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第一章 出会い編
光を失った目
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「一体、何が…!?」
「特に何も異変は見られないが…、!?あ、あそこにいらっしゃるのはイグアス殿下ではないか!?」
先程、リスティーナがいた場所に衛兵達が駆け付けるがそこには、誰もいない。
何も異常はないと言いかけた衛兵だったが池の反対側の芝生に倒れているイグアスを発見し、慌てた。
「い、イグアス殿下!?」
バタバタと慌ただしい足音と飛び交う声が聞こえる。
物陰に隠れたリスティーナはそれらを耳にしながらルーファスの隣でじっと静かに身を潜めていた。見つからないかと心臓がバクバクと音を立てる。
衛兵たちが駆け付ける前にルーファスとリスティーナは茂みで覆われた物陰に身を隠した。
彼がここまで連れて来てくれたおかげだ。リスティーナはチラッとルーファスを横目で見つめた。
仮面で覆われている為、横顔が見えない。先程、月明りで見たルーファスの顔色は少しだけ良くなっている気がする。夜会に参加するという事は体調はもう大丈夫なのかな?
「…行ったようだな。」
その声にリスティーナはハッとした。
気が付けばいつの間にか騒ぎはおさまっていて、衛兵たちの姿もいなくなっていた。思わずホッと胸を撫で下ろした。そして、リスティーナはまだ彼に助けて貰ったお礼を言っていないことに気が付き、彼に目を向けた。
「あ、あの…、殿下。先程はありがとうございました…。助けて下さって…、」
深々と頭を下げ、感謝の言葉を伝えた。色々、聞きたいことはあったが何よりもまず彼にお礼を言いたかった。あの時、確かにルーファスはリスティーナを助けてくれたのだ。
例え、心の中でリスティーナを疎ましく思っていても、助けてくれたのは事実だ。誰も助けてくれないと諦めていたのに彼は助けてくれた。だから、リスティーナは深く感謝した。
「…いや…。」
ルーファスは目を逸らし、俯いた。
「悪かったな。」
「え?」
ルーファスの言葉にリスティーナは目をパチクリとした。
「すぐに助けなくて悪かった。あいつの女癖の悪さは知っていたし、またいつものように愛人と戯れているのだとばかり思ったんだ。だから、最初は君だと分からなかった。」
「い、いえ!そんな…、あの時、助けて下さっただけで私は…、」
何だ。そうだったのか。彼はあの時、無視したわけじゃなくて、私をイグアス殿下の愛人だと勘違いしただけなんだ。確かに一見、あの光景を目にしたら、誤解するのも無理はないかもしれない。
「あんな暗い所では気付かないのも無理ありませんし…、」
「…そうじゃない。」
ルーファスの否定の声にリスティーナは思わずえ?と彼を見つめた。
「俺は目が悪いんだ。…至近距離でも顔の輪郭がぼんやりとしか見えない。だから、あの時はせいぜい君の髪の色しか見えなくて、顔までは認識できなかった。」
「え、そ、そうなのですか?」
初耳だ。知らなかった。そういえば、ルーファスの目は光がなく、濁ったような淀んだような色をしている。もしかして、それって視力が悪いから…?
「別に全く見えないわけじゃない。かろうじて色と光の判別はできる。…まあ、ぼんやりとかすんでいるからほとんど見えていないのと同じだがな。」
自嘲するように話すルーファスにリスティーナは息を呑んだ。
「わ、私…、知りませんでした…。殿下の目が悪いだなんて…、あの、その目は一体いつから…?」
「生まれつき目が悪かったわけじゃない。昔、高熱に罹って呪いに襲われてから段々と目が見えなくなった。」
「…。」
つまり、彼の目は呪いによって光を失ったということ?
