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第二章 相思相愛編
リスティーナの吐いた嘘
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「…。」
リスティーナは王妃から渡された茶葉の箱をじっと見つめる。
そっと箱の表面を撫でた。
その時、廊下の方で侍女達の悲鳴が聞こえた。何だろう?と思い、扉の方に視線を向けると、いきなり扉が勢いよく開かれた。そこに立っていたのは息を切らしたルーファスだった。
「で、殿下!?」
リスティーナは反射的に茶葉をサッと隠した。
「ど、どうしました?こちらに来られるのは夜だとばかり…、」
ツカツカとルーファスは無言でこちらに近付き、リスティーナの目の前まで来ると、ピタリと立ち止まると、
「無事か?」
「え?は、はい…。」
焦ったような表情でこちらを見下ろすルーファスにリスティーナは頷いた。
すると、ルーファスはいきなりリスティーナの肩をガッと強く掴んだ。
「王妃に…、母上に何もされなかったか!?」
「は、はい…。特には…、」
肩を掴んだルーファスの手が僅かに震えている。
彼を見上げればいつもの無表情とは違って、焦った表情を浮かべている。
その目には恐怖と不安が入り混じっているように見える。
リスティーナは無意識に彼の頬に手を伸ばした。
「大丈夫ですよ。殿下。私は何ともありませんから。」
彼の頬に優しく触れて、リスティーナは彼を安心させるように微笑んだ。
ルーファスの手の震えが止まった。その直後、リスティーナの肩を掴んでいた手が背中に移動し、グッと引き寄せられた。
気付けば、リスティーナは彼に抱き締められていた。
「え!?あ、あの…、殿下?」
突然の抱擁に戸惑い、リスティーナは彼に声を掛ける。
が、彼は黙ったままリスティーナを抱き締めるだけだった。
そのままルーファスはリスティーナの肩に顔を埋めた。
ホッと安心したように溜息を吐く彼の吐息にリスティーナは大人しく身を委ねた。
ややあって、そっとリスティーナは手を上げて、おそるおそる彼の背中に手を回そうとした。
「っ!す、すまない!」
ルーファスが顔を上げ、リスティーナから手を離して勢いよく距離を取った。
彼の温もりが消え、リスティーナは一抹の寂しさを感じた。
「急に抱き締めたりして、その、悪かった。」
「い、いえ…。」
そんな事気にしなくていいのに…。リスティーナはドキドキしながら、行き場のない手を慌てて下ろした。
「あ、あの…、殿下。ありがとうございます。私の事、心配して下さったのですよね?」
突然、彼がここに来たのは驚いたがその理由をリスティーナは何となく気付いていた。
きっと、優しい彼は王妃様に呼び出された私を心配してくれたんだろう。
「君が母上に呼び出されたと聞いた。…その、本当に何もされなかったのか?」
「はい。ただお茶をして、少しお話をしただけです。私、初めて王妃様にお会いしましたが本当に美しい方ですね。」
リスティーナは微笑みながら彼にそう話すが当のルーファスは黙り込み、深刻な表情をしている。
「殿下。折角、来て下さったのです。よろしければお茶でも如何ですか?」
そう言って、リスティーナは彼を長椅子に座るように促した。
丁度、侍女は出払っていて今は誰もいない。リスティーナは自分でお茶の準備をすることにした。
確かここに茶葉が保管されている筈…。リスティーナは戸棚から茶葉を取り出した。
「母上は君に何か渡さなかったか?」
静かに問いかけられた声にリスティーナはギクッとした。が、すぐに何事もなかったように取り繕うと、
「いいえ?何も受け取っていません。」
「…そうか。」
リスティーナの言葉にルーファスはあっさりと頷いた。
その反応にホッとした。
嘘を吐いた。本当は…、王妃様からリスティーナは茶葉を受け取っていた。
そして、それを彼に飲ますようにとも言われていた。
けれど、リスティーナはその事を彼に言わなかった。
―ごめんなさい。殿下…。
心の中で彼に謝りながら、リスティーナは茶葉を用意すると、ティーポットに手を伸ばした。
すると、パシッとルーファスに手首を掴まれた。
「え、殿下…?」
リスティーナをじっと見つめるルーファス。手を離そうとせず、黙ったままこちらを見つめ続けるルーファスにリスティーナは段々、恥ずかしさを感じた。すると、不意に彼がスッと手を離した。
