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第一章 出会い編
惹かれる心
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リスティーナはルーファスを見送った後、ベッドに腰掛け、そのままポフン、と音を立てて、横になった。
リスティーナは彼の側室だ。彼の側室として娶られたあの瞬間から、リスティーナは彼の支配下に置かれたも同然の立場だった。
私は彼の所有物であり、どんな扱いを受けても決して逆らうことは許されない。
王女とは名ばかりでずっと母国では冷遇されていた私が助けを求めた所で誰も助けてくれない。
あの父はリスティーナが国に帰って来ることを決して許しはしないだろう。
例え、暴力を振るわれて、乱暴にされて、道具のように扱われても…、リスティーナはただひたすらに耐え続けるしかない。そんな私を…、彼は一人の人間として尊重してくれている。
不遇な境遇にいようとも、彼の地位や立場はリスティーナよりも強い。
彼は紛れもなく、強い側にいる人間だ。虐げられ、踏みにじられるばかりの弱者の私とは全然違う。
今まで私を虐げてきた人間達と同じくらい…、いいえ。それ以上の立場にありながらも…、彼はあの人達のように私を虐げたり甚振ったりしない。
リスティーナはそれがとても嬉しかった。それに、彼はとても誠実で優しい人だ。
リスティーナは彼と過ごした時間を思い出し、胸がトクン、と高鳴った。
彼の性格だけじゃなく、時折見せる悲しい目が忘れられない。あの傷ついたような表情…。
きっと、彼は呪われた王子としてたくさんの人から恐れられ、敵意や悪意を向けられ、たくさん辛い思いをしてきたことだろう。彼の心の傷はリスティーナが思っているよりもずっと深いものだ。
何度も傷つけられ、苦しんだのだろう。それでも、他人への思いやりの心を忘れない彼にリスティーナはどうしようもなく惹かれた。もっと、彼を知りたい。
リスティーナはキュッと枕を握り締め、顔を埋めた。
「私…、」
いつの間に私はこんなに欲張りになってしまったのだろうか。今まで自分の心を殺して、ひたすら耐えて我慢して、生きてきたのに…。リスティーナはそんな自分に戸惑いながらもその思いを止めることができなかった。
「坊ちゃま!いえ、ルーファス殿下!視力が回復したというのは本当でございますか!?」
浴室から上がり、着替えをしたルーファスは白髪交じりの執事服を着た男の言葉に頷いた。
「ああ。ルカから聞いたのか?本当だ。」
「それは…、それはようございました。」
涙ぐんで喜ぶ壮年の男の姿にルーファスは声を掛けた。
「爺。そう言ってくれるのは嬉しいが今だけだ。俺の余命が僅かなのは変わらない。」
「っ、殿下!まだ…、まだ手はあります!その呪いを…、呪いさえ解ければ…、手がかりさえ見つければきっと…!」
生まれた時からずっと自分に仕えてくれた執事である爺は数少ないルーファスが信頼する人間だ。
もう、全てを諦めているルーファスと違い、爺はルーファスの呪いを解く手がかりを見つけようと数人の使用人達と懸命になって調べてくれている。
だが、爺には悪いがルーファスはとっくに諦めていた。
この呪いから逃れられるなら、もう死んでもいい。だから、死ぬ覚悟はいつでもできていた。
ミャア、と鳴く声にルーファスは視線を下げる。
そこには、一匹の黒い猫が円らな瞳でじっとこちらを見上げていた。ルーファスが屈んで手を伸ばせば猫は嬉しそうに腕の中に飛び込んだ。猫を抱えて、喉元を撫でてやる。ゴロゴロと喉を鳴らして目を細めるこの黒猫はルーファスの飼い猫だ。
