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第一章 出会い編
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―る、ルーファス殿下…!?
リスティーナは目を見開いた。その時、イグアスの手がドレスの上から胸元を鷲掴みにする。
「やっ…!?」
「へえ。悪くないな。大きさも形も丁度いい。」
ビクン、と恐怖と嫌悪に震え、リスティーナは縋るような目をルーファスに向けた。
が、スッと目を細めたルーファスはそのままリスティーナから目を逸らし、背を向けた。え…?とリスティーナは愕然とした。慌てて、ルーファスの背中に手を伸ばした。
「まっ…!」
が、ビリッと音を立てて、ドレスの胸元が引き裂かれる。悲鳴を上げるリスティーナに構わず、露になった二つの膨らみにイグアスは手を這わせながら、口角を上げた。
「いい加減、諦めろ。どうせ、誰も来ない。」
リスティーナは愕然とした。そうだ…。誰も私なんて、助けてくれない。
だって、この世界は残酷で…、とても冷たい世界なんだから…。そんなの…、ずっと前から分かっていたのに…。絶望感から身体から力が抜ける。もう…、いい。
「ん?大人しくなったな。口では嫌がりながらもまんざらでもなかったのか?」
そう言って、揶揄うように笑ったイグアスはそのままリスティーナの胸に顔を埋める。
リスティーナはもう抵抗しなかった。私は…、どうして、彼が助けてくれるって思っていたんだろう。どうせ、誰も…、助けになんかこないのに…。ボロッとまた一筋涙が流れた。
「何してる。イグアス。」
低く、淡々とした声…。リスティーナはハッと目を見開いた。
いつの間にか東屋の所までルーファスが来ており、柱に手を置き、冷ややかな表情でこちらを見下ろしていた。
「何だ。兄上か。」
イグアスは然して驚いた様子もなく、ゆっくりと立ち上がった。
リスティーナは慌てて身を起こし、胸元を隠した。兄であるルーファスの側室を押し倒している現場を見られたにも関わらず、イグアスに動揺した様子は欠片も見られない。むしろ、余裕すら感じる。
「見ての通り…、僕はただ異国の地に嫁がされて、兄上に見向きもされない可哀想な義姉上の相手をしていただけだ。」
「それは、俺の側室だ。お前がどの女と何をしようが構わないが、節度を守れ。」
「…へえ。兄上が僕に意見するなんて珍しい。今までそんな事一言も言わなかったのに。もしかして、今回の側室は特別なのかな?」
イグアスはチラッとリスティーナを見下ろす。思わず、ビクッとした。
「…特別も何も、その女は父上が無理矢理押し付けてきた名ばかりの側室だ。それが何をしようが俺には関係ない。」
助けてくれたと思った筈の冷ややかなルーファスの物言いにリスティーナは胸がズキッとした。
無理矢理押し付けられた女。名ばかりの側室。…分かってる。けれど、やっぱり面と向かってはっきりと言われると傷つく。私はどこに行っても必要とされない目障りな存在なのだと思うと…、とても虚しい。
「へえ…。じゃあ、僕が貰っても構わないよね?」
イグアスはルーファスに挑発的な目を向ける。イグアスより背が高いルーファスは無表情のままイグアスを見下ろし、
「…好きにすればいい。俺はそいつを縛りつけるつもりもないし、興味もない。…欲しいのなら、勝手に持って行け。」
まるで物のような言い方にリスティーナはギュッと自分を抱き締める腕を強くした。
「ただし…、無理強いはするな。」
「何だって?」
「本人の同意なしに無理矢理事に及ぶなと言っているんだ。…それとも、何だ。お前は力ずくでないと女一人物にできないというのか。」
「…なっ…、」
ルーファスの言葉にイグアスはカッと顔を赤くしてルーファスを睨みつける。
その鋭い視線は恐ろしく、睨まれていないリスティーナですらも恐怖を感じてしまう。
「ふざけるな!呪われた化け物王子の分際でよくもそんなふざけた口を…!」
そう言って、イグアスはルーファスの胸蔵を掴んだ。
「る、ルーファス殿下!」
リスティーナは声を上げるがそのままイグアスはルーファスに殴りかかった。イグアスの拳がルーファスの顔を殴りつけた。
「ぐわっ!?」
が、何故か殴った側のイグアスが勢いよく吹き飛んだ。それは一瞬の事でリスティーナは何が起こったのか分からなかった。イグアスの姿が消えたと思ったら、背後でバシャーン!と激しい水音がした。
振り返れば、池にイグアスが落ちていて、そのまま沈んでしまっている所だった。
「た、大変!」
リスティーナが顔を青褪めるがルーファスははあ、と溜息を吐くと、軽く指先を振った。
すると、池の水がいきなり、盛り上がり、まるで波のように高く上がると、バシャーンと音を立てて、反対側の芝生にイグアスの身体が打ち上げられていた。
「え…?」
リスティーナは唖然とした。い、今…、何が起こったの…?