「すまない。急に手を掴んだりして。」
そう言って、あっさりと手を離した彼にリスティーナは不思議そうにしながらも特に気にせず、お茶を淹れた。
「お口に合えばいいのですが…、」
リスティーナはそう言って、カップを置いた。ルーファスはカップを手に取ると、躊躇なく口をつけた。そんな彼にリスティーナは胸がざわついた。
「これは…?」
「レモングラスのハーブティーです。レモングラスは疲れを癒すのに効果があると聞いたので…、」
「そういえば、以前、この部屋に来た時もハーブティーを淹れてくれたな。君はハーブティーが好きなのか?」
「!」
ルーファスに拒絶をされたあの夜にリスティーナは彼にハーブティーを淹れた。
覚えてくれたんだ…。リスティーナは頷き、
「はい。私は紅茶やコーヒーよりもハーブティーが好きなんです。寝る前に飲んだりすると、よく眠れるんです。カモミールとかペパーミントとか…、」
「…そうか。」
ルーファスは穏やかな表情でリスティーナの話を黙って聞いてくれる。
「殿下はハーブティーはお好きですか?」
「好き、か…。そんな事考えたこともなかったな。」
ルーファスはそう呟くと、じっとハーブティーが入ったカップを見つめた。
「何故だろうな。今まで食べ物も飲み物も味気なくて特別美味しいと思ったことがなかったのにこのお茶は美味しいと思えた。」
そう語るルーファスの表情はいつもより、優しい。リスティーナはそんな彼から目が離せなかった。
「よ、良かったです。お口に合ったようで…、」
私が淹れたお茶を美味しいと言ってくれた。それがとても嬉しかった。
ハーブティーを口に含むといつも以上に美味しく感じた。
それは、やっぱり彼と一緒にお茶をしているからかもしれない。
そんな風に考えていると、
「聞かないのか?」
「?な、何をでしょうか?」
ルーファスの質問の意味がよく分からず、リスティーナはキョトンとした。
「母上から俺の事について色々と聞かされたんだろう。その事について何も聞かないのか?」
ルーファスの言葉にリスティーナは黙ったまま彼を見つめた。
無表情でこちらを見つめる目…。でも、私は知っている。その胸の内は悲しみと苦しみの感情があるのだということを。無表情なのはその感情を隠す為。
彼は他人の為に心を痛めることができる優しい心の持ち主だ。
だからこそ、私は…。リスティーナは緩く首を振った。
「いいんです。殿下が話したくないのなら、何も聞きません。」
「え…?」
ルーファスは目を見開いた。
「無理に思い出さなくてもいいですから。」
「っ!」
ルーファスは息を呑み、動揺したように目が揺らいだ。
「君は…、知っている筈だ。俺が妻達を殺したという事を。」
「確かに王妃様はそう仰っていました。でも、私はその話を信じていません。」
「何故?」
「だって…、殿下は仰っていたではありませんか。殺すつもりはなかったのだと。
王妃様から話を聞いた時にあの時の言葉を思い出したのです。そして、ふと思ったんです。もしかして、彼女達は殿下を殺そうとしたのではないのかと…。」
ピクッとルーファスの肩が跳ねた。やっぱり、そうだったんだ。
ルーファスの反応でリスティーナは確信した。
「ごめんなさい。不躾な事を言いました。」
「いや…。」
そう言ったきり、黙り込むルーファスにリスティーナは焦った。
余計な事を言ってしまった。殿下の心の傷をこれ以上、増やさないようにしようと思っていたのに…。
自分の不甲斐なさに落ち込んでいると、
「俺は…、誰も殺すつもりはなかった。そう言っても君は信じてくれるか?」
ルーファスはそう言って、リスティーナを見つめた。
その目はどこか怯えている様で怖がっているかのようだった。
そんな弱々しい表情を見せる彼にリスティーナは微笑んで頷いた。
「はい!勿論です。」
「そうか。」
フッと口角を上げて安心したように笑う彼にリスティーナはドキッとした。
たまに見せる彼の笑みはいつも不意打ちで心臓に悪い。
「君には…、本当の事を話しておきたい。聞いてくれるか?」
ルーファスはそう言って、真剣な表情でリスティーナの意思を確認した。
彼には無理に話さなくてもいいと言ったが本当は知りたかった。
彼と後宮の女性達との間で何があったのかを…。
リスティーナに断るという選択肢はなかった。
「はい。」