「ノエル。お前の引き取り先も考えてやらないとな。」
ノエルと呼ばれた猫は小首を傾げて鳴き声を上げた。
「巫女の力があれば殿下の呪いも解けるかもしれませんのに…。それなのに、ローザ様ときたら…!」
ローザ、という名にルーファスはノエルを撫でていた手をピタリ、と止めた。
「爺。それ以上は言うな。」
「っ、申し訳ありません。」
ルーファスはノエルを床に下ろすと、口を開いた。
「爺。頼みがある。」
「ん…。」
リスティーナはふと目が覚めて、目を擦りながら起き上がった。いつの間にか寝てしまったみたい。
このまま寝ていたら夜になったら眠れなくなりそう。いい加減、起きないと…。見れば、もうすぐお昼の時間だ。そんなに寝てしまっていたのかと思っていると、
「お、お目覚めですか?リスティーナ様。」
その声に顔を上げればそこには、オレンジ色の癖毛をした可愛らしい侍女が立っていた。あの朝食の席でグラスの水を溢してしまったミラという名の侍女だ。
「喉は渇いておられませんか?よろしければ、こちらのお水をお飲みください。」
「え、ええ。ありがとう。」
いつもはもう少しよそよそしいというか事務的な態度なのに今の彼女は妙に優しいというか何か言いたげな表情をしている。ミラか受け取った水を飲み、その後も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるミラの様子に戸惑いながらもリスティーナは身を任せた。
「あの…、リスティーナ様…。る、ルーファス殿下のことなのですが…、あの後、二人っきりで過ごされたと聞きましたが…、な、何もされませんでしたか?」
「え?ええ。別に何もされてないわ。殿下とは少し話をしただけだもの。」
「そ、そうでしたか。それなら、いいのですが…。」
ホッと安堵したような顔をするミラにリスティーナはもしかして…、と思った。
「もしかして、心配してくれていたの?ありがとう。ミラ。」
「!い、いえ!」
ミラはびっくりしたように目を見開き、ブンブンと首を横に振った。
「そういえば、あの時、具合が悪そうだったけどもう大丈夫なの?」
「だ、大丈夫です!そもそも、あれはルーファス殿下が怖かっただけですので…、あっ…!」
ミラはしまったとでも言いたげに口を手で覆った。
「殿下が怖い…?」
「ち、違います!い、今のは忘れて下さい!わ、私は決して殿下の悪口なんて…!」
ミラは青ざめた顔をしながら、必死に否定した。きょろきょろと辺りを見回して怯えたように視線を彷徨わせる。
「もしかして、殿下が怖いのは呪われるかもしれないから?」
「ッ…!」
ビクッ!と肩を震わせたミラの反応でリスティーナはそれが肯定であると理解した。
「わ、わたし…、殿下の怒りを買ってしまったんです…!きっと、もうすぐわたしも殺されてしまうんです!」
ルーファスの怒りを買ったり、不快にさせてしまえば呪われてしまうかもしれない。そういった考えをする人間がこの王宮には多く存在しているのだろう。
実際、被害者もいるのだからそう思ってしまうのも仕方がないかもしれない。
でも、その被害者たちは本当は加害者の立場であって、先に彼に手を出したのは彼らなのに…。
でも、リスティーナだって今まで真実を知らずに上辺の噂でしか彼を知ることができなかった。その点はミラも私も同じだ。だからこそ…、その誤解は解いてあげたい。
「大丈夫。殿下は少し失敗したからと言って、怒ったりする方ではないわ。」
「そんな訳ありません!あんなに怒っていたじゃありませんか!しかも、あんなに怖い顔をして…!