今まで噂程度しか彼の呪いについてしか聞かされていなかったがこうして、本人の口から聞かされると、改めて呪いの恐ろしさを知る。呪いのせいで彼は視力すらも奪われたばかりか、一時期は命が危ないとまでいわれる状態にまで体調が悪化していただなんて…。
自分は本当に彼の事を何も知らないのだと思い知らされる。仮にも側室なのに彼の目が悪いことも知らないだなんて…。
ふと、リスティーナは一つの疑問を抱いた。
「あ、あの…、それなら、どうしてあの時、私だと気付いたのですか?」
「最初は分からなかったが君の悲鳴を聞いて、その声で気が付いた。」
「そ、そうだったんですか。本当に助かりました。あのままだったら、私…、」
リスティーナはイグアスに襲われた時を思い出して、ぞっとした。
夫どころか夫の弟である義弟に純潔を奪われて、不義を犯してしまう所だった。
無理矢理押し倒され、思いやりも欠片もない乱暴なイグアスの手は恐怖しか感じなかった。
男女の契りは初めては痛いが慣れれば気持ちが良く、快楽を感じるようになると聞いたことがある。
けれど、リスティーナはあの時、気持ちいいどころかただただ怖くて、気持ち悪いとすら思った。
今にも泣きそうな震える声で話すリスティーナにルーファスはぽつりと小さな声で訊ねた。
「怖かったか?」
ルーファスの静かな問いかけにリスティーナはコクンと頷いた。
「…はい…。」
「君は、何故、あの時…、」
ルーファスはそこまで言いかけて、グッと口を閉ざした。
「殿下?」
言い淀む彼に不思議そうにリスティーナは首を傾げた。すると、ルーファスはぽつりと小さな声で疑問を口にした。
「君は何故…、あの時、助けを求めた?何故、イグアスを拒んだのだ?」
「え…、」
ルーファスの質問にリスティーナは言われた意味が分からなかった。
「イグアスは確かに女好きではあるがあの顔だ。女なら、誰しもが憧れる容姿に次期王太子の座に最も近いといわれている。地位も権力も容姿も全てが備わっている。…日陰者の俺とは違って、輝かしい未来が約束された優秀な男だ。俺などより、余程力がある。」
ルーファスは一度言葉を切ると、リスティーナを見つめた。目が合うがよく見ればぼんやりとしていて、焦点が定まっていない。それでも、彼がこちらを見ているのだと分かった。
「あの、質問の意味がよく…、分からないのですが…。」
「ここまで言われて、分からないのか?俺に擦り寄るよりはイグアスに媚を売った方がいいと言っているんだ。知っているだろ。俺はもうじき、死ぬ。王位継承権を受け継ぐ可能性はゼロに近い。
より高みを目指す為なら、俺ではなく、将来有望のイグアスを狙うべきだ。何なら、兄上でも高位貴族の連中でも、他に相手は幾らでも…、」
「どうして…、そのような事を仰るのですか?」
リスティーナは俯きながら震える声で言った。
「私は…、名ばかりの側室ですが、それでも殿下の妻です。
例え、殿下が私を妻とみて下さらなかったとしても構いません。でも、私は…、私だけは殿下の妻であるとそう思っています。だから…、殿下以外の男性と不貞を犯すつもりはありません!
お願いですから、そのような事を仰らないで下さい…。」
「…正気か?君はもう少し頭のいい女だと思っていたのだが。それとも、そうやって懐柔するように言われたのか?言った筈だ。俺に王位継承権の資格はほぼない。何の力も後ろ盾もない俺に取り入った所で…、」
「違います!私は誰かに命令された訳でも、地位や権力が欲しいわけでもありません!そんなもの…、私は欲しくない…!」
リスティーナは堪らずに叫んだ。地位や権力…。そんなものいらない。欲しくない。
過ぎた野心や欲は時に自分自身を破滅へと導く。母もよくそう言っていた。
王の寵愛を巡って醜い争いをする側室達の姿をリスティーナは何度も見てきた。
目的の為なら、どんな汚いことも平気でする。他人を傷つけ、踏みつけてでも手に入れようとする。
そこまでしてまで手に入れたいと自分は思わない。
「私はただ…、争いとは無縁の場所で…、静かに穏やかに暮らしたい。ただ、それだけなのです。」
「理解できない。なら、君は何故、俺を気遣うような振りをするんだ。見舞いに行きたいと言ったり、見舞いの品を贈ったり何を考えているんだ。」
「わ、私は…、振りではなく、本当に殿下が心配だっただけです!」
「心配?俺をか?」
ルーファスは嘲笑うように口角を上げた。嘘を吐けとでも言いたげな口調だ。
「本当です!嘘ではありません。殿下の体調が悪いと聞いて、心配で…、」
「何故、君が俺を心配するんだ?君が気にかける必要はないだろう。」
「私は殿下の側室です!気にかけるのは当然ではありませんか!それに、誰だって病気や怪我で苦しんでいる人がいれば心配するのは当たり前です。」
「…当たり前、か。」
ルーファスはぼそりと無感動に呟き、
「君の言い分は分かった。だが、静かに暮らしたいと言うのなら、尚更俺に近付くべきではないだろう。」
「それは…!でも、だからといって、殿下が苦しんでいるのに放っておくことなんてできません。」
「君は…、」
ルーファスが何かを言いかけるが結局、その先は何も言わなかった。グッと唇を引き結び、そのまま無言になるとルーファスはゆっくりと立ち上がった。
「特に何も異変は見られないが…、!?あ、あそこにいらっしゃるのはイグアス殿下ではないか!?」
先程、リスティーナがいた場所に衛兵達が駆け付けるがそこには、誰もいない。
何も異常はないと言いかけた衛兵だったが池の反対側の芝生に倒れているイグアスを発見し、慌てた。
「い、イグアス殿下!?」
バタバタと慌ただしい足音と飛び交う声が聞こえる。
物陰に隠れたリスティーナはそれらを耳にしながらルーファスの隣でじっと静かに身を潜めていた。見つからないかと心臓がバクバクと音を立てる。
衛兵たちが駆け付ける前にルーファスとリスティーナは茂みで覆われた物陰に身を隠した。
彼がここまで連れて来てくれたおかげだ。リスティーナはチラッとルーファスを横目で見つめた。
仮面で覆われている為、横顔が見えない。先程、月明りで見たルーファスの顔色は少しだけ良くなっている気がする。夜会に参加するという事は体調はもう大丈夫なのかな?