イグアス殿下がルーファス殿下を殴ったかと思ったら、何故か殴った筈のイグアス殿下が吹き飛んで池に落ちてしまって…、そしたら、突然、池の水が波を引き起こしたみたいにイグアス殿下を助けて…、
まるで水が意志を持ったかのような…。立て続けに目の前で信じられない光景を目にして、リスティーナは頭が混乱した。
「…学習能力のない奴だ。」
ルーファスは軽く頬を擦り、呆れたように呟いた。リスティーナはルーファスを見上げた。彼の顔はさっき、イグアスに殴られたというのに、傷一つついていない。ルーファスはリスティーナを見下ろした。ルーファスと目が合い、リスティーナは慌てた。
イグアスに乱暴されてドレスを引き裂かれたリスティーナはかろうじて、胸は見られないように手で隠しているが肩は剥き出しで背中の半分が露になっている。
乱れた姿を見られないようにサッと彼に背を向けた。背中の素肌は見られてしまうが正面を見られるよりはずっとマシだった。恥ずかしくて、泣きそうになる。
カタカタと震えて俯くリスティーナはルーファスの顔が見れなかった。早く、早く何かを言わないと…、背後で衣擦れの音が聞こえる。そのまま足音が近付いたと思ったら…、パサッと頭に何かが被せられた。黒い何かが視界を覆う。
「…それでも着ていろ。何もないよりはマシだろう。」
頭に被せられたものに手をやれば、それはルーファスの上着だった。いつの間にか彼は上着を脱いでいて、シャツとベストだけの格好になっている。
「で、でも…、それでは殿下が…、」
「いいから、着ていろ。…俺の上着など使いたくないだろうが、今はそれで我慢しろ。」
「い、いえ!そんな事…、ありがとうございます…。」
リスティーナは彼の好意に甘えることにし、ルーファスの上着を肩に羽織った。
おかげで露出した肌を隠すことができた。リスティーナはホッとし、ルーファスを見上げる。すると、彼は律儀にもリスティーナに背を向けていた。
「あの…、も、もう大丈夫です。」
リスティーナの声にルーファスは振り返った。
「…立てるか?」
「は、はい!あ…、」
リスティーナは立ち上がろうとした。が、足に力が入らず、立ち上がることができなかった。
「どうした?」
「す、すみません。あの…、足に力が入らなくて…、」
「…。」
ルーファスは深く溜息を吐いた。どうしよう。呆れられたかもしれない。そう思っていると、スッと手を差し出された。
「掴まれ。」
「は、はい。ありがとうございます。」
リスティーナは黒い皮手袋に覆われたルーファスの手に掴まった。そのままグイッと手を引かれ、引っ張り上げられる。
「あっ…!?」
リスティーナはバランスを崩して、転びそうになったが咄嗟にルーファスが支えてくれたので転倒を免れた。顔を上げれば僅かに焦ったような表情を浮かべたルーファスが目に映った。
彼の光のない深淵のような黒い瞳と目が合った。
「あ、ありがとうございます…。」
「ッ!」
ルーファスは我に返ったように目を見開き、バッとリスティーナから身体を離した。
その時、バタバタとこちらに近付いてくる足音が聞こえた。衛兵たちの声だ。
さっきの音を聞きつけて駆けつけてきたのかもしれない。リスティーナは焦った。どうしよう。ここで見つかったら…、そう思っていると、ガッとルーファスに手首を掴まれた。
「…こっちだ。」
そのまま彼はリスティーナの手を引き、その場を離れた。
リスティーナは目を見開いた。その時、イグアスの手がドレスの上から胸元を鷲掴みにする。
「やっ…!?」
「へえ。悪くないな。大きさも形も丁度いい。」
ビクン、と恐怖と嫌悪に震え、リスティーナは縋るような目をルーファスに向けた。
が、スッと目を細めたルーファスはそのままリスティーナから目を逸らし、背を向けた。え…?とリスティーナは愕然とした。慌てて、ルーファスの背中に手を伸ばした。
「まっ…!」
が、ビリッと音を立てて、ドレスの胸元が引き裂かれる。悲鳴を上げるリスティーナに構わず、露になった二つの膨らみにイグアスは手を這わせながら、口角を上げた。
