけ休むつもりがそのまま寝てしまって…、」
「あら、そうだったの。もう、具合はよろしいの?」
アーリヤは扇を口元で隠しながら、目を細めた。
「は、はい。お蔭様でもう大丈夫です。」
「そう。それなら、良かったわ。」
アーリヤはスッとリスティーナの対面の椅子に腰を下ろした。
リスティーナは所在なさげに立ち尽くした。
軽い挨拶をしたら、すぐにどこかに行くのかと思ったのに…、もしかして、アーリヤ様もここで本をよむつもりで?でも、アーリヤ様の手には本がない。読書をするという訳ではなさそうなのに…。
リスティーナは本を読まずに目の前に座ったアーリヤに疑問を抱いた。
「リスティーナ様もおかけになって。」
「は、はい。」
アーリヤがにこやかにリスティーナに座るように促した。
リスティーナは促されるがままに座った。
「随分、変わった本を読んでらっしゃるのね。好きなの?そういう本が。」
「え…!?あ、いえ…!違います!別に好きという訳ではなくて…、」
アーリヤが指さした先にはリスティーナが選んだ本が積み重なって置かれていた。
どれも呪術に関する本ばかりで普通の人が見たら、ギョッとするだろう。
リスティーナは慌てて否定した。
「ただ…、その…、調べたいことがありまして…、」
何となく、ルーファス殿下の事は隠しておいた方がいいと思い、口を濁した。
アーリヤはふうん、と言って、頬杖をつくと、
「何を調べているの?」
「あ、えっと…、それは…、」
アーリヤの質問にリスティーナは困惑した。言っていいものだろうか。
いや。でも、後宮の女性達はルーファス殿下の呪いを恐れて彼を嫌悪している。
ここは隠しておいた方がいいのでは…。
「実は、私、呪術は少しだけ齧ったことがあるのよ。呪術の歴史と種類、その傾向と解呪方法…。
そういった事を知りたいというのなら、私でも教えてあげられるわ。リスティーナ様が知りたいというのなら、教えてあげましょうか?」
「えっ?ほ、本当ですか!?」
リスティーナはアーリヤの言葉にパッと顔を輝かせた。
まさか、アーリヤ様が呪術に詳しいとは思わなかった。
そもそも、呪いに詳しい人間なんかそう簡単に見つからないだろうと思っていた。
だから、自力で調べるしかないと考えていたのに…、
リスティーナは希望の道が開いた気がした。アーリヤ様に教えてもらえれば、何か分かるかもしれない!
「お願いします!アーリヤ様。私に呪術について詳しく教えて頂けないでしょうか?」
「フフッ…、素直な子は好きよ。いいわ。教えてあげる。じゃあ、私の部屋に移動しましょうか。」
アーリヤの言葉にリスティーナははい!と頷いた。本を抱えて、アーリヤの後に続いた。
「アーリヤ様。ありがとうございます。あの…、でも、本当にお邪魔しても大丈夫なのですか?何か予定があったのでは…、」
「構わないわ。今日は特に予定はないから。それに、丁度、暇してた所だったの。」
「そ、そうでしたか。」
リスティーナはホッとした。
そして、アーリヤに対して、苦手意識を抱いていた自分を恥じた。
アーリヤ様が夜会で言っていたことには賛同はできないけど、アーリヤ様にだって色々と考えがあってのことなのかもしれない。
あの時のアーリヤ様の意見は受け入れられないが、少なくとも、こうして、私が困っているのを見て、教えて下さるというのだから親切な方だ。
リスティーナは少しだけアーリヤに好感を抱いた。
「助かります。アーリヤ様が呪術に詳しいだなんて、私、知りませんでした。」
「私の母国では王族は呪術学を学ばないといけないの。何百年も前の話だけど、王女が呪いに掛けられたことがあってね。それ以来、万が一、呪いにかけられても対処できるようにって、呪いに関する知識を叩き込まれるようになったのよ。」
「そんな事があったんですか。知りませんでした。」
そんな風にアーリヤと会話しながら、歩いていると、いつの間にかアーリヤの部屋に辿り着いた。
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