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#59話 一難去ってまた一難…
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文化祭の実行委員になっているので、
今年は瀬戸くん凄く忙しくて大変そう…
「真古都さん…お願いがあるんだけど…」
霧嶋くんが困った顔をして部室に入って来た。
「ウチのクラス演劇で、
僕衣装担当なんだけどちょっと判らないところがあるんだ…」
そう言って持ってきた衣装を見せてくれる。
「大丈夫。ここは簡単だよ、見てて」
真古都さんは自分の裁縫箱を持って来て、
仮縫いの衣装を仕上げていく。
先輩が実行委員会でいないから、
二人だけの時間だ。
僕と話をしながら縫い進めてくれる。
「真古都、待たせたな」
俺が部室に戻ると、霧嶋のヤツが、
真古都の直ぐ側に座っている。
「何やってんだ?」
「あっ 瀬戸くん
霧嶋くんが演劇の衣装担当なんだって。
だから分からないところ教えてるの」
真古都はそう言いながら、
手元の衣装をせっせと縫っている。
「へぇ~ 衣装ねえ…
お前の事だから王子役でもすると思ってたけど」
俺は横目でチラリと霧嶋を見た。
「僕だって裏方の仕事くらいしますよ。
それに、僕が出たら他の男子に悪いでしょ」
霧嶋がバツの悪い顔をしている。
「それより、真古都さん去年は後夜祭出たの?」
霧嶋が躰を寄せて訊いている。
「出ないよ。片付けが終わったら瀬戸くんと
帰っちゃったから」
「ならさ、最後に花火が上がるみたいだから
一緒に見ようよ!
ねっ? お願い!」
霧嶋のヤツが真古都に手を合わせて頼んでいる。
「もう、大袈裟だな…
判った、係の仕事が終わったら校庭の隅に
行ってるね」
俺の前でも堂々と真古都にベタつく霧嶋に
腹が立つ!
コイツが自分で縫えもしない衣装担当だなんて
絶対わざとだな!
役を貰えば練習で来れなくなるもんだから…
くそっ!
文化祭当日は三人共それぞれ忙しく、
一緒に休憩も取れなかった。
俺が係の仕事中、真古都が親父と露月さんを
連れてきた。
「巡回中に会ったから案内してるの」
「そんな親父の我が儘訊かなくていいから!
露月さんも親父を止めてくれよ!」
文句を言ってる俺には目もくれず、
親父は真古都と次の場所へ歩き出してる。
「まあまあ、良いじゃないですか。
社長は翔吾くんの未来のお嫁さんが
可愛くて仕方ないんですよ」
その言葉に俺は顔から火が出そうだった。
僕が真古都さんを花火に誘ったのは
訳があった。
花火の前に、どこの学校でもある
告白イベントに出るためだ。
直球勝負は真古都さんにはダメそうだから
周りから少しづつ攻めて行くことにしたよ。
『結構片付けに時間かかっちゃったな
でも花火には間に合いそう』
そう思って校庭に行くと
〔2年C組三ツ木真古都さんいませんか~〕
と、マイクで呼ばれてる。
『えっ? 何?』
わたしが戸惑っていると、係の人が走って来て、
校庭の真ん中に連れて行かれた。
『や…やだっ…何なの?』
「真古都さん」
声がする方へ顔を向けると、
壇上に霧嶋くんがマイクを片手に立っている。
「真古都さん、僕と結婚して下さい」
「えっ? えっー!」
周りにいた他の生徒たちも騒然となる。
「今すぐ返事はいらないよ。
その代わり、僕が18になるまで、
僕をそう云う対象の男としてちゃんと見て」
「だ…だって…わたしには瀬戸くんが…」
「でもそれって、
ただ付き合ってるだけでしょ?