リスティーナは頷き、彼の話を聞いた。
ルーファスはリスティーナの隣に座り、静かに話した。
リスティーナは王妃から渡された茶葉の箱をじっと見つめる。
そっと箱の表面を撫でた。
その時、廊下の方で侍女達の悲鳴が聞こえた。何だろう?と思い、扉の方に視線を向けると、いきなり扉が勢いよく開かれた。そこに立っていたのは息を切らしたルーファスだった。
「で、殿下!?」
リスティーナは反射的に茶葉をサッと隠した。
「ど、どうしました?こちらに来られるのは夜だとばかり…、」
ツカツカとルーファスは無言でこちらに近付き、リスティーナの目の前まで来ると、ピタリと立ち止まると、
「無事か?」
「え?は、はい…。」
焦ったような表情でこちらを見下ろすルーファスにリスティーナは頷いた。
すると、ルーファスはいきなりリスティーナの肩をガッと強く掴んだ。
「王妃に…、母上に何もされなかったか!?」
「は、はい…。特には…、」
肩を掴んだルーファスの手が僅かに震えている。
彼を見上げればいつもの無表情とは違って、焦った表情を浮かべている。
その目には恐怖と不安が入り混じっているように見える。
リスティーナは無意識に彼の頬に手を伸ばした。
「大丈夫ですよ。殿下。私は何ともありませんから。」
彼の頬に優しく触れて、リスティーナは彼を安心させるように微笑んだ。
ルーファスの手の震えが止まった。その直後、リスティーナの肩を掴んでいた手が背中に移動し、グッと引き寄せられた。
気付けば、リスティーナは彼に抱き締められていた。
「え!?あ、あの…、殿下?」
突然の抱擁に戸惑い、リスティーナは彼に声を掛ける。
が、彼は黙ったままリスティーナを抱き締めるだけだった。
そのままルーファスはリスティーナの肩に顔を埋めた。
ホッと安心したように溜息を吐く彼の吐息にリスティーナは大人しく身を委ねた。
ややあって、そっとリスティーナは手を上げて、おそるおそる彼の背中に手を回そうとした。
「っ!す、すまない!」
ルーファスが顔を上げ、リスティーナから手を離して勢いよく距離を取った。
彼の温もりが消え、リスティーナは一抹の寂しさを感じた。
「急に抱き締めたりして、その、悪かった。」
「い、いえ…。」
そんな事気にしなくていいのに…。リスティーナはドキドキしながら、行き場のない手を慌てて下ろした。
「あ、あの…、殿下。ありがとうございます。私の事、心配して下さったのですよね?」
突然、彼がここに来たのは驚いたがその理由をリスティーナは何となく気付いていた。
きっと、優しい彼は王妃様に呼び出された私を心配してくれたんだろう。
「君が母上に呼び出されたと聞いた。…その、本当に何もされなかったのか?」
「はい。ただお茶をして、少しお話をしただけです。私、初めて王妃様にお会いしましたが本当に美しい方ですね。」
リスティーナは微笑みながら彼にそう話すが当のルーファスは黙り込み、深刻な表情をしている。
「殿下。折角、来て下さったのです。よろしければお茶でも如何ですか?」
そう言って、リスティーナは彼を長椅子に座るように促した。
丁度、侍女は出払っていて今は誰もいない。リスティーナは自分でお茶の準備をすることにした。
確かここに茶葉が保管されている筈…。リスティーナは戸棚から茶葉を取り出した。
「母上は君に何か渡さなかったか?」
静かに問いかけられた声にリスティーナはギクッとした。が、すぐに何事もなかったように取り繕うと、
「いいえ?何も受け取っていません。」
「…そうか。」
リスティーナの言葉にルーファスはあっさりと頷いた。
その反応にホッとした。
嘘を吐いた。本当は…、王妃様からリスティーナは茶葉を受け取っていた。
そして、それを彼に飲ますようにとも言われていた。
けれど、リスティーナはその事を彼に言わなかった。
―ごめんなさい。殿下…。
心の中で彼に謝りながら、リスティーナは茶葉を用意すると、ティーポットに手を伸ばした。
すると、パシッとルーファスに手首を掴まれた。
「え、殿下…?」
リスティーナをじっと見つめるルーファス。手を離そうとせず、黙ったままこちらを見つめ続けるルーファスにリスティーナは段々、恥ずかしさを感じた。すると、不意に彼がスッと手を離した。
「すまない。急に手を掴んだりして。」
そう言って、あっさりと手を離した彼にリスティーナは不思議そうにしながらも特に気にせず、お茶を淹れた。
