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最終決戦編

135.上陸

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 斥候の報告から、「夜明けの戦星団」は三組に分かれて行動することになった。

 即ち、「魔王の島」の東側から上陸する組、北側から上陸する組、およびフリュート船で待機する組である。

 待機組はルイーズをはじめとしたリネン家の私兵や有志の医療従事者、上陸する二組に「夜明けの戦星団」の主要な人員が割かれることになる。

「探索魔法や回復魔法の有無から割り振りを考えました」

 団の名目上のリーダーであるスヴェンは一堂に振り分けを説明する。

「まず、東側からの組にはヒロキさん、バジルさん、グレースさん、クサンさん、そして僕が入ります。探索魔法に関しては言うまでもなくクサンさん、回復は僕が担当します」

 続いて、とスヴェンはザゴスの方を見回した。

「北側の組はフィオさん、ザゴスさん、エッタさんに医療班から一人加えます」

 周囲にリネン家の私兵や船員がいる手前スヴェンは名を伏せたが、その「医療班」の人員がクロエであることは明白だった。

「探索魔法はエッタさんが担当してください。使えますよね?」

「……はい」

 器用に膝を曲げて甲板に座り込んでいるエッタは、赤くなった右耳を撫でながら応じた。

 フィオとエッタがヤーマディスでパーティを組んでいた頃、専業の探索士スカウトを仲間に入れなかったのは、エッタがある程度の探索魔法ならば使えてしまっていたことが大きい。

 無論、必要に応じてカーヤのような「ゲスト」を雇い入れることもあったが、魔獣の気配を探ったり罠を警戒したりするぐらいならば、十分対応できた。

「くれぐれも自重してくださいね」

 スヴェンの念押しに、エッタはそっぽを向いた。

「君はまた……!」

「大丈夫、大丈夫ですってば!」

 おとなしくしてますって、とエッタは弁解する。さすがに堪えたらしい。

「ったく、頼むぜホントによォ」

「お任せなさい。あなたこそ、振り落とされないようしっかり掴まってなさいな」

 またアレをやる気か、とザゴスとフィオは顔を見合わせた。



  ◆ ◇ ◆



 「魔王の島」の北側は、古い突堤式のせり出した埠頭が一か所あるものの、それ以外の場所は砂浜が広がっている。魔王が健在の頃も、この埠頭はあまり使われていなかったのだろうことがうかがえる。

