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全てがキラキラ

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あれよあれよと私が言ったワンピースに合う靴や小物が用意されて着替えていく。
ヘアアレンジまでしてくれてメイクもしてくれた。
「お嬢様、とてもお似合いですわ!」
店員さんがとても褒めてくれる。
「ありがとう、ございます。」
「では、ご婚約者様の元へ参りましょうね!」
嬉しそうに話す店員さん
「こ!婚約者なんて!!!違います!」
そんな厚かましい事!!
「当店の洋服は金額も布の素材も一般の方向けでは御座いませんし、ご婚約者様にプレゼントされる貴族の方が多いのでてっきり・・。」
大変失礼致しました。と謝罪する店員さん。

それよりも引っかかった言葉。
「金額・・・」
ゾッする。
ブティックローズが貴族向けのお店なのは知っている。
が、金額は見てなかった。
「ちなみに・・・金額は?」
「既に頂いておりますので、お嬢様にはお答えしかねます。」
金額を聞くのも教えるのもマナー違反なのだ。
そんな不躾な事するものではないのはわかってるけれど。

店員さんに連れられてクロヴィス様の元へ行くとクロヴィス様は目を見開きソファーから立ち上がる。
「アリス、・・・・とてもよく似合っている」
片手で口元を隠しパッと横を向いてしまうクロヴィス様
「こ、この様な素敵なお洋服を本当にありがとうございます。」
胸の前でギュッと両手を握りクロヴィス様にお礼を言う。

「いや、いいのだ。俺がプレゼントしたかっただけだ。」
優しく私に声をかけて下さるクロヴィス様。
本当に王子様のよう・・・

「では、そろそろ次に行こうか。」
「は、はい。」
初めに着ていた服を紙袋に入れてもらい外に出る。
その時にクロヴィス様の腕に私の腕を絡めて。

「クロヴィス様、まるで夢のようです。」
こんな素敵なお洋服を着て、素敵な男性にエスコートされるなんて。
「俺は夢で終わらせるつもりはないが・・」
「え?」
「いや、まだ。・・また言う。」
「はい。」
なんだろう。
よく聞こえていなかった。



新しいお洋服で次は市場を周っていく。
珍しい色の魚を売っていたり、不思議な小物や洋服
果物に野菜。
どれもキラキラと輝いているように見える。
久しぶりに来た市場だから?それともクロヴィス様と一緒だからかな?

混み合っている場所に来てクロヴィス様とはぐれないように絡めた腕にギュッとしがみつく
「ここは混んでいるな。」
「はい」
「はぐれないようにしなければ。」
そう言うとクロヴィス様は絡めていた腕をするりと抜き私の手とクロヴィス様の手をギュッと絡めて握った。
「あ。」
「こうすればより離れないだろ?」
恥ずかしいやらなんやらで言葉が出なくてコクコクと首を縦に振った。

そのまま真っ直ぐ進んでいると、クロヴィス様が立ち止まった
「クロヴィス様?」
「揃いのものが欲しい。」
「揃いのもの?」
「そう。・・ここの」 
「ここ・・・って」
市場の露店のアクセサリーが売っているお店
「・・・・・」
真剣な眼差しでアクセサリーを見ているクロヴィス様
「旦那様、おたくは良い身なりなので、こんな安物ではなくこちらなんてどうですか?」
露店の店主さんがクロヴィス様に話しかける。
「ほう。宝石の屑石が付いてるのだな。」
「見ただけでわかるんで?」
「まぁな。それなりに宝石は見ているからな。」
「はー、やっぱり目が肥えてらっしゃる。」
「これはどのように手に入れたんだ?」
「俺の兄貴が鉱山で勤めてるんでね、売り物にもならないような細かい屑石は回してもらうんですよ。それを俺が加工して、身なりの良さそうな方にはこちらを進めてます。」

と、色々2人で話て色々見せて貰っている。

「店主、これを貰おう。」
「はい!ありがとうございます!」
気の良さそうなおじさんが代金を受け取るとクロヴィス様が選んだ物を包む。
「はい!ありがとうございましたー!」
大きな声でお礼を言うおじさんからこちらに向き直したクロヴィス様は包みをジャケットの中に入れる

「アリス」
「は、はい!」
「行こうか」
「え、あ、はい。」
それからクロヴィス様と一緒にまた市場を見て周り、家に帰った。

「え。 なに・・・?」
森の中の家の前に馬が引いている荷車が。
「思った以上に早かったな。」
「え?」
クロヴィス様が荷車の側にいた男性に声をかける
「クロヴィス・アーベラインだ。」
「こちらでございます。」
「部屋まで運んでくれ。」
「畏まりました。」
そう言うと家を開けるように私に言うクロヴィス様

どんどんと薄くて大きな箱や小さな箱が入っていく。
「では、失礼致します。」
とササっと荷物を入れた男性が空になった荷車に乗って帰って行く。

「開けてみなさい。」
「え?は、はい。」
手前にあった薄い大きな箱を開けるとさっき試着したお洋服が入っていた。
「これ。」
「どれも似合っていたからな、全て買った」
「全て!?」
思わず大きな声をあげてしまった。
「気に入らなかったか?」
「違います!!でも、そんな贅沢なこと。」
私に使うのは勿体ない!

「俺がアリスへ贈りたいと思ったんだ、気にせず受け取ってくれ。 それに、俺が贈った物を着ているのは、なかなか支配欲が満たされると言うものだ。」
受け取っておきなさいと言われた。
「では、クロヴィス様とお会いする時に着させて頂きます。」
「あぁ。そうしてくれるとありがたい」
そう言うクロヴィス様のお顔を見ると赤い瞳に私が映っている。
キュンと胸の奥が苦しい


その後「また来る」と言って帰っていかれた。
今日はおでこにキスを落として・・・


1人になった部屋のソファーで赤くなった顔をさます。
おかしくなりそうなくらいクロヴィス様が好きになっていってる気がする。
今日の事を思い出しては暑くなる顔を手でパタパタと仰ぐ。

「お洋服達はここに置いておきましょう。」
屋敷へ持って帰ったら取り上げられてしまう。

お洋服をクローゼットに入れる。
この家にもクローゼットがあってよかった。
小さいけど、もともと殆ど何も入ってなかったから全部入った。

そして紙袋に入れてくれた元々着ていた服を着て屋敷へ戻る。
「アリス!!お帰り!!今日はどうだったんだい?」
男が声をかけてきた。
「本日もお相手の方と恙無く過ごしました。」
「何か贈り物を貰ったりしたか?」
「・・・まだそこまで親しく出来ておりません。 ですが、またお会いする約束はしております。」
頂いたがこの男に素直に言うつもりはない。

「まだ何も寄越さないとはせこい男だ! ・・まぁいい、あちらも妻探しに来ているなら慎重になるものだな。よし、そのまま何か送られたら必ずお父様に言いなさい。」
わかったね。と言って去って行く。

自室に戻りすぐ寝衣に着替える。
メイドが置いていってくれたのだろう、パンとミルクが置いてあった。
それを少し食べてベッドへ沈む。

「クロヴィス様・・・もう、お会いしたいです。」
そう言いながら就寝した。
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