「…行ったようだな。」
その声にリスティーナはハッとした。
気が付けばいつの間にか騒ぎはおさまっていて、衛兵たちの姿もいなくなっていた。思わずホッと胸を撫で下ろした。そして、リスティーナはまだ彼に助けて貰ったお礼を言っていないことに気が付き、彼に目を向けた。
「あ、あの…、殿下。先程はありがとうございました…。助けて下さって…、」
深々と頭を下げ、感謝の言葉を伝えた。色々、聞きたいことはあったが何よりもまず彼にお礼を言いたかった。あの時、確かにルーファスはリスティーナを助けてくれたのだ。
例え、心の中でリスティーナを疎ましく思っていても、助けてくれたのは事実だ。誰も助けてくれないと諦めていたのに彼は助けてくれた。だから、リスティーナは深く感謝した。
「…いや…。」
ルーファスは目を逸らし、俯いた。
「悪かったな。」
「え?」
ルーファスの言葉にリスティーナは目をパチクリとした。
「すぐに助けなくて悪かった。あいつの女癖の悪さは知っていたし、またいつものように愛人と戯れているのだとばかり思ったんだ。だから、最初は君だと分からなかった。」
「い、いえ!そんな…、あの時、助けて下さっただけで私は…、」
何だ。そうだったのか。彼はあの時、無視したわけじゃなくて、私をイグアス殿下の愛人だと勘違いしただけなんだ。確かに一見、あの光景を目にしたら、誤解するのも無理はないかもしれない。
「あんな暗い所では気付かないのも無理ありませんし…、」
「…そうじゃない。」
ルーファスの否定の声にリスティーナは思わずえ?と彼を見つめた。
「俺は目が悪いんだ。…至近距離でも顔の輪郭がぼんやりとしか見えない。だから、あの時はせいぜい君の髪の色しか見えなくて、顔までは認識できなかった。」
「え、そ、そうなのですか?」
初耳だ。知らなかった。そういえば、ルーファスの目は光がなく、濁ったような淀んだような色をしている。もしかして、それって視力が悪いから…?
「別に全く見えないわけじゃない。かろうじて色と光の判別はできる。…まあ、ぼんやりとかすんでいるからほとんど見えていないのと同じだがな。」
自嘲するように話すルーファスにリスティーナは息を呑んだ。
「わ、私…、知りませんでした…。殿下の目が悪いだなんて…、あの、その目は一体いつから…?」
「生まれつき目が悪かったわけじゃない。昔、高熱に罹って呪いに襲われてから段々と目が見えなくなった。」
「…。」
つまり、彼の目は呪いによって光を失ったということ?
