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1人の女の悲しみと預言
しおりを挟む結婚して10年連れ添い心の底から愛して尽くした夫に、それはそれは軽蔑の眼差しで見下ろされ私の心臓は冷たく凍る。
どうして。
どうして私を裏切ったの?
ずっとずっと貴方だけを愛してきたのに。
一筋の涙が零れた瞬間、遠い遠い次元を越えた先では一筋の流れ星が───
切り立った山に白髪をたっぷり蓄え僧侶のような格好をした老人がその流れ星を見て目を見開いた。
「おおっ!!!これはっ!!!」
「師匠どうなさいました?」
老人の側にいた黒々としたうねりの強い長い髪を無造作にひとつに束ねている体格の良い男は尋ねる
「天からのお告げじゃ」
「なんと!!」
「うむ、儂の師匠が昔言っておった通りそれは星の瞬きと共に突然あるのじゃ。」
数多の力をお借りして来たがこのような事は初めてじゃと老人は髭を撫でる。
「それで、天はなんと?」
男はまるで星と同じようにキラキラと目を輝かせ老人からの言葉を急かす。
「そう焦らすな・・・」
老人はそう言うと目をそっと閉じる
幾千光年遙か向こうの世界から慈愛の天女が舞い降りる。
その天女はこの国の天下を守り泰平の世を築くがそこに至るまでに多くの悲しみを背負う。
龍の閃光が数多現れる夜に産まれし女子がその天女の証を持って産まれるだろう
「はぁー・・・、泰平の世を築く天女の降臨のお告げですか。」
夢見心地の男は老人に話しかける。
「そのようじゃな。星の瞬きを読み取れば龍の閃光が数多現れると言われる夜はそう遠くなさそうじゃ。」
「その天女様、ぜひ一度お会いしたいです!」
「そう慌てるな。縁合えばいずれ会えるじゃろうて、それまで儂らは一層修行じゃ」
「そうですね。」
そう言って2人はまた山の中を歩き続ける。
***
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