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第二章
#99 月に叢雲 花に風 前篇
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「ねえ、三ツ木さん。今度の金曜なんだけど、合コンやるの。来ない?」
同じ学部の美園仁子さんが、声をかけてくれた。
「ありがとう。でも、そう云うのは参加出来ないです」わたしは断わった。
「人数が足りないのよ! お願い!」
美園さんが何度も頭を下げてくるが答えは同じだ。
「わたし彼氏いるからごめんね」
あまり執拗いので、わたしはその理由を伝えた。
「うそっ!」
まあ、わたしに彼氏がいるなんて誰も思わないよね…
校舎から出て中庭を正門に向かって歩いて行く。
「ねえ、どうしてもダメ?」
「ごめんね。大切な人だから誠実でいたいの」
やだな…
男の人となんて話しもしたくないのに…
正門付近まで来ると何やら騒がしい…
女の子がやたら集まって騒いでいるこの感じ…
高校の時に見慣れた光景だ…
「真古都さん!」
…………うそっ?!
女の子が固まってる中から聞き慣れた声が訊こえてくる。
まさかとは思ったけど、なんで?
平日のこの時間て…まだ学校だよ?
「逢いたかった!」
霧島くんは近づくなりわたしを抱き締めた。
キャ~ッ!
女の子たちの黄色い声が飛び交う…
この周りの反応も一緒…
次は…多分…
「大好きな真古都さん。逢えて嬉しい」
握られた手の甲に軽くキスをされ赤い薔薇の花束を差し出される。
何度も経験済みとは云え…
やっぱり慣れない…
仕立ての良い上品なスーツにリボンのタイ…
相変わらず王子様みたい。
卒業式以来だけど…
霧島くんのカッコ良さは変わらない…
「み…三ツ木さん、この人だれ?」
美園さんが霧島くんを見つめながらわたしに訊いてきた。
「あ…霧島数祈くん。高校の後輩です」
わたしは美園さんに型通りの紹介をする。
「はじめまして。霧島数祈です」
霧島くんはその甘いマスクで柔らかな笑顔を彼女に向けて挨拶してる。
「わ…わたし美園仁子といいます。三ツ木さんとは同じ学部で仲良くしてるの!」
凄いアピールだな…
でも仲良くは失言だよ…
わたしがコミュ障なの
霧島くんだって知ってる筈だもの…
「真古都さんに仲の良い友人がいるなんて知らなかったよ。彼女人見知りするけどよろしくね」
霧島くんも涼しい顔で答えてる…
「彼女とは仲良しなんです!任せてください!
だからわたしの名前も覚えていてくださいね!
数祈くん」
美園さんが霧島くんにすり寄ってる…
「勿論ですよ。僕の大切な真古都さんに仲良くしてくれる美園仁子さん」
霧島くん、笑ってるけど…
起こってるな…きっと…
「真古都さん行こう。それじゃあまたね仁子さん」
わたしは霧島くんに手を引かれながらその場をあとにする。
「あの子…嘘つきだなぁ…」
霧島くんが笑って言う。
「そんなことより学校はどうしたの?」
わたしは心配になって訊いた。
「ん? 辞めちゃったよ」
「えっ?」
「真古都さんのいない学校に行っても仕方ないから…辞めちゃった」
霧島くんがまるでそれが当たり前かのように笑って答えてる。
同じ学部の美園仁子さんが、声をかけてくれた。
「ありがとう。でも、そう云うのは参加出来ないです」わたしは断わった。
「人数が足りないのよ! お願い!」
美園さんが何度も頭を下げてくるが答えは同じだ。
「わたし彼氏いるからごめんね」
あまり執拗いので、わたしはその理由を伝えた。
「うそっ!」
まあ、わたしに彼氏がいるなんて誰も思わないよね…
校舎から出て中庭を正門に向かって歩いて行く。
「ねえ、どうしてもダメ?」
「ごめんね。大切な人だから誠実でいたいの」
やだな…
男の人となんて話しもしたくないのに…
正門付近まで来ると何やら騒がしい…
女の子がやたら集まって騒いでいるこの感じ…
高校の時に見慣れた光景だ…
「真古都さん!」
…………うそっ?!
女の子が固まってる中から聞き慣れた声が訊こえてくる。
まさかとは思ったけど、なんで?
平日のこの時間て…まだ学校だよ?
「逢いたかった!」
霧島くんは近づくなりわたしを抱き締めた。
キャ~ッ!
女の子たちの黄色い声が飛び交う…
この周りの反応も一緒…
次は…多分…
「大好きな真古都さん。逢えて嬉しい」
握られた手の甲に軽くキスをされ赤い薔薇の花束を差し出される。
何度も経験済みとは云え…
やっぱり慣れない…
仕立ての良い上品なスーツにリボンのタイ…
相変わらず王子様みたい。
卒業式以来だけど…
霧島くんのカッコ良さは変わらない…
「み…三ツ木さん、この人だれ?」
美園さんが霧島くんを見つめながらわたしに訊いてきた。
「あ…霧島数祈くん。高校の後輩です」
わたしは美園さんに型通りの紹介をする。
「はじめまして。霧島数祈です」
霧島くんはその甘いマスクで柔らかな笑顔を彼女に向けて挨拶してる。
「わ…わたし美園仁子といいます。三ツ木さんとは同じ学部で仲良くしてるの!」
凄いアピールだな…
でも仲良くは失言だよ…
わたしがコミュ障なの
霧島くんだって知ってる筈だもの…
「真古都さんに仲の良い友人がいるなんて知らなかったよ。彼女人見知りするけどよろしくね」
霧島くんも涼しい顔で答えてる…
「彼女とは仲良しなんです!任せてください!
だからわたしの名前も覚えていてくださいね!
数祈くん」
美園さんが霧島くんにすり寄ってる…
「勿論ですよ。僕の大切な真古都さんに仲良くしてくれる美園仁子さん」
霧島くん、笑ってるけど…
起こってるな…きっと…
「真古都さん行こう。それじゃあまたね仁子さん」
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「あの子…嘘つきだなぁ…」
霧島くんが笑って言う。
「そんなことより学校はどうしたの?」
わたしは心配になって訊いた。
「ん? 辞めちゃったよ」
「えっ?」
「真古都さんのいない学校に行っても仕方ないから…辞めちゃった」
霧島くんがまるでそれが当たり前かのように笑って答えてる。
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