あれは絶対に人を殺す目です!」
「殿下は優しい方だから、そんな事で一々、咎めたりしないわ。」
「え。や、優しいってあのルーファス殿下のことですか?」
「ええ。勿論。それに、本当にあなたを罰するつもりならその場で手を下している筈。あの時、ミラ達を追い出したのはきっと、あなた達が怖がっているのを知ってあえて出て行かせたのだと思うの。
だから、心配いらないわ。」
「は、はあ…。」
リスティーナの言葉にミラは目を見開き、戸惑った表情を浮かべている。
「もし、どうしても気になるのなら、私から殿下にお話ししておきましょうか?ただ、私は側室の身だから…。次にいつ会えるのか分からないけれど…。」
「そ、そんな!だ、大丈夫ですから!」
「そう?」
首を振って拒否をするミラにリスティーナは引き下がった。
リスティーナは彼の側室だ。彼の側室として娶られたあの瞬間から、リスティーナは彼の支配下に置かれたも同然の立場だった。
私は彼の所有物であり、どんな扱いを受けても決して逆らうことは許されない。
王女とは名ばかりでずっと母国では冷遇されていた私が助けを求めた所で誰も助けてくれない。
あの父はリスティーナが国に帰って来ることを決して許しはしないだろう。
例え、暴力を振るわれて、乱暴にされて、道具のように扱われても…、リスティーナはただひたすらに耐え続けるしかない。そんな私を…、彼は一人の人間として尊重してくれている。
不遇な境遇にいようとも、彼の地位や立場はリスティーナよりも強い。
彼は紛れもなく、強い側にいる人間だ。虐げられ、踏みにじられるばかりの弱者の私とは全然違う。
今まで私を虐げてきた人間達と同じくらい…、いいえ。それ以上の立場にありながらも…、彼はあの人達のように私を虐げたり甚振ったりしない。
リスティーナはそれがとても嬉しかった。それに、彼はとても誠実で優しい人だ。
リスティーナは彼と過ごした時間を思い出し、胸がトクン、と高鳴った。
彼の性格だけじゃなく、時折見せる悲しい目が忘れられない。あの傷ついたような表情…。
きっと、彼は呪われた王子としてたくさんの人から恐れられ、敵意や悪意を向けられ、たくさん辛い思いをしてきたことだろう。彼の心の傷はリスティーナが思っているよりもずっと深いものだ。
何度も傷つけられ、苦しんだのだろう。それでも、他人への思いやりの心を忘れない彼にリスティーナはどうしようもなく惹かれた。もっと、彼を知りたい。
リスティーナはキュッと枕を握り締め、顔を埋めた。
「私…、」
いつの間に私はこんなに欲張りになってしまったのだろうか。今まで自分の心を殺して、ひたすら耐えて我慢して、生きてきたのに…。リスティーナはそんな自分に戸惑いながらもその思いを止めることができなかった。
「坊ちゃま!いえ、ルーファス殿下!視力が回復したというのは本当でございますか!?」
浴室から上がり、着替えをしたルーファスは白髪交じりの執事服を着た男の言葉に頷いた。
「ああ。ルカから聞いたのか?本当だ。」
「それは…、それはようございました。」
涙ぐんで喜ぶ壮年の男の姿にルーファスは声を掛けた。
「爺。そう言ってくれるのは嬉しいが今だけだ。俺の余命が僅かなのは変わらない。」
「っ、殿下!まだ…、まだ手はあります!その呪いを…、呪いさえ解ければ…、手がかりさえ見つければきっと…!」
生まれた時からずっと自分に仕えてくれた執事である爺は数少ないルーファスが信頼する人間だ。
もう、全てを諦めているルーファスと違い、爺はルーファスの呪いを解く手がかりを見つけようと数人の使用人達と懸命になって調べてくれている。
だが、爺には悪いがルーファスはとっくに諦めていた。
この呪いから逃れられるなら、もう死んでもいい。だから、死ぬ覚悟はいつでもできていた。
ミャア、と鳴く声にルーファスは視線を下げる。
そこには、一匹の黒い猫が円らな瞳でじっとこちらを見上げていた。ルーファスが屈んで手を伸ばせば猫は嬉しそうに腕の中に飛び込んだ。猫を抱えて、喉元を撫でてやる。ゴロゴロと喉を鳴らして目を細めるこの黒猫はルーファスの飼い猫だ。
「ノエル。お前の引き取り先も考えてやらないとな。」
ノエルと呼ばれた猫は小首を傾げて鳴き声を上げた。
「巫女の力があれば殿下の呪いも解けるかもしれませんのに…。それなのに、ローザ様ときたら…!」
