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朝。
ゴブリンの巣窟破壊を諦めた俺達三人組は、次の仕事を決めるべくハローワーク(ギルド)の掲示板を前に悩んでいた。
「結局、この二つの中から選ぶしかないのか……」
がっかりした顔の俺の手には、仕事依頼の用紙が2枚。
ひとつは、薬草"モウダメ草”の採取依頼。もうひとつは、ゴブリンの巣窟壊滅依頼だ。
俺達は、まだまだ駆け出しの冒険者であり、経験も名声もなくて仕事を選べる立場ではないと痛感する。
だけど、ゴブリンの仕事は絶対に嫌だ。あんなに痛くて恐ろしい目には合いたくない。
ゴブリンの依頼書を手にしている今でさえ、手は小刻みに震えて変な汗が頭から滲み出てくる。
「ダーリン……」
そんな情けない俺を見て、女神は俺の腕にそっと触れて心配そうに顔を覗いた。
「だっ、大丈夫。ゴブリン恐怖症なんてどってことないよ。それに、今回はオリビアもいるしな」
そうは言ったものの、俺の顔色はますます青白くなり、無理矢理作った笑顔も頼りない。
とその時、ヘローワークのカウンターから声が聞こえた。
「まったく、だらしのない男だなあ。相手はたかがゴブリン。これで冒険者だと言っているんだから笑っちゃうよ」
「うるせぇ! ただ、ひたすらにこん棒で殴られる恐怖と痛み。お前も体験してみろっていうんだ!」
「ハハッ(笑)
残念ながら僕はヘローワーク・ワールドのスターアイドルだからね。そんな血生臭いことをしたら将来、世界中の子供たちがアンブレラ社に就職希望殺到でバイオハザード待ったなしだよ!」
相変わらずアイドルらしくない物騒な発言をする黒いネズミのミッチー。
「ハハッ(笑)
まあ、あんまり人気があり過ぎるのも困ったところなんだ。
ところでキミ達は、仕事を決めかねているようだね。
そんなかわいそうなキミ達に僕が良いことを教えてあげようか?
実は、今は『初めての入会で薬草報酬100倍キャンペーン』が開催されているところなんだけど、どうだい? 興味はあるかい?」
「薬草の報酬が100倍になるってことは、一枚10円だったものが1000円になるってことか?!
何だか『入会』ってワードが気になるけれど興味はあるな。
説明だけでもお願いできる?」
「ハハッ(笑)
まあ、本当はめんどくさいから嫌だけど、仕事だからしょうがないね。
じゃあ、この用紙に書かれている文章をよく読んで、良ければ『全ての項目に同意する』にチェックしてエントリーボタンを押してくれるかい?」
そう言うとミッチーは、A4用紙10冊ほどの束を俺に手渡す。
そこには、顕微鏡で見なければ分からないほど小さい文字がびっしりと並んでいた。
ゴブリンの巣窟破壊を諦めた俺達三人組は、次の仕事を決めるべくハローワーク(ギルド)の掲示板を前に悩んでいた。
「結局、この二つの中から選ぶしかないのか……」
がっかりした顔の俺の手には、仕事依頼の用紙が2枚。
ひとつは、薬草"モウダメ草”の採取依頼。もうひとつは、ゴブリンの巣窟壊滅依頼だ。
俺達は、まだまだ駆け出しの冒険者であり、経験も名声もなくて仕事を選べる立場ではないと痛感する。
だけど、ゴブリンの仕事は絶対に嫌だ。あんなに痛くて恐ろしい目には合いたくない。
ゴブリンの依頼書を手にしている今でさえ、手は小刻みに震えて変な汗が頭から滲み出てくる。
「ダーリン……」
そんな情けない俺を見て、女神は俺の腕にそっと触れて心配そうに顔を覗いた。
「だっ、大丈夫。ゴブリン恐怖症なんてどってことないよ。それに、今回はオリビアもいるしな」
そうは言ったものの、俺の顔色はますます青白くなり、無理矢理作った笑顔も頼りない。
とその時、ヘローワークのカウンターから声が聞こえた。
「まったく、だらしのない男だなあ。相手はたかがゴブリン。これで冒険者だと言っているんだから笑っちゃうよ」
「うるせぇ! ただ、ひたすらにこん棒で殴られる恐怖と痛み。お前も体験してみろっていうんだ!」
「ハハッ(笑)
残念ながら僕はヘローワーク・ワールドのスターアイドルだからね。そんな血生臭いことをしたら将来、世界中の子供たちがアンブレラ社に就職希望殺到でバイオハザード待ったなしだよ!」
相変わらずアイドルらしくない物騒な発言をする黒いネズミのミッチー。
「ハハッ(笑)
まあ、あんまり人気があり過ぎるのも困ったところなんだ。
ところでキミ達は、仕事を決めかねているようだね。
そんなかわいそうなキミ達に僕が良いことを教えてあげようか?
実は、今は『初めての入会で薬草報酬100倍キャンペーン』が開催されているところなんだけど、どうだい? 興味はあるかい?」
「薬草の報酬が100倍になるってことは、一枚10円だったものが1000円になるってことか?!
何だか『入会』ってワードが気になるけれど興味はあるな。
説明だけでもお願いできる?」
「ハハッ(笑)
まあ、本当はめんどくさいから嫌だけど、仕事だからしょうがないね。
じゃあ、この用紙に書かれている文章をよく読んで、良ければ『全ての項目に同意する』にチェックしてエントリーボタンを押してくれるかい?」
そう言うとミッチーは、A4用紙10冊ほどの束を俺に手渡す。
そこには、顕微鏡で見なければ分からないほど小さい文字がびっしりと並んでいた。
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