今まで噂程度しか彼の呪いについてしか聞かされていなかったがこうして、本人の口から聞かされると、改めて呪いの恐ろしさを知る。呪いのせいで彼は視力すらも奪われたばかりか、一時期は命が危ないとまでいわれる状態にまで体調が悪化していただなんて…。
自分は本当に彼の事を何も知らないのだと思い知らされる。仮にも側室なのに彼の目が悪いことも知らないだなんて…。
ふと、リスティーナは一つの疑問を抱いた。
「あ、あの…、それなら、どうしてあの時、私だと気付いたのですか?」
「最初は分からなかったが君の悲鳴を聞いて、その声で気が付いた。」
「そ、そうだったんですか。本当に助かりました。あのままだったら、私…、」
リスティーナはイグアスに襲われた時を思い出して、ぞっとした。
夫どころか夫の弟である義弟に純潔を奪われて、不義を犯してしまう所だった。
無理矢理押し倒され、思いやりも欠片もない乱暴なイグアスの手は恐怖しか感じなかった。
男女の契りは初めては痛いが慣れれば気持ちが良く、快楽を感じるようになると聞いたことがある。
けれど、リスティーナはあの時、気持ちいいどころかただただ怖くて、気持ち悪いとすら思った。
今にも泣きそうな震える声で話すリスティーナにルーファスはぽつりと小さな声で訊ねた。
「怖かったか?」
ルーファスの静かな問いかけにリスティーナはコクンと頷いた。
「…はい…。」
「君は、何故、あの時…、」
ルーファスはそこまで言いかけて、グッと口を閉ざした。
「殿下?」
言い淀む彼に不思議そうにリスティーナは首を傾げた。すると、ルーファスはぽつりと小さな声で疑問を口にした。
「君は何故…、あの時、助けを求めた?何故、イグアスを拒んだのだ?」
「え…、」
ルーファスの質問にリスティーナは言われた意味が分からなかった。
「イグアスは確かに女好きではあるがあの顔だ。女なら、誰しもが憧れる容姿に次期王太子の座に最も近いといわれている。地位も権力も容姿も全てが備わっている。…日陰者の俺とは違って、輝かしい未来が約束された優秀な男だ。俺などより、余程力がある。」
ルーファスは一度言葉を切ると、リスティーナを見つめた。目が合うがよく見ればぼんやりとしていて、焦点が定まっていない。それでも、彼がこちらを見ているのだと分かった。
「あの、質問の意味がよく…、分からないのですが…。」
「ここまで言われて、分からないのか?俺に擦り寄るよりはイグアスに媚を売った方がいいと言っているんだ。知っているだろ。俺はもうじき、死ぬ。王位継承権を受け継ぐ可能性はゼロに近い。
より高みを目指す為なら、俺ではなく、将来有望のイグアスを狙うべきだ。何なら、兄上でも高位貴族の連中でも、他に相手は幾らでも…、」
「どうして…、そのような事を仰るのですか?」
リスティーナは俯きながら震える声で言った。
「私は…、名ばかりの側室ですが、それでも殿下の妻です。
例え、殿下が私を妻とみて下さらなかったとしても構いません。でも、私は…、私だけは殿下の妻であるとそう思っています。だから…、殿下以外の男性と不貞を犯すつもりはありません!
お願いですから、そのような事を仰らないで下さい…。」
「…正気か?君はもう少し頭のいい女だと思っていたのだが。それとも、そうやって懐柔するように言われたのか?言った筈だ。俺に王位継承権の資格はほぼない。何の力も後ろ盾もない俺に取り入った所で…、」
「違います!私は誰かに命令された訳でも、地位や権力が欲しいわけでもありません!そんなもの…、私は欲しくない…!」
リスティーナは堪らずに叫んだ。地位や権力…。そんなものいらない。欲しくない。
過ぎた野心や欲は時に自分自身を破滅へと導く。母もよくそう言っていた。
王の寵愛を巡って醜い争いをする側室達の姿をリスティーナは何度も見てきた。
目的の為なら、どんな汚いことも平気でする。他人を傷つけ、踏みつけてでも手に入れようとする。
そこまでしてまで手に入れたいと自分は思わない。
「私はただ…、争いとは無縁の場所で…、静かに穏やかに暮らしたい。ただ、それだけなのです。」
「理解できない。なら、君は何故、俺を気遣うような振りをするんだ。見舞いに行きたいと言ったり、見舞いの品を贈ったり何を考えているんだ。」
「わ、私は…、振りではなく、本当に殿下が心配だっただけです!」
「心配?俺をか?」
ルーファスは嘲笑うように口角を上げた。嘘を吐けとでも言いたげな口調だ。
「本当です!嘘ではありません。殿下の体調が悪いと聞いて、心配で…、」
「何故、君が俺を心配するんだ?君が気にかける必要はないだろう。」
「私は殿下の側室です!気にかけるのは当然ではありませんか!それに、誰だって病気や怪我で苦しんでいる人がいれば心配するのは当たり前です。」
「…当たり前、か。」
ルーファスはぼそりと無感動に呟き、
「君の言い分は分かった。だが、静かに暮らしたいと言うのなら、尚更俺に近付くべきではないだろう。」
「それは…!でも、だからといって、殿下が苦しんでいるのに放っておくことなんてできません。」
「君は…、」
ルーファスが何かを言いかけるが結局、その先は何も言わなかった。グッと唇を引き結び、そのまま無言になるとルーファスはゆっくりと立ち上がった。
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