ローザ、という名にルーファスはノエルを撫でていた手をピタリ、と止めた。
「爺。それ以上は言うな。」
「っ、申し訳ありません。」
ルーファスはノエルを床に下ろすと、口を開いた。
「爺。頼みがある。」
「ん…。」
リスティーナはふと目が覚めて、目を擦りながら起き上がった。いつの間にか寝てしまったみたい。
このまま寝ていたら夜になったら眠れなくなりそう。いい加減、起きないと…。見れば、もうすぐお昼の時間だ。そんなに寝てしまっていたのかと思っていると、
「お、お目覚めですか?リスティーナ様。」
その声に顔を上げればそこには、オレンジ色の癖毛をした可愛らしい侍女が立っていた。あの朝食の席でグラスの水を溢してしまったミラという名の侍女だ。
「喉は渇いておられませんか?よろしければ、こちらのお水をお飲みください。」
「え、ええ。ありがとう。」
いつもはもう少しよそよそしいというか事務的な態度なのに今の彼女は妙に優しいというか何か言いたげな表情をしている。ミラか受け取った水を飲み、その後も甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるミラの様子に戸惑いながらもリスティーナは身を任せた。
「あの…、リスティーナ様…。る、ルーファス殿下のことなのですが…、あの後、二人っきりで過ごされたと聞きましたが…、な、何もされませんでしたか?」
「え?ええ。別に何もされてないわ。殿下とは少し話をしただけだもの。」
「そ、そうでしたか。それなら、いいのですが…。」
ホッと安堵したような顔をするミラにリスティーナはもしかして…、と思った。
「もしかして、心配してくれていたの?ありがとう。ミラ。」
「!い、いえ!」
ミラはびっくりしたように目を見開き、ブンブンと首を横に振った。
「そういえば、あの時、具合が悪そうだったけどもう大丈夫なの?」
「だ、大丈夫です!そもそも、あれはルーファス殿下が怖かっただけですので…、あっ…!」
ミラはしまったとでも言いたげに口を手で覆った。
「殿下が怖い…?」
「ち、違います!い、今のは忘れて下さい!わ、私は決して殿下の悪口なんて…!」
ミラは青ざめた顔をしながら、必死に否定した。きょろきょろと辺りを見回して怯えたように視線を彷徨わせる。
「もしかして、殿下が怖いのは呪われるかもしれないから?」
「ッ…!」
ビクッ!と肩を震わせたミラの反応でリスティーナはそれが肯定であると理解した。
「わ、わたし…、殿下の怒りを買ってしまったんです…!きっと、もうすぐわたしも殺されてしまうんです!」
ルーファスの怒りを買ったり、不快にさせてしまえば呪われてしまうかもしれない。そういった考えをする人間がこの王宮には多く存在しているのだろう。
実際、被害者もいるのだからそう思ってしまうのも仕方がないかもしれない。
でも、その被害者たちは本当は加害者の立場であって、先に彼に手を出したのは彼らなのに…。
でも、リスティーナだって今まで真実を知らずに上辺の噂でしか彼を知ることができなかった。その点はミラも私も同じだ。だからこそ…、その誤解は解いてあげたい。
「大丈夫。殿下は少し失敗したからと言って、怒ったりする方ではないわ。」
「そんな訳ありません!あんなに怒っていたじゃありませんか!しかも、あんなに怖い顔をして…!
あれは絶対に人を殺す目です!」
「殿下は優しい方だから、そんな事で一々、咎めたりしないわ。」
「え。や、優しいってあのルーファス殿下のことですか?」
「ええ。勿論。それに、本当にあなたを罰するつもりならその場で手を下している筈。あの時、ミラ達を追い出したのはきっと、あなた達が怖がっているのを知ってあえて出て行かせたのだと思うの。
だから、心配いらないわ。」
「は、はあ…。」
リスティーナの言葉にミラは目を見開き、戸惑った表情を浮かべている。
「もし、どうしても気になるのなら、私から殿下にお話ししておきましょうか?ただ、私は側室の身だから…。次にいつ会えるのか分からないけれど…。」
「そ、そんな!だ、大丈夫ですから!」
「そう?」
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