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食事と侍女長の話
しおりを挟む「旦那様と姉ちゃん一体何があったんでしょうね。」
「あら、コリン。」
「お疲れ様ですローズ先輩。」
「お疲れ様。 旦那様すごい機嫌が良かったものね。」
「俺、さっき旦那様に『さっきはすまなかったね。窓がピカピカだったよ。』って謝られました。」
「まぁ、あの枚数は多かったものね・・・。」
旦那様とパティの情事を見てしまった者としては多分旦那様のお気持ちがパティに伝わったんだと推測するけど、それだとパティのあの暗い感じもよくわからないのよね・・・
やっぱり、初めてって辛いのかしら・・・
先輩侍女達の間で最近流行ってる女性雑誌にも書いてあったものね。
初めては痛いって・・・
私にもいつかそんな日が来てしまうのかしら・・・
そう考えたら何故だかその相手にコリンが出てきて思わず頭を振った。
(なんでコリンが!!コリンは私にとってただの後輩だし、ロイみたいなもんだって・・・)
「・・・ズ先輩、ローズ先輩。」
「はっ! ごめん、なに?」
「やっぱり体調悪いです?さっきから食事に手をつけてないし顔が赤いです。」
スープだけでも飲んでくださいね。
そう言って私の事を心配そうにみるコリン。
「だ、大丈夫よ! さ、コリンも食べてしまいなさいな。せっかく暖かいのに冷めちゃうわ。」
私は頭の中に流れる映像に蓋をするように食事を流し込む。
私は食事が終わった後、パティの食事を持ってパティの部屋まできた。
コンコンッ
「パティ?大丈夫?食事を持ってきたから入るわよ。」
ガチャリと音を立ててドアを開け部屋に入る。
「ローズ先輩!すみません。」
「良いのいいの。食事、温かいうちに食べてね。」
私はパティの部屋の机の上に食事を置く。
(私は何も知らない。私は何も知らない・・・)
心でそう念じながらも、旦那様とパティが2階に上がる際に階段であったので知らないフリも出来ないのでとりあえず聞いてみる。
「ねぇ。お昼頃に旦那様とパティが一緒に2階に上がったでしょ? 旦那様怒っていたようだったし、大丈夫だった?」
「ぇ・・・ぁ。はい。 旦那様は、怒ったりなんて・・・」
パティの声はだんだん小さくなる。
と、同時に顔がどんどん赤くなる。
・・・みてるこっちまで顔が熱くなっちゃうじゃない。
「そっか。じゃあ私の勘違いだったのね。良かった!」
「はい、ご心配をおかけしました!」
はにかんだような照れたような幸せそうに笑うパティに私も笑った。
うん、これは嘘の笑いじゃないわ、良かった。
「じゃあ、ゆっくり休んでね!私も部屋に戻るわね。」
「あ!先輩。ありがとうございました!」
「良いわよいいわよ! おやすみー」
そう言って、私はパティの部屋を後にした。
自分の部屋の前に来た時、侍女長に呼ばれた。
「ローズ、ちょっと話があるから来て頂戴。」
「? はい、侍女長。」
私は侍女長の後ろについて行き、侍女長の部屋に通された。
侍女長のお部屋は私達侍女の部屋とは違って広い。
清潔感のある室内に大きめの机と質の良い椅子がある。
机の前には、私達侍女の部屋と同じ椅子が置いてあって、侍女長のお部屋で話をする時は私達はそこに座る。
「座って頂戴。」
「失礼します。」
座るように言われ、椅子に座る。
「私に何か・・・?」
「ローズはパティから、何か聞いた?」
ドキッとした。
まさか、侍女長もアレを見たっていうの?
でもでも、私が見に行ったことは気付かれてないみたいね。
「いえ・・・なにも。」
「そう・・・。貴女にならもしかして言ってるかと思ったんだけど。」
「・・・えっ、と。」
侍女長はうーーーん。と長く唸った後、私の目を真っ直ぐ見た。
「まぁ、貴女はパティの指導係だったし、旦那様にはとりあえず、"ごく一部にだけ"と言われているから、貴女には1番に伝えておくわね。」
「え?・・・ぁ、はい。」
「『旦那様が、パティを妻に迎えたい』そう仰ったの・・・」
そう言われて正直ホッとした。
あの旦那様がまさかパティの身体だけが目当てだとは思って無かったけれど、どうしても身分の差がある。
それを越えてでもパティを妻に、とするのならパティを大切に想っているのだ。
こんなに喜ばしい事はない。
私は侍女長に大層驚いた顔をして見せる。
極力大きな声を出さないようにしながら。
「ええっ!!!旦那様が!?」
「えぇ、そうなの。・・・それに、パティとは既に情も交わしたみたいで・・・」
あぁ・・・お部屋のお掃除は侍女長と執事長がされたんですね・・・お疲れ様です。
「本当は貴女よりももっと先輩がいるからそちらからとも思ったんだけれどね。 貴女はパティの指導係だったし、これから色々相談を受けるかもしれないから。」
「ありがとうございます。侍女長。 私はどうすれば良いですか?」
「とりあえずはパティから相談を受けるまでは知らないふりをして頂戴。」
「はい。」
「それから、2ヶ月後のパティの誕生日に旦那様がパティへプロポーズをすると仰っていたから、その手配は私と他の侍女と執事長がするから、貴女はパティに気付かれないようにして頂戴。」
「かしこまりました。」
2ヶ月後の誕生日にプロポーズ。
ロマンチストな旦那様だとは思っていたけれど、そんなに早くパティと一緒になりたいと思ってらっしゃるのね。
一通り話したあと、私は侍女長の部屋を後にした。
部屋に入り寝衣に着替えてベッドに入る。
ベッド横の明かりを消して目を瞑ると、パティの嬌声と粘液質な音が頭の中で響く。
思わずガバッと起き上がり明かりをつける。
「はぁ・・・眠れなさそう。」
未経験の私にはあまりにも刺激が強すぎる。
「いや、でも明日も早いわ・・・寝なくちゃ。」
またベッドに横になり右を向いたり左を向いたり。
コチコチと時計の音が煩い。
「うぅ・・・眠れない。」
頭の中であの光景が浮かぶ。
あのまま見ていたらどんな風になってたんだろ・・・ドキドキと脈打つ心音が身体をも震わせてる気がする。
「眠らないと!って思うと余計に眠れないわね。」
そう独言ると私は自分の右手を自分の下の寝衣の中に入れた。
眠れないとき私は自分を慰める。
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