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目撃

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「だから、コソッと行ってくるわ。すぐ帰ってくるし、その後は私が窓拭き手伝ってあげるから!ね?」

1階から2階の階段を掃除している時、凄い剣幕の旦那様とパティが上へ上がって行った。
「2階へは上がらないように。他の者達にも伝えておいてくれ。」
そう言い残して上がっていく。
パティは何がなんだかよくわからない顔をしているものの、ちょっと顔色が悪い。
そりゃそうよね。
だって普段私達に怒ったりしないあの旦那様がなんだか凄く怒ってらっしゃるんだもの。

私はただ事ではないと思って、周りの侍女や執事に声を掛けるついでに一緒に庭掃除していた筈のコリンを探しに行く。


庭まで出たもののコリンが見当たらない。
「コリーン!」
ここの庭が広いのが恨めしい。
門の方まで走って行き、玄関から入って庭がよく見える廊下を歩く。
すると、コリンが雑巾を片手に窓を拭いていた。

「いた!」
思わず走りそうになるのを抑えて早歩きする。
普段は私がパティやコリンに注意する事だけれど、今はそんなこと言ってられないわ!
さっきまで走っていたからか息が上がるのが早い。

「コリーン!」
「ローズ先輩。」
少し驚いたような顔をして私を見るコリン。
最近なんだか少し素っ気ないのよね。
年頃ってやつかしら。

「さっき、階段の清掃してたら・・・ね。 はぁ・・・旦那様が凄い怒ったようなお顔でパティと2階に上がられたの!
しかも2階には上がってはいけないって言って・・・
コリン、パティと庭掃除だったわよね?!」
思った以上に喋るのが辛くて、コリンの事を探してたって言った後誤魔化すように笑ったら、何故だか頬を染めて横を向いた。
ほんと、年頃なのかしら。


「旦那様、どうしちゃったのかしら?」
私がコリンに尋ねると、コリンもよく分からないらしい。
しかも一階の窓拭きをするように言われたと言う。
「えぇっ!?一階の窓拭きって・・・すっごく大変じゃない。」
一階の窓って大きいし、何より枚数が多い。
「パティ姉ちゃんじゃなくて、俺が何かしたんですかね。」
困ったように話すコリンがなんだか可哀想で、私の胸が切なくなる。

何か出来ないだろうか・・・
「うーん。普段温厚な旦那様がねー・・・そうだ!私ちょっと様子見てくるわね。」
「え。でも2階に上がらないようにって言われたんですよね?」
心配そうな顔で私を見るコリン。
眉を下げて見てるその姿がロイと重なる。
「だから、コソッと行ってくるわ。すぐ帰ってくるし、その後は私が窓拭き手伝ってあげるから!ね?」
パティの事も心配だし、何よりもしコリンが何かしたのなら理由を教えて頂いて私が指導するからと許していただこう。

「ね?コリン、私すぐ戻ってくるわ。」
「・・・こっそり行ってきてくださいね。 バレちゃダメですよ。」
仕方がないと言うような顔で私を見るコリン。
なんだかどちらが年上かわからないわね。
「わかったわ!じゃあ、少し待っててね。」

そう言って私は歩いて2階へ上がる階段まで行く。





2階に上がり奥の旦那様のお部屋までもうすぐって所で小さく声が聞こえた。
「・・・ぁ・・・ゃ・・・」
「?」
(あの声はパティ・・・?)
小さな声だけれど、泣き声のような叫び声のようなのが聞こえてくる。
もしかしたらすごく叱られて泣いてるのかも。
ドアの前まで来ると声は更に聞こえてきた

「パティ・・・っ」
「ぁっ・・・はぁ・・・」
中がどうなってるのか気になって、音を立てないように少しだけ開ける。
侍女たるもの、主人が休んでいる間にお部屋に入る事もある。
勿論よっぽどのことが無ければ滅多に入らないけれど、物音を立てずにドアを開けるのはお手のものだ。

少し開けて中を覗いたものの思っていた場所に2人は見当たらない。
(ん?旦那様とパティの声が中から聞こえてきたのになんで居ないのかしら。)

もう少しだけ・・・とドアを開けるとベッドの方まで見えた。

すると、旦那様の後ろ姿が。
しかも、旦那様の体の横からパティの足が見えた。

「ふっ、くぅ・・・っ」
「パティ、・・・はぁ、ほら入ったよ。 僕と君が繋がった。」
「だんなさま・・・」
「ん?」
「旦那様と、繋がれて嬉しい、です。」



(!!?)
何がなんだか最初よくわからなかったが、成人して数年経つのだ、未だ経験はなくても2人が何をしてるのかわかった。
パティの嬌声と粘液質な音が響く

下の階まで聞こえるんじゃないかと慌ててドアを静かに閉め階段まで走る。

(うそ・・・パティと旦那様が??)
というか、あの旦那様の怒ったようなお顔と現在が1ミリも繋がらない。
いったいどうしたらあーいう状況になるの?
「えぇ・・・」
熱くなった頬とうるさい心臓の音が止まない。
旦那様は一年程前に奥様の不貞が原因で離縁されてからずっとお一人だしパティも特定の相手がいる訳でもない。
きっと想いあって、あぁなったんだろう。
パティとくっつく事で旦那様が幸せになるなら私はそれが一番だと思う。
身分の壁があってもきっと旦那様はそれすら乗り越えると思う・・・けれど。
(覗き見したとはいえ、あまりにも刺激的すぎるわ・・・)

目を瞑るとさっきの情事が浮かんでくる。
あぁ・・・どうしよう。
そんな事を考えていると、もう1階のコリンの所まで来てしまった。
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