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#83話 宣戦布告
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始業式の日、真古都は学校へ来なかった。
彼女が登校したのは、それから三日後だ。
『結局三日も休んじゃった…』
休んだ本当の理由は誰も知らないのに、なんだか恥ずかしくてわたしは下を向いて歩いている。
「真古都さん、おはよう!」
霧嶋くんがわたしを見つけると、駆け寄って来てくれた。
「あまり休んだ事がない真古都さんが三日も休むから心配したよ」
「ごめんね、ちょっと体調が悪くて…」
いつものように霧嶋くんがわたしの手を取り、そこにキスをしてくれる。
いつもと違ったのはわたしの方だった。
何でもなかった霧嶋くんのキスを、妙に意識してしまった。
握られた手や、指に触れる霧嶋くんの唇の温度に心臓が跳ねた。
「どうしたの? 顔、赤いよ?」
「ま…まだ本調子じゃないのかも…」
わたしは慌てて誤魔化した。
心配してわたしの頬に触れる霧嶋くんの指に顔が熱くなる…
「今日の真古都さん、可愛いね」
「もう、ふざけないでっ!」
真古都さんが頬を染めてうつむいている…
僕と一緒にいて初めて見せる顔だ。
真古都さんは本調子じゃないからと誤魔化してる…
でも…半分は嬉しいかな…
あれだけ何をしても無反応だったのに
僕を意識してくれてるんだから…
真古都さんの手を握ったまま学校へ着くと、
昇降口の前に先輩がいた。
「先輩、おはようございます。真古都さんの躰、
学校に来れるくらいにはなったみたいですよ」
僕は少し皮肉混じりに言った。
「お…おう」
少し慌ててる先輩の顔が妙に可笑しい。
「じゃあ真古都さん、またね」
わざと先輩の前で彼女の頬にキスをした。
赤くなった真古都さん可愛いな…
「離れろ霧嶋!」
相変わらず僕のする事にイチイチ五月蝿いな。
「お前に話がある。放課後時間をくれ」
どうせ真古都さんの事だよね…
「先輩とデートなんて勘弁して欲しいけど…
まあ、いいですよ。今日は僕も気分いいんで」
僕の方も先輩には、この際はっきりと言っとくべきだしな…
真古都と渡り廊下の所まで一緒に来た。
「今日は霧嶋と話しをしようと思う」
真古都が心配そうな顔で俺を見る。
「少し待っててもらうが、校門のところにいてくれるか?」
途端に真古都の顔が、不安から笑顔に変わる。
「うん、翔くん来るの待ってるね」
帰りの待ち合わせを校門に決め、お互い自分の教室へ行った。
今日は部活が休みなので、霧嶋とは部室で話しをする事になった。
「せれで、話って何ですか?」
先に切り出したのは霧嶋だった。
「お前には悪いが、真古都は諦めてくれ」
俺は単刀直入に言った。
「諦める理由がありません」
霧嶋は引くつもりはないようだ。
「俺と真古都はちゃんと付き合う事になった」
「今までだって、一応付き合ってたじゃないですか」
「お…お互いの気持ちを確認した…」
「はぁーっ」
霧嶋が大きな溜息を吐く。
「何、回りくどい事言ってんですか…要は真古都さんとしたんでしょ?」
霧嶋のストレートな言い方に俺の方が焦った。
「今日の真古都さんの態度見てたら解りますよ…
僕を変に男として意識してましたから…
全く…朴念仁の先輩によくそんな度胸があったもんだ…」
呆れながら話す霧嶋の態度が鼻につく。
「先輩、僕 前に言いましたよね?
僕を甘く見ないで下さいって、
先輩と真古都さんの間で何があってもそんなの
想定内なんですよ」
霧嶋が平然とした顔で話している。
「そりゃあ、先輩に先を越されたのは癪に障りますけど…彼氏のいる女の子を好きになったんだ。
そんな事くらいで諦める訳ないでしょ」
霧嶋が真っ直ぐに俺を見て言った。
「逆に、先輩に感謝しないといけないな…
先輩のお陰で、僕に対してあれだけ無反応だった真古都さんが、僕を男として意識するようになってくれたんですよ。可愛かったな」
「黙れ!お前には絶対渡さない!」
やっと自分の想いを伝え、彼女も俺を望んでくれてるのに!
いくらこいつに事情があってもこれだけは譲れない!
「お好きにどうぞ。
どうせ先輩のことだから、告白の勢いでそのまましちゃったんでしょ?
真古都さんにとっては初めてなのに…
僕は真古都さんさえ手に入ればあとは何もいらないので、遠慮なくこれからもガンガン行かせてもらいますね」
霧嶋は俺に笑顔を見せて、
真古都を取ると宣言してきた!
