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パンナ・コッタ
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いつ動き出すのかも分からない大行列。
そこに並ぶ人々は、疲労混倍で皆、俯きながら目が死んでいた。
そんな行列を横目に見ながら歩いていた女神は、前を先導するロリータチャーミングな巫女服姿の鬼娘に話しかけられた。
「女神しゃま、女神しゃま。歩く速さは大丈夫でしゅか?
もう少しゆっくりにした方がいいでしゅかねえ~?」
「わたし達に気を遣って頂いて、ありがとうございます。パンナ・コッタさん。
大丈夫ですよ。
砂漠で歩くように足を砂で取られることもなく、気温も平熱でこんなの全然問題ないですから」
「さ、砂漠って……。
女神しゃまは、下界でずいぶんと御苦労なしゃっているようでしゅね。
このパンナコッタ、深く深く敬服いたしましゅ」
そう言うとパンナコッタは、軽くお辞儀をして目を潤ませた。
どうやら、この角をはやした少女は人の痛みの分かる優しい心を持っているよう。
俺は、気を許して今抱えているいる不安の種を聞いてみることにした。
「なあ、パンナ・コッタちゃん。
この先で女神を呼んでいる閻魔大王とはどんなやつなんだい?」
すると突然、パンナコッタは立ち止まり、取り巻くオーラが黒く、どす黒く一変した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
まるで、どこぞの悪役がスタンドを出すようなオノマトペを伴い、ゆっくりとその顔を後ろのこちら側に向ける。
その顔は、今まで女神に向けられていた可憐な少女ではなく、目は吊り上がり眉間に深くしわを寄せてほうれい線を刻んで口がへの字。
まさに、鬼の形相である。
「おどれ、誰に向かって口を聞いとるんじゃ!!!(怒)
たかだか人間の分際でワシをちゃん付けで呼ぶとは、ええ度胸やないか。
今すぐ、その頭、勝ち割って脳ミソ吸うたるわっ!!!」
行き成り顔と人格が、純真な優しい少女から裏の世界の恐い人に変わってしまったパンナコッタ。
俺はあまりの驚きに身体が動かなくなった。
パンナコッタはその拳の関節をボキボキ鳴らしながら威嚇するように俺の方へと近づいてくる。
「待って下さい! パンナコッタさんっ!!!
この人は、わたしの大切な結婚相手なんですっ!!!」
そこに割って入ってくれたのは、女神だった。
「冗談を言わないでくだしゃい。女神しゃま。
天界の使者が愚かな人間と婚礼を結ぶなんて聞いたことがありましぇん」
言ったその顔は、また純真なかわいい幼女に戻っている。
「冗談ではありません。
天界の使者といえど、いざとなれば人と契りを結ぶこともあるのです。
なんだったら、カブトムシのオスでも可能ですっ!!!」
すると再度、恐ろしい鬼の形相で俺を睨みつけた幼女。
「チッ!(舌打ち)
今回だけは見逃しちゃるわ。
じゃが、今度、ワシをちゃん付けで呼んでなめとったら、分かっちょるじゃろうなっ?!!!」
そう俺に脅しをかけて、パンナコッタはまた先頭に戻っていった。
俺は、その背中を見ながらこう思う。
「ああ、パンナ・コッタ……。
『なんて・こった』」
そこに並ぶ人々は、疲労混倍で皆、俯きながら目が死んでいた。
そんな行列を横目に見ながら歩いていた女神は、前を先導するロリータチャーミングな巫女服姿の鬼娘に話しかけられた。
「女神しゃま、女神しゃま。歩く速さは大丈夫でしゅか?
もう少しゆっくりにした方がいいでしゅかねえ~?」
「わたし達に気を遣って頂いて、ありがとうございます。パンナ・コッタさん。
大丈夫ですよ。
砂漠で歩くように足を砂で取られることもなく、気温も平熱でこんなの全然問題ないですから」
「さ、砂漠って……。
女神しゃまは、下界でずいぶんと御苦労なしゃっているようでしゅね。
このパンナコッタ、深く深く敬服いたしましゅ」
そう言うとパンナコッタは、軽くお辞儀をして目を潤ませた。
どうやら、この角をはやした少女は人の痛みの分かる優しい心を持っているよう。
俺は、気を許して今抱えているいる不安の種を聞いてみることにした。
「なあ、パンナ・コッタちゃん。
この先で女神を呼んでいる閻魔大王とはどんなやつなんだい?」
すると突然、パンナコッタは立ち止まり、取り巻くオーラが黒く、どす黒く一変した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
まるで、どこぞの悪役がスタンドを出すようなオノマトペを伴い、ゆっくりとその顔を後ろのこちら側に向ける。
その顔は、今まで女神に向けられていた可憐な少女ではなく、目は吊り上がり眉間に深くしわを寄せてほうれい線を刻んで口がへの字。
まさに、鬼の形相である。
「おどれ、誰に向かって口を聞いとるんじゃ!!!(怒)
たかだか人間の分際でワシをちゃん付けで呼ぶとは、ええ度胸やないか。
今すぐ、その頭、勝ち割って脳ミソ吸うたるわっ!!!」
行き成り顔と人格が、純真な優しい少女から裏の世界の恐い人に変わってしまったパンナコッタ。
俺はあまりの驚きに身体が動かなくなった。
パンナコッタはその拳の関節をボキボキ鳴らしながら威嚇するように俺の方へと近づいてくる。
「待って下さい! パンナコッタさんっ!!!
この人は、わたしの大切な結婚相手なんですっ!!!」
そこに割って入ってくれたのは、女神だった。
「冗談を言わないでくだしゃい。女神しゃま。
天界の使者が愚かな人間と婚礼を結ぶなんて聞いたことがありましぇん」
言ったその顔は、また純真なかわいい幼女に戻っている。
「冗談ではありません。
天界の使者といえど、いざとなれば人と契りを結ぶこともあるのです。
なんだったら、カブトムシのオスでも可能ですっ!!!」
すると再度、恐ろしい鬼の形相で俺を睨みつけた幼女。
「チッ!(舌打ち)
今回だけは見逃しちゃるわ。
じゃが、今度、ワシをちゃん付けで呼んでなめとったら、分かっちょるじゃろうなっ?!!!」
そう俺に脅しをかけて、パンナコッタはまた先頭に戻っていった。
俺は、その背中を見ながらこう思う。
「ああ、パンナ・コッタ……。
『なんて・こった』」
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