「お口に合えばいいのですが…、」
リスティーナはそう言って、カップを置いた。ルーファスはカップを手に取ると、躊躇なく口をつけた。そんな彼にリスティーナは胸がざわついた。
「これは…?」
「レモングラスのハーブティーです。レモングラスは疲れを癒すのに効果があると聞いたので…、」
「そういえば、以前、この部屋に来た時もハーブティーを淹れてくれたな。君はハーブティーが好きなのか?」
「!」
ルーファスに拒絶をされたあの夜にリスティーナは彼にハーブティーを淹れた。
覚えてくれたんだ…。リスティーナは頷き、
「はい。私は紅茶やコーヒーよりもハーブティーが好きなんです。寝る前に飲んだりすると、よく眠れるんです。カモミールとかペパーミントとか…、」
「…そうか。」
ルーファスは穏やかな表情でリスティーナの話を黙って聞いてくれる。
「殿下はハーブティーはお好きですか?」
「好き、か…。そんな事考えたこともなかったな。」
ルーファスはそう呟くと、じっとハーブティーが入ったカップを見つめた。
「何故だろうな。今まで食べ物も飲み物も味気なくて特別美味しいと思ったことがなかったのにこのお茶は美味しいと思えた。」
そう語るルーファスの表情はいつもより、優しい。リスティーナはそんな彼から目が離せなかった。
「よ、良かったです。お口に合ったようで…、」
私が淹れたお茶を美味しいと言ってくれた。それがとても嬉しかった。
ハーブティーを口に含むといつも以上に美味しく感じた。
それは、やっぱり彼と一緒にお茶をしているからかもしれない。
そんな風に考えていると、
「聞かないのか?」
「?な、何をでしょうか?」
ルーファスの質問の意味がよく分からず、リスティーナはキョトンとした。
「母上から俺の事について色々と聞かされたんだろう。その事について何も聞かないのか?」
ルーファスの言葉にリスティーナは黙ったまま彼を見つめた。
無表情でこちらを見つめる目…。でも、私は知っている。その胸の内は悲しみと苦しみの感情があるのだということを。無表情なのはその感情を隠す為。
彼は他人の為に心を痛めることができる優しい心の持ち主だ。
だからこそ、私は…。リスティーナは緩く首を振った。
「いいんです。殿下が話したくないのなら、何も聞きません。」
「え…?」
ルーファスは目を見開いた。
「無理に思い出さなくてもいいですから。」
「っ!」
ルーファスは息を呑み、動揺したように目が揺らいだ。
「君は…、知っている筈だ。俺が妻達を殺したという事を。」
「確かに王妃様はそう仰っていました。でも、私はその話を信じていません。」
「何故?」
「だって…、殿下は仰っていたではありませんか。殺すつもりはなかったのだと。
王妃様から話を聞いた時にあの時の言葉を思い出したのです。そして、ふと思ったんです。もしかして、彼女達は殿下を殺そうとしたのではないのかと…。」
ピクッとルーファスの肩が跳ねた。やっぱり、そうだったんだ。
ルーファスの反応でリスティーナは確信した。
「ごめんなさい。不躾な事を言いました。」
「いや…。」
そう言ったきり、黙り込むルーファスにリスティーナは焦った。
余計な事を言ってしまった。殿下の心の傷をこれ以上、増やさないようにしようと思っていたのに…。
自分の不甲斐なさに落ち込んでいると、
「俺は…、誰も殺すつもりはなかった。そう言っても君は信じてくれるか?」
ルーファスはそう言って、リスティーナを見つめた。
その目はどこか怯えている様で怖がっているかのようだった。
そんな弱々しい表情を見せる彼にリスティーナは微笑んで頷いた。
「はい!勿論です。」
「そうか。」
フッと口角を上げて安心したように笑う彼にリスティーナはドキッとした。
たまに見せる彼の笑みはいつも不意打ちで心臓に悪い。
「君には…、本当の事を話しておきたい。聞いてくれるか?」
ルーファスはそう言って、真剣な表情でリスティーナの意思を確認した。
彼には無理に話さなくてもいいと言ったが本当は知りたかった。
彼と後宮の女性達との間で何があったのかを…。
リスティーナに断るという選択肢はなかった。
「はい。」
リスティーナは頷き、彼の話を聞いた。
ルーファスはリスティーナの隣に座り、静かに話した。
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