彼女が登校したのは、それから三日後だ。
『結局三日も休んじゃった…』
休んだ本当の理由は誰も知らないのに、なんだか恥ずかしくてわたしは下を向いて歩いている。
「真古都さん、おはよう!」
霧嶋くんがわたしを見つけると、駆け寄って来てくれた。
「あまり休んだ事がない真古都さんが三日も休むから心配したよ」
「ごめんね、ちょっと体調が悪くて…」
いつものように霧嶋くんがわたしの手を取り、そこにキスをしてくれる。
いつもと違ったのはわたしの方だった。
何でもなかった霧嶋くんのキスを、妙に意識してしまった。
握られた手や、指に触れる霧嶋くんの唇の温度に心臓が跳ねた。
「どうしたの? 顔、赤いよ?」
「ま…まだ本調子じゃないのかも…」
わたしは慌てて誤魔化した。
心配してわたしの頬に触れる霧嶋くんの指に顔が熱くなる…
「今日の真古都さん、可愛いね」
「もう、ふざけないでっ!」
真古都さんが頬を染めてうつむいている…
僕と一緒にいて初めて見せる顔だ。
真古都さんは本調子じゃないからと誤魔化してる…
でも…半分は嬉しいかな…
あれだけ何をしても無反応だったのに
僕を意識してくれてるんだから…
真古都さんの手を握ったまま学校へ着くと、
昇降口の前に先輩がいた。
「先輩、おはようございます。真古都さんの躰、
学校に来れるくらいにはなったみたいですよ」
僕は少し皮肉混じりに言った。
「お…おう」
少し慌ててる先輩の顔が妙に可笑しい。
「じゃあ真古都さん、またね」
わざと先輩の前で彼女の頬にキスをした。
赤くなった真古都さん可愛いな…
「離れろ霧嶋!」
相変わらず僕のする事にイチイチ五月蝿いな。
「お前に話がある。放課後時間をくれ」
どうせ真古都さんの事だよね…
「先輩とデートなんて勘弁して欲しいけど…
まあ、いいですよ。今日は僕も気分いいんで」
僕の方も先輩には、この際はっきりと言っとくべきだしな…
真古都と渡り廊下の所まで一緒に来た。
「今日は霧嶋と話しをしようと思う」
真古都が心配そうな顔で俺を見る。
「少し待っててもらうが、校門のところにいてくれるか?」
途端に真古都の顔が、不安から笑顔に変わる。
「うん、翔くん来るの待ってるね」
帰りの待ち合わせを校門に決め、お互い自分の教室へ行った。
今日は部活が休みなので、霧嶋とは部室で話しをする事になった。
「せれで、話って何ですか?」
先に切り出したのは霧嶋だった。
「お前には悪いが、真古都は諦めてくれ」
俺は単刀直入に言った。
「諦める理由がありません」
霧嶋は引くつもりはないようだ。
「俺と真古都はちゃんと付き合う事になった」
「今までだって、一応付き合ってたじゃないですか」
「お…お互いの気持ちを確認した…」
「はぁーっ」
霧嶋が大きな溜息を吐く。
「何、回りくどい事言ってんですか…要は真古都さんとしたんでしょ?」
霧嶋のストレートな言い方に俺の方が焦った。
「今日の真古都さんの態度見てたら解りますよ…
僕を変に男として意識してましたから…
全く…朴念仁の先輩によくそんな度胸があったもんだ…」
呆れながら話す霧嶋の態度が鼻につく。
「先輩、僕 前に言いましたよね?
僕を甘く見ないで下さいって、
先輩と真古都さんの間で何があってもそんなの
想定内なんですよ」
霧嶋が平然とした顔で話している。
「そりゃあ、先輩に先を越されたのは癪に障りますけど…彼氏のいる女の子を好きになったんだ。
そんな事くらいで諦める訳ないでしょ」
霧嶋が真っ直ぐに俺を見て言った。
「逆に、先輩に感謝しないといけないな…
先輩のお陰で、僕に対してあれだけ無反応だった真古都さんが、僕を男として意識するようになってくれたんですよ。可愛かったな」
「黙れ!お前には絶対渡さない!」
やっと自分の想いを伝え、彼女も俺を望んでくれてるのに!
いくらこいつに事情があってもこれだけは譲れない!
「お好きにどうぞ。
どうせ先輩のことだから、告白の勢いでそのまましちゃったんでしょ?
真古都さんにとっては初めてなのに…
僕は真古都さんさえ手に入ればあとは何もいらないので、遠慮なくこれからもガンガン行かせてもらいますね」
霧嶋は俺に笑顔を見せて、
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