「いい加減、諦めろ。どうせ、誰も来ない。」
リスティーナは愕然とした。そうだ…。誰も私なんて、助けてくれない。
だって、この世界は残酷で…、とても冷たい世界なんだから…。そんなの…、ずっと前から分かっていたのに…。絶望感から身体から力が抜ける。もう…、いい。
「ん?大人しくなったな。口では嫌がりながらもまんざらでもなかったのか?」
そう言って、揶揄うように笑ったイグアスはそのままリスティーナの胸に顔を埋める。
リスティーナはもう抵抗しなかった。私は…、どうして、彼が助けてくれるって思っていたんだろう。どうせ、誰も…、助けになんかこないのに…。ボロッとまた一筋涙が流れた。
「何してる。イグアス。」
低く、淡々とした声…。リスティーナはハッと目を見開いた。
いつの間にか東屋の所までルーファスが来ており、柱に手を置き、冷ややかな表情でこちらを見下ろしていた。
「何だ。兄上か。」
イグアスは然して驚いた様子もなく、ゆっくりと立ち上がった。
リスティーナは慌てて身を起こし、胸元を隠した。兄であるルーファスの側室を押し倒している現場を見られたにも関わらず、イグアスに動揺した様子は欠片も見られない。むしろ、余裕すら感じる。
「見ての通り…、僕はただ異国の地に嫁がされて、兄上に見向きもされない可哀想な義姉上の相手をしていただけだ。」
「それは、俺の側室だ。お前がどの女と何をしようが構わないが、節度を守れ。」
「…へえ。兄上が僕に意見するなんて珍しい。今までそんな事一言も言わなかったのに。もしかして、今回の側室は特別なのかな?」
イグアスはチラッとリスティーナを見下ろす。思わず、ビクッとした。
「…特別も何も、その女は父上が無理矢理押し付けてきた名ばかりの側室だ。それが何をしようが俺には関係ない。」
助けてくれたと思った筈の冷ややかなルーファスの物言いにリスティーナは胸がズキッとした。
無理矢理押し付けられた女。名ばかりの側室。…分かってる。けれど、やっぱり面と向かってはっきりと言われると傷つく。私はどこに行っても必要とされない目障りな存在なのだと思うと…、とても虚しい。
「へえ…。じゃあ、僕が貰っても構わないよね?」
イグアスはルーファスに挑発的な目を向ける。イグアスより背が高いルーファスは無表情のままイグアスを見下ろし、
「…好きにすればいい。俺はそいつを縛りつけるつもりもないし、興味もない。…欲しいのなら、勝手に持って行け。」
まるで物のような言い方にリスティーナはギュッと自分を抱き締める腕を強くした。
「ただし…、無理強いはするな。」
「何だって?」
「本人の同意なしに無理矢理事に及ぶなと言っているんだ。…それとも、何だ。お前は力ずくでないと女一人物にできないというのか。」
「…なっ…、」
ルーファスの言葉にイグアスはカッと顔を赤くしてルーファスを睨みつける。
その鋭い視線は恐ろしく、睨まれていないリスティーナですらも恐怖を感じてしまう。
「ふざけるな!呪われた化け物王子の分際でよくもそんなふざけた口を…!」
そう言って、イグアスはルーファスの胸蔵を掴んだ。
「る、ルーファス殿下!」
リスティーナは声を上げるがそのままイグアスはルーファスに殴りかかった。イグアスの拳がルーファスの顔を殴りつけた。
「ぐわっ!?」
が、何故か殴った側のイグアスが勢いよく吹き飛んだ。それは一瞬の事でリスティーナは何が起こったのか分からなかった。イグアスの姿が消えたと思ったら、背後でバシャーン!と激しい水音がした。
振り返れば、池にイグアスが落ちていて、そのまま沈んでしまっている所だった。
「た、大変!」
リスティーナが顔を青褪めるがルーファスははあ、と溜息を吐くと、軽く指先を振った。
すると、池の水がいきなり、盛り上がり、まるで波のように高く上がると、バシャーンと音を立てて、反対側の芝生にイグアスの身体が打ち上げられていた。
「え…?」
リスティーナは唖然とした。い、今…、何が起こったの…?
