上 下
8 / 10

気付き始めたトキメキ

しおりを挟む
「あ。ローズ先輩。どうしたんですか?顔赤いですよ?」
私を覗き込むようにコリンが見る。
「ぇ・・・っ、いや!なんでもないわ! 窓拭きやりましょうか!」
私は熱い顔を見られないように慌ててバケツに入った雑巾を手に取り、壁に立て掛けていた梯子を登る。
するとコリンが慌てて梯子を掴んできた。
「あ。危ないんで俺が」
「大丈夫よ!慣れてるから。コリンも他を掃除して。」
私はコリンに梯子を離させて他の窓を拭かせた。
私は窓を拭き始めるコリンをみて梯子の一番上まで登っていく。

それにしても・・・本当に、旦那様とパティはどうなるのかしら。
そんな事を考えていたら、うっかりお仕着せのスカートの裾を踏んでしまい足が梯子に上手くかからず滑ってしまった。

「あっ!!」
「危ないっ!!!」
コリンの慌てた声が聞こえてきた。
落ちる衝撃に備えて目を瞑る。
だけど一向にその衝撃はこない・・・
「痛たっ・・・くない。って!コリン!?ごめんなさい!!」
「・・・ローズ先輩。大丈夫ですか?」
私はコリンに横抱きで受け止められていた。
思わずドキッとしてしまう・・・
私を軽々と抱き上げるコリン。
腕が、身体が逞しくて、自分と異なる性別だと改めて感じてしまった。
コリンは私をゆっくりと降ろしてくれた。

「怪我してないですか?」
「私は大丈夫・・・コリンは?」
「俺は大丈夫です。」
「ごめんなさい。私ったら。」
恥ずかしいのと、急にコリンに男性らしさを感じてしまい、また顔が熱くなる。

「先輩に怪我がなくて本当に良かったです。上は俺がするんで、ローズ先輩は下の窓拭き。お願いしますね。」
乱れた髪がメイドキャップから出てきていたのか、私の耳にかけてくれるコリンの指が、手が実は骨ばって大きい事に気付いてドキドキと心臓が高鳴る。
どうしてかしら、助けてくれたせい?
コリンが急に弟のように見れなくなった。
「はぃ・・・。コリン、ありがとう」
そう言うのが精一杯で、私は下の窓拭きを始めた。


「そういえば、旦那様とパティ姉ちゃんどうでしたか?」
今一番聞かれたくなかった事なんだけど、それを聞かれても仕方がないわよね。
さっきの事をまた思い出してしまった。
どうしよう・・・何か言わないと・・・
「ローズ先輩?」
何かあったのかと心配そうな声で聞いてくる。
ダメ・・・絶対顔が赤いはず、コリンの顔が見れない。
「ぁ・・・、大丈夫そう、だったわ・・・」
それ以上の言葉が出てこなくて、やっと振り絞った。

私の様子がおかしいと気付いたのかコリンはわたしのおでこに手を当ててきた。
「うー・・・ん。熱はないですね。体調悪くなったなら、休んでいいですよ?俺が任された仕事ですし。」
そう言いながら手を離すコリンに一緒に窓拭きする事を伝えていつものように働く。

頭の中ではさっきの旦那様とパティの事がぐるぐると回っているけど。

どうしよう。
パティに聞くわけにはいかないし・・・
というか!旦那様ったらいつの間にパティの事?
あぁあ・・・っ!
もう、わからない!!

それよりわからないのはコリンよ!
なんであの弟のようだと思っていたコリンにドキドキしてるの私!
さっき抱きとめられた時の腕のちからとか・・・
思い出してキュンと胸が甘く苦しくなる。
知らない知らないこんな感情。



「当たって砕けてみようかな・・・」
突然コリンがボソッと話し出した。
「・・・?何か言った?」
何が当たって砕けるんだろ・・・。
私がコリンに聞くと顔を真っ赤にして慌て出した。
急にどうしたんだろう。
なんだかよくわからない・・・
1枚1枚丁寧にそして迅速に窓拭きしていると、急にコリンがよしっ!と言って私に話しかけてきた。
「ローズ先輩!俺!頑張ります!!」
「? えぇ。頑張って!・・・?」
何が何だか分からないけれど、すごく気合が入ってるから多分窓拭きを頑張るんだろう。

案の定、コリンは窓をあっという間に拭き上げてしまった。
コリンは私にお礼を言い、私達はまた別の仕事に移った。




あれから夕食の準備をしているとパティが2階から降りてきた。
他の侍女達がパティが元気がないのをみて旦那様にキツく叱られたのかと聞いていた。
パティは、そんなんじゃないです。大丈夫です。と言っていたけど、みんなが部屋で休むように言ってパティは部屋へ戻っていった。

私も声をかけたかったけど配膳係だし、話してる途中に旦那様とパティの事が頭にチラつきそう。
というか、私はこれから旦那様へお食事を配膳しなければならないんだから、どちらにしてもチラつきそうよね・・・。


そして、パティが降りてきて暫くすると旦那様が降りてきた。
それはもう幸せそうな満面の笑みで。
旦那様はテーブルの前に来て椅子に座るとキョロキョロと辺りを見回す。
「あれ?パティは?」
旦那様は私に声をかけてきた。
「パティなら、すこし疲れた様子でしたので部屋で休ませました。」
そう言うと、少し照れたような困ったような微笑みをされ
「あ・・・あぁ、そうだね。うん。休んだ方が良さそうだ。僕が悪かったからね。」
そう言って、食事を始めました。

その後、旦那様が食後のお茶を飲んでいると侍女長がやってきた
「旦那様・・・」
「なんだい?ルーベル」
「パティをお叱りになるのであれば、一度私にご相談くださいませ。侍女の教育は私に責任が御座いますので!」
旦那様に毅然とした態度で物申している。
「え? 僕がパティを叱る?」
「はい、侍女や執事達が皆口を揃えて言っておりました。旦那様がお怒りの表情でパティを連れて2階へ上がられたと。」
それを聞いた旦那様のお顔は赤くなったり青くなったりと忙しい。
「ええっ!いやっ・・・あの。そのだねっ。」
慌てふためく旦那様とお怒りの侍女長という、普段では絶対に見る事が出来ない光景を私や他の侍女・執事が見ていた。

最後は、執事長が侍女長を止めて終わったけれど、旦那様は後ほど2人に部屋に来るようにと言っていた。



旦那様がお部屋へ戻られて、侍女や執事等、家に仕える者達の食事スペースが厨房の隣にあり、私もそこで食事をとっているとコリンが隣に座ってきた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

完結【R―18】様々な情事 短編集

秋刀魚妹子
恋愛
 本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。  タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。  好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。  基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。  同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。  ※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。  ※ 更新は不定期です。  それでは、楽しんで頂けたら幸いです。

【R18】かわいいペットの躾け方。

春宮ともみ
恋愛
ドS ‪✕ ‬ドM・主従関係カップルの夜事情。 彼氏兼ご主人様の命令を破った彼女がお仕置きに玩具で弄ばれ、ご褒美を貰うまでのお話。  *** ※タグを必ずご確認ください ※作者が読みたいだけの性癖を詰め込んだ書きなぐり短編です ※表紙はpixabay様よりお借りしました

女の子がいろいろされる話

ききょきょん
恋愛
女の子がいじめらたり、いじられたり色々される話です。 私の気分であげるので、性癖とか方向性はぐちゃぐちゃです、よろしくお願いします。 思いついたら載せてくゆるいやつです。。

処理中です...