婚約してる訳じゃ無いんだから
プロポーズの権利は僕にもあるよね」
霧嶋くんがニッコリ笑いながら近づいて、
わたしの手を取ると、そこに口づけをする。
今年は瀬戸くん凄く忙しくて大変そう…
「真古都さん…お願いがあるんだけど…」
霧嶋くんが困った顔をして部室に入って来た。
「ウチのクラス演劇で、
僕衣装担当なんだけどちょっと判らないところがあるんだ…」
そう言って持ってきた衣装を見せてくれる。
「大丈夫。ここは簡単だよ、見てて」
真古都さんは自分の裁縫箱を持って来て、
仮縫いの衣装を仕上げていく。
先輩が実行委員会でいないから、
二人だけの時間だ。
僕と話をしながら縫い進めてくれる。
「真古都、待たせたな」
俺が部室に戻ると、霧嶋のヤツが、
真古都の直ぐ側に座っている。
「何やってんだ?」
「あっ 瀬戸くん
霧嶋くんが演劇の衣装担当なんだって。
だから分からないところ教えてるの」
真古都はそう言いながら、
手元の衣装をせっせと縫っている。
「へぇ~ 衣装ねえ…
お前の事だから王子役でもすると思ってたけど」
俺は横目でチラリと霧嶋を見た。
「僕だって裏方の仕事くらいしますよ。
それに、僕が出たら他の男子に悪いでしょ」
霧嶋がバツの悪い顔をしている。
「それより、真古都さん去年は後夜祭出たの?」
霧嶋が躰を寄せて訊いている。
「出ないよ。片付けが終わったら瀬戸くんと
帰っちゃったから」
「ならさ、最後に花火が上がるみたいだから
一緒に見ようよ!
ねっ? お願い!」
霧嶋のヤツが真古都に手を合わせて頼んでいる。
「もう、大袈裟だな…
判った、係の仕事が終わったら校庭の隅に
行ってるね」
俺の前でも堂々と真古都にベタつく霧嶋に
腹が立つ!
コイツが自分で縫えもしない衣装担当だなんて
絶対わざとだな!
役を貰えば練習で来れなくなるもんだから…
くそっ!
文化祭当日は三人共それぞれ忙しく、
一緒に休憩も取れなかった。
俺が係の仕事中、真古都が親父と露月さんを
連れてきた。
「巡回中に会ったから案内してるの」
「そんな親父の我が儘訊かなくていいから!
露月さんも親父を止めてくれよ!」
文句を言ってる俺には目もくれず、
親父は真古都と次の場所へ歩き出してる。
「まあまあ、良いじゃないですか。
社長は翔吾くんの未来のお嫁さんが
可愛くて仕方ないんですよ」
その言葉に俺は顔から火が出そうだった。
僕が真古都さんを花火に誘ったのは
訳があった。
花火の前に、どこの学校でもある
告白イベントに出るためだ。
直球勝負は真古都さんにはダメそうだから
周りから少しづつ攻めて行くことにしたよ。
『結構片付けに時間かかっちゃったな
でも花火には間に合いそう』
そう思って校庭に行くと
〔2年C組三ツ木真古都さんいませんか~〕
と、マイクで呼ばれてる。
『えっ? 何?』
わたしが戸惑っていると、係の人が走って来て、
校庭の真ん中に連れて行かれた。
『や…やだっ…何なの?』
「真古都さん」
声がする方へ顔を向けると、
壇上に霧嶋くんがマイクを片手に立っている。
「真古都さん、僕と結婚して下さい」
「えっ? えっー!」
周りにいた他の生徒たちも騒然となる。
「今すぐ返事はいらないよ。
その代わり、僕が18になるまで、
僕をそう云う対象の男としてちゃんと見て」
「だ…だって…わたしには瀬戸くんが…」
「でもそれって、
ただ付き合ってるだけでしょ?
婚約してる訳じゃ無いんだから
プロポーズの権利は僕にもあるよね」
霧嶋くんがニッコリ笑いながら近づいて、
わたしの手を取ると、そこに口づけをする。
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