イグアス殿下がルーファス殿下を殴ったかと思ったら、何故か殴った筈のイグアス殿下が吹き飛んで池に落ちてしまって…、そしたら、突然、池の水が波を引き起こしたみたいにイグアス殿下を助けて…、
まるで水が意志を持ったかのような…。立て続けに目の前で信じられない光景を目にして、リスティーナは頭が混乱した。
「…学習能力のない奴だ。」
ルーファスは軽く頬を擦り、呆れたように呟いた。リスティーナはルーファスを見上げた。彼の顔はさっき、イグアスに殴られたというのに、傷一つついていない。ルーファスはリスティーナを見下ろした。ルーファスと目が合い、リスティーナは慌てた。
イグアスに乱暴されてドレスを引き裂かれたリスティーナはかろうじて、胸は見られないように手で隠しているが肩は剥き出しで背中の半分が露になっている。
乱れた姿を見られないようにサッと彼に背を向けた。背中の素肌は見られてしまうが正面を見られるよりはずっとマシだった。恥ずかしくて、泣きそうになる。
カタカタと震えて俯くリスティーナはルーファスの顔が見れなかった。早く、早く何かを言わないと…、背後で衣擦れの音が聞こえる。そのまま足音が近付いたと思ったら…、パサッと頭に何かが被せられた。黒い何かが視界を覆う。
「…それでも着ていろ。何もないよりはマシだろう。」
頭に被せられたものに手をやれば、それはルーファスの上着だった。いつの間にか彼は上着を脱いでいて、シャツとベストだけの格好になっている。
「で、でも…、それでは殿下が…、」
「いいから、着ていろ。…俺の上着など使いたくないだろうが、今はそれで我慢しろ。」
「い、いえ!そんな事…、ありがとうございます…。」
リスティーナは彼の好意に甘えることにし、ルーファスの上着を肩に羽織った。
おかげで露出した肌を隠すことができた。リスティーナはホッとし、ルーファスを見上げる。すると、彼は律儀にもリスティーナに背を向けていた。
「あの…、も、もう大丈夫です。」
リスティーナの声にルーファスは振り返った。
「…立てるか?」
「は、はい!あ…、」
リスティーナは立ち上がろうとした。が、足に力が入らず、立ち上がることができなかった。
「どうした?」
「す、すみません。あの…、足に力が入らなくて…、」
「…。」
ルーファスは深く溜息を吐いた。どうしよう。呆れられたかもしれない。そう思っていると、スッと手を差し出された。
「掴まれ。」
「は、はい。ありがとうございます。」
リスティーナは黒い皮手袋に覆われたルーファスの手に掴まった。そのままグイッと手を引かれ、引っ張り上げられる。
「あっ…!?」
リスティーナはバランスを崩して、転びそうになったが咄嗟にルーファスが支えてくれたので転倒を免れた。顔を上げれば僅かに焦ったような表情を浮かべたルーファスが目に映った。
彼の光のない深淵のような黒い瞳と目が合った。
「あ、ありがとうございます…。」
「ッ!」
ルーファスは我に返ったように目を見開き、バッとリスティーナから身体を離した。
その時、バタバタとこちらに近付いてくる足音が聞こえた。衛兵たちの声だ。
さっきの音を聞きつけて駆けつけてきたのかもしれない。リスティーナは焦った。どうしよう。ここで見つかったら…、そう思っていると、ガッとルーファスに手首を掴まれた。
「…こっちだ。」
そのまま彼はリスティーナの手を引き、その場を離れた。
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