【R-18】気がついたら未亡人伯爵夫人になってて後宮で愛された

みるく

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視えた未来と違って

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わたくしが間違っておりました!


森までもう少し、その時石に躓きつまずき転びそうになった。
衝撃に備えて目をギュッと瞑る。
・・・が、痛みも衝撃も来ず、代わりに柔らかい布と固い何かにぶつかった。
「・・・セシル、様・・・」
「フォンテーネ嬢、転ばなくて良かった。 痛む場所などはないかい?」 
わたくしがぶつかったのはセシル様だった。
優しく抱き止めてくださっていた。

「は、はいっ・・・、申し訳御座いません。」
「いや、怪我がなくて本当に良かった。 さぁ、急ごう。」
そう言って私の手をギュッと握り一緒に走ってくださった。

ドキドキと鼓動がうるさい。
走っているから?
こんな非常時にまで、セシル様に心を揺さぶられている自分がとても恥ずかしい。
でも、今はゆっくり考えている暇はない。

森に入れば、兄様の居場所を感知する事が出来る。
兄様ほど正確に探す事は出来ないけれど・・・


「フォンテーネ嬢、森に着いた!!」
「はいっ!!!」
わたくし達は火が出ている方から入り私の泉の力で水を木の上に降らせ火を消していく。
その作業をしながらも、兄様の場所を探す。



どこ・・・
兄様・・・
意識を集中し過ぎれば水がとまってしまう。
兄様・・・兄様・・・

「・・・いたっ!」




「セシル様、兄様の居場所がわかりました。」
「お兄さんはどちらに?」
「泉の近くです!!」
「火の回りが早い!急ごう。」
「はい!」

わたくしとセシル様は泉の場所まで急いだ。











***

「くそっ!!!制御出来ないっ!止まれ!止まるのだ!!」
自分を抱きしめ力を抑えようとしているものの全く意味がない。
今までどうやって自分の力を抑えていたのかもわからない。
森の生命力を吸い取るように力を取り込み、それを放出している。
森は生い茂る場所と枯れ死んでいく場所が出始め、更に枯れた場所は自然発火し森を焼き尽くす勢いだ。


「くっ・・・火がここまできたか。」
泉の周りは木々は先程まで青々としていたが、火の手は隣の木、また隣の木と燃え移り、炎はもう目の前まで見えてきている。


「もう、諦めよう・・・フォン・・・可愛い私の妹姫よ・・・」
自我を持ったその時から私は森にいたのだ、今更どこへ行くつもりもない。
ただ、もう一度ひとたびフォンテーネ、お前に会い抱きしめたい・・・
だが、私はお前には生きてほしいと思う。
私が消えてもお前だけは生きられるよう祈ろう。
さらば・・・


目を瞑り、最期の時を過ごそうと私の一番気に入っている大木に背を預け座る。
その時・・・

「・・・ま・・・・ぃ・・・・様ぁ!!」
「・・・あの声はっ!フォン!!フォンテーネ!!!」
可愛い我が妹の声が聞こえて来て思わず立ち上がる。
こんな炎の中に居ては危ない!

そう思っていると、茂みの中からフォンテーネが飛び出して来た。
「兄様っ!!」
その時、フォンの隣にあった太い木が炎で焼かれフォンテーネに向かって倒れてきた。

「危ないっ!!!」
今力の制御が出来ない私は思わずフォンテーネに向かって走り出すが、どう考えても間に合わない。
「フォン!!!」
「きゃあああ!!!」
「フォンテーネ嬢!!!」

ズドンっ

大きな音を立ててフォンを下敷きにする直前、あの男・・・セシルがフォンを抱き上げ間一髪のところで避けた。


「フォン・・・良かった。」
ホッとしたからか膝から崩れ落ちへたり込んでしまった。

バキッー

そんな音が聞こえ、音がする方に目をやると、此方に向かって木が倒れてきていた。

「兄様!」
「フォンテーネ嬢いけない!!」
フォンテーネは立ち上がり駆け寄ってこようとしていたが、すかさずセシルが止めた。


「すまんな、セシル。」

自分でも驚くほど素直に口から出た言葉だった。







***


大きな音と共に目の前で兄様が木の下敷きになった。
「兄様!!兄様!!」
「フォンテーネ嬢!危険だ!」
「いや、離して下さい!! 兄様!」
「落ち着きなさい!!」

取り乱すわたくしの両肩を掴み一喝するセシル様に驚き、パニックになっていた心が少し冷静になった。

「セシ・・・ル、様」
「フォンテーネ嬢、心を乱せば助けられるものも助けられない、落ち着きなさい。」
セシル様の青い瞳に私の顔が映る。
怯えているような、悲しんでいるような・・・

「でも・・・でも、兄様が・・・」
倒れた木はまだ少し燃えていてパチパチと弾けたような音が聞こえる。
急いで木を退かさなければ、兄様がもし死んでしまったら・・・
わたくしの知っている未来ではなくて、この先がよく視えない・・・


「僕の話をよく聞いて、君は泉の力を使えるだろう。ひとまずこの一帯の火を消す事が先決だ。 わかるね?」
「・・・はい。」
わたくしはセシル様に言われた通りにする為泉の中に入り真ん中まで移動した。
この辺りの火を消して、まずは森の火災を落ち着かせる。
兄様は人ではないから、きっと簡単に死んだりしてない。
だから落ち着いて、自分のすべきことを。
セシル様の瞳が教えてくれた。
きっとわたくし1人では泣いてばかりだった。


わたくしは一度深呼吸をして心からの祈りを込めて、力を使うことに集中する。
すると、泉が湧き上がり辺りの火は全て鎮火した。

兄様程ではないものの、森の火はほぼ消せる程度の力が出た。


火が消えて、セシル様は慌てて兄様を下敷きにした木に駆け寄る
「フォンテーネ嬢!」
セシル様に呼ばれて駆け寄ると、倒れた木の横に兄様が横たわっていた。
「兄様!!」

「君のお兄さんは咄嗟に避けたみたいで、下敷きになっていなかったよ。」
「良かった・・・」
ホッとしたものの、頭から血が出ているのを見つけた。
「ただ、避けた先にあった岩にぶつかったみたいで、意識がない。」
「そんな・・・いえ、大丈夫です。わたくしの癒しの力を使えば。」
兄様の前に両手を出し癒しの力を使う。
どんどんと傷が癒えていく

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