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クロヴィス様と私の部屋
しおりを挟む「素敵なサロンですね!!」
「・・こんなに花に溢れてたか?」
「奥様に気に入って頂けるように、愛らしい物で敷き詰めてみました。」
案内してくださった侍女さんが言った。
「そんな、私のためにここまでしてくださるなんて。」
有難いやら申し訳ないやら。
「アリス、申し訳ないと思っているんだろう」
「・・・はい。」
クロヴィス様にはお見通しなのかしら。
「気にしなくて良い。 全てはお前の事を歓迎しているからだ。」
「はい、ありがとうございます!」
「俺からも皆に礼を言おう。ありがとう。他の者にも伝えておいてくれ。」
クロヴィス様が連れてきてくださった侍女さんとお茶を持ってきた執事さんに伝えると、びっくりした顔をする。
?
「は、はい!!勿論です!」
侍女さんが言うと、固まったままの執事さんは慌ててお茶とお茶菓子をテーブルに置く
「承知いたしました!!」
「「私達は湯浴みの支度をしますのでこれで一度下がらせて頂きます!!」」
2人はサッと居なくなる。
「クロヴィス様のお家の侍女さんと執事さんは優秀ですね。」
「今日からはお前の従者達でもある、さん付けは不要だ。」
「は、はい。」
怒らせてしまったかしら。
「それよりアリス、こちらにきなさい。」
向かい合わせで座る私を呼ぶクロヴィス様の横に立つ
するとグイッと手を引っ張られクロヴィス様の膝の上に座ってしまった。
「ク、クロヴィス様!!」
恥ずかしくて離れようとバタバタすると、クロヴィス様の腕が私の腰回りをギュッと抱きしめてきた。
「アリス。やっとゆっくり出来るな。」
私の首筋に顔を埋めるクロヴィス様
「・・・はい。クロヴィス様、ふつつかですが、よろしくお願いします。」
「勿論だ。離してくれと言っても離さんからな。」
くすくすと2人で笑い合う。
なんて幸せなひと時なんだろう。
そのまま2人でゆっくりしていると
コンコンッとノック音が、慌てて降りようとしたのにクロヴィス様が離してくれずそのまま入れと仰った。
「失礼致しま、す。」
一瞬目を見開いた侍女がすぐに元の顔に戻した。
わー!!恥ずかしい恥ずかしい!!
クロヴィス様は恥ずかしくないのかしら。
「なんだ。」
「湯浴みの支度が整いました」
「そうか、ではアリス先に入りなさい。」
「え!でも!!」
普通は旦那様を先に・・・
「このまま一緒に入りに行っても良いんだぞ?」
ニヤリと笑うクロヴィス様
「ゔっ! で、では。お先に頂きます!」
クロヴィス様の膝からようやく解放されて侍女の側へよる
「こちらでございます、奥様」
「ありがとうございます。・・・えっと」
「リリーでございます。 私どもには敬語はおやめ下さいね。」
「あ、はい。・・じゃなくて、わかったわリリーよろしくね。」
公爵家に仕える侍女やメイドって、男爵家の令嬢だったり割と貴族の令嬢が多いって聞くから下手すると私より身分が高い可能性があるのよね・・・と思ってついつい敬語を使ってしまう。
リリーに聞けばこの家には貴族令嬢は居なくて、純粋な執事家系とか侍女家系。
あとは孤児院から来る事もあるみたい。
「そもそも、奥様は旦那様と婚姻なさった時点で公爵夫人なんですから、私達への接し方に悩まないでくださいね!」
と言われた。
「ありがとう。 私至らないところが沢山あると思うけれど仲良くしてね。」
「勿論です!というか、奥様は既に私達から一目置かれていると思います!あの旦那様の表情を崩すなんてすごいです!!」
両手をグッと握ってキラキラした目で私を見るリリー
「?そうなの? クロヴィス様は初めからあんな感じだったわよ。」
初めてお会いした時から豊かでは無いけれど微笑んでくださった。
「そうなんですか!? では、その時点で奥様を・・・」
なんだかぶつぶつと言ってる。
「あ。奥様、こちらです。お手伝い致しますね。」
「ありがとう。 そう言えばヤヤ達は?」
「奥様付きの侍女達は明日から奥様にお仕え致します。本日は疲れているでしょうから。」
「そうね、ありがとう。」
良かった。
ヤヤ達も早く馴染めばいいな。
リリーに湯浴みの手伝いをしてもらい寝衣に袖を通す。
ツルツルの生地が肌を包み込んで気持ちがいい。
髪を優しく梳かしてくれた。
「さぁ、奥様出来上がりです。旦那様も湯浴み後お部屋に戻られますので、先にお部屋へ行きましょう。」
「え、ええ。」
よくよく考えたら今日って初夜!?
「クロヴィス様と・・・同じお部屋よね?」
「? 勿論です。旦那様の自室のベッドも奥様が来られる前に変えておきました。」
ベッド!?
そうよ。
そうよね、覚悟決めなきゃ。
私とクロヴィス様が結ばれるの・・?
ガッカリされないか心配だわ。
「奥様、行きましょう?」
「・・そうね。」
リリーに案内されクロヴィス様のお部屋へ行く。
「こちらでございます。」
リリーがガチャとドアを開ける
「わぁ!」
全体的に清潔感がある部屋にエンジと金の絨毯が敷かれている。
家具は茶系の物が暖かみを感じる。
丸テーブルの上にはピンク色のお花が飾られていて、まるであの森の小屋のような雰囲気にホッとする。
「とっても素敵な部屋ね。」
「奥様に気に入って頂けるように少し手を加えました。」
「まぁ!本当に何から何までありがとう!」
「いえ、奥様が喜んで頂けることが喜びです。」
リリーが私に微笑む。
「では、お茶を入れましたら私は下がります。」
「ありがとう。」
リリーがお茶の準備をしてくれている間に、背もたれが頭の上まであるようなエンジのソファーに腰掛ける。
すごくふかふかで驚いた。
「私、・・・ここでも寝られそう。」
その何気ない呟きがリリーに聞こえていたみたいですごく驚かれた。
「お、奥様。差し出がましいですが、それでは旦那様が不憫です・・・」
「え?」
「奥様をソファーで寝かせるなどしては・・・」
「え、えっ!いや、あの。寝られそうな位ふかふかだなって思っただけよ。ちゃんとクロヴィス様の一緒にベッドで寝るから!」
と、ここまで言ってあまりにも恥ずかしい事を言ったと気付いた。
「それならようございます。」
では。とお茶を置いて下がっていくリリー
パタンとドアが閉まる。
ポフッとソファーに寝転がるとソファーに置かれていたクッションを抱きしめる。
「はぁーー顔が熱い。」
パタパタと手で顔を煽ぐ。
ドキドキと心臓が爆発してしまいそうでもう消えてなくなりそう。
「初夜・・・」
ぽそりと呟いた自分の言葉にドキドキが止まらない。
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