「ぼろぼろですわね、さすがに」

 ね、とエッタはザゴスら三人を振り返る。

「いやお前どうすんだよ!?」

「何がです?」

 これに決まってんだろ、とザゴスは背後の砂浜を指した。

 乗ってきた小舟が舳先を下に砂浜に突き刺さっていた。

「まあ、何てことでしょう! 誰が一体こんなひどいことを!」

「君だ」

 じっとりとフィオはにらんだ。

 小舟と言えばそうせねばならない義務があるかのように、またもエッタは竜翼飛翔ウィンド・フローを使って飛ばしてきたのである。

「舟をこんなにしてしまって、どうやって帰るつもりだ、ヘンリエッタ?」

「おや、珍しくフィオと意見があってるようですわね」

「いや、誰でもそう思うだろ……」

 ザゴスは「何言ってんだ」と肩をすくめる。

「お前何はしゃいでんだよ。決戦だぞ?」

「あら、決戦だからこそいつも通りを心掛けているのですわよ?」

 もっともらしいこと言いやがって、とザゴスは舌打ちする。

 まあいい、とフィオはあきらめたように歩みを進める。

「連中はあの城にいるのか?」

 ザゴスは砂浜正面の森の奥、島の中央に位置する崩れた城のような建物を指さした。かつての魔王の居城だと、出発前にヒロキは話していたが……。

「見よ、あの素晴らしい破壊の跡を。勇者様の活躍が目に浮かぶようだ……!」

「目に浮かぶまでもなく、その勇者様は東側にいますが……」

 しかし、とエッタは首をかしげる。

「あんなボロボロの城に好き好んでいるなんて、頭おかしいんですかね?」

「いや、城の中にいるとは限るまい」

 とにかく探索しよう、とフィオが言い、一行は森の中へ足を踏み入れる。

 鬱蒼と茂った木々と草の間に、石畳らしき道が見つかった。それをたどって、奥へとザゴスらは進んでいく。

「今のところ、周囲には何の気配もないですわね」

 魔獣どころか動物さえも、とエッタは付け加える。

「これだけの森だというのに、動物の一匹もいないのか?」

「魔素の濃さが動物を寄せ付けないのだろう。この『魔王の島』は、魔素が潤沢でそれ故に魔王が居城に選んだと伝承にある」

 フィオの問いにクロエが応えた。

「『魔力だまり』があちらこちらにあります。バックストリアの周辺以上に魔素が豊富なようですわね」

 魔獣は「魔力だまり」のような魔素の濃い場所の影響を受けた動物が変異して生じる。だが、魔素が濃すぎる場所は動物が寄り付かず、逆に魔獣が少ない。そして動物が魔獣に変じないために魔素が消費されず、ますます周囲の魔素は濃くなっていく。

 この島はそういう循環が起こっている場所なのだろう。

「『オドネルの民』からしても、いい土地でしょうね。造魔獣キメラの製造にはもってこいでしょうから」

 そんな話をしている内に、一行は開けた場所に出た。森の真ん中にぽっかりと空いた広場のような場所で、人工物らしい崩れた石の柱がいくつか建っていた。

「いかにも怪しい場所だが……」

 見ろ、とフィオの指さす先をザゴスは目で追った。崩れた石の柱は、一見バラバラに配置されているようだが、よく見ると綺麗に正六角形で囲われている場所があった。

「あの真ん中、確かに気になるな」

「ですわね。……ちょっと失礼して」

 エッタは石柱で作られた正六角形の真ん中に屈みこむと、地面に手を触れた。

響反エコー!」

 魔力を透過させ、壁の向こうや床の下に空洞がないかを調べる探索魔法である。

「どうだ?」

「この下、階段らしいものがありますわね。かなり地下深く続いているようです」

「ふむ、地面のように見えるが、偽装された扉らしいな」

 なるほど、とフィオは一つうなずくとザゴスの顔を仰いだ。

「ザゴス、この……」

「おし、任せろや!」

 ザゴスは腰の斧を引き抜くと、柄を握る拳に力を込める。「闘気」を柄から刃へといきわたらせ、そして――

「オラアァ!」

 大上段に斧を構え石柱に囲まれたその地面に飛び込むと、気合一閃振り下ろす。

 剣聖討魔流・砕破の太刀――。

 振り下ろされた箇所を中心に大きな亀裂が走り、割れた。地面に偽装されていた扉がガラガラと崩れ、下に続く階段へと落ちて行く。

「どうだァ!」

 得意げに顔を上げたザゴスを待っていたのは、残る三人の冷たい視線だった。

「いや、ボクは開ける仕掛けを探そう、ということでお前の顔を見たのだが」

「まーったく、あなたこそはしゃぎすぎじゃありませんこと?」

「とんでもない蛮族だな……。正直、引く……」

 まさかの絶不評である。張り切って新技を出したが、何だか恥ずかしくなってくる。

「あ、開いたからいいだろ、開いたんだからよォ!」

 はいはい、とエッタは駄々をこねる子どもをなだめるような調子でザゴスの肩を叩いてくる。

「わかりましたから、暴れるのやめまちょうねー」

「テメェには言われたかねェよ!」

 ザゴスはエッタの腕を振り払った。

「とりあえず、階段を下ってみるか」

 遊んでないで行くぞ、とザゴスとエッタに声を掛け、フィオは先頭に立って階段を下りて行った。



  ◆ ◇ ◆



 一方、島の東側ではヒロキ、スヴェン、バジル、グレース、クサンの五人がやはり「オドネルの民」の居城への入り口を探していた。

 最低限の設備しかない北側と違い、東側には突堤式の埠頭が四つ、海に向かってせり出している。

 ただ、それらには破壊の傷跡が残っている。300年の月日故か、それとも――。

「懐かしいな、何だか」

 島の中央の城や埠頭を見回して、ヒロキはどこか感慨深げにため息を吐く。

「あの城の尖塔は確かグリムが……」

「ああ。『挨拶代わり行くよー』とか言って、着くなり魔法をぶっ放して壊したんだ」

「なるほど、日記の記述は事実でしたか」

 ヒロキとスヴェンの会話に、さっき見たような話ね、とグレースは眉をしかめた。

「クサンさん、周囲の状況はどうです?」

 少し離れたところで地面に手をつき、クサンは周囲の気配を探っている。スヴェンに返事もせず、身じろぎもしない。集中しているようだ。

 いつも以上に慎重になっているのだろう。その様子が頼もしくもある一方で、グレースには不気味にも思えた。

 クロエやザゴスが教えてくれたのだが、グレースが魔法研究の続きを行っている間中、クサンはグレースのいた船室の隣、小さな倉庫の中にずっとこもっていたという。

 グレースの船室から漏れ出る冷気で凍えながらも移動しないその様子は、ザゴスをして「空恐ろしかった」、クロエも「執念を感じた」ほどだそうだ。

 普段の言動から考えると、中を覗こうとしたり、聞き耳を立てていたに違いない。グレースはそう確信している。探索士スカウトの技能を使ってそんなことを、しかもこの決戦時にやるとは、人選に問題があるような気すらしてくる。

「クサンさん?」

 スヴェンがもう一度声を掛けると、クサンは一つ首をひねって立ち上がった。

「スヴェン、メネスは何か反応してるか?」

 いえ特には、とスヴェンは胸に抱いた黒猫型の造魔獣キメラを見下ろした。メネスは目を閉じている。のんきに寝ているようにすら見えた。

「どうかしましたか?」

「妙な気配がある。視線、っつってもいい。連中が俺らを見張ってるのか、それとも……」

「位置は?」

「それがわかんねェんだよ。一定しないんだ」

 にわかに一堂に緊張が走る。

「ヒロキ」

「……ああ」

 懐かしむように周囲を見て回っていたヒロキも、それをやめて戻ってくる。

「スヴェンさん、グレースさん、俺やバジルさんから離れないでくれよ」

 ヒロキたちは戦士二人で魔道士二人を前後で挟むような陣形を取った。

「メネス」

 スヴェンが黒猫を地面に下ろした。クサンもナイフを構え、スヴェンらの左右を固める。

「……! こいつは……!」

 クサンが顔をしかめ、ヒロキを振り返る。同時にメネスが天を見上げてうなり声を上げた。

「ヒロキ、上だ!」

 クサンの警告が飛んだのとほぼ同時であった。半透明の黒い腕が空から伸び、ヒロキの体を掴んだのは。

「な……!?」

 広げると大人の男の身長ほどはあろうという大きさの手に掴まれ、ヒロキは抵抗する間もなく空に釣り上げられる。

「むっ!」

 バジルが斬りかかるも、腕はそれをかわして空へ戻っていく。

「あの魔法は……!」

神の見えざる手インビジブルハンドに近い種類の魔法のようね……!」

 スヴェンはもとより、グレースもその正体を喝破する。この決戦前にエッタがこの「邪」属性魔法を同室で研究していたため、見覚えがあった。あれほどはっきりした手の像は浮かんでいなかったが。

「敵は空の上にいると言うのか!」

「いや、よく見ろ。島の真ん中の城の方からだぜ」

 クサンが指さすように、半透明の腕は城の方へと引っ込んでいく。グリム・エクセライが壊したという尖塔の跡、穴の中に消えて行った。

「あの魔法、最初からヒロキさんを狙っていたようですね」

「あいつがこの辺うろうろしてたから、気配が定まらなくて探りにくかったってことか」

 なるほどな、とクサンは手を打った。

「やはり、敵は魔王城にいるようね」

「はっきりしたな、向かうとしよう」

 うなずき合って、四人は島の中心にそびえる城へ向かった。
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