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第一章 入学! オルエイ高等学園!
10.一日の終わり
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「魔物狩りなんて、楽勝だと思ってたのにさ。怖いし、痛いし、挙句の果てにはでっかい蜘蛛まで出てきてさ。」
ナルキは半泣きになりながら、抱きついてきた。
俺は慰めの言葉をかける。
「お、おう。大変だったな。」
「もう狩りなんて二度と行きたくない。」
二人と一緒にいたわけじゃないから何があったのかはわからないが、どうやら相当やられたらしい。
ローズマリーの方も、ずっとうずくまって完全に参っている。
彼女に関しては、現在シアが慰めている状態だ。
俺はそっとナルキの背中を撫でた。
「そういえば、エスタ達はどのくらい稼げたの?」
「ん? 俺たちか?」
「うん、一応勝負だし。」
俺は一度シアの方を見る。目を合わせた途端、彼女は頬を掻きながら気まずそうにする。
「んーと、二人で5000くらい?」
「「5000!?」」
ローズマリーとナルキは二人で一斉に驚愕の声をあげる。
「5000って、わたくし達、必死に4体狩って200ですわよ!?」
「どうやってそんなに稼いだのさ?」
「どうやってって、適当に狩りまくっていたらいつの間にかその数になっていただけなんだけどな。」
実はこれでも少ない方だと思っている。
魔物を倒すことよりも、探すことの方に時間がかかっているので、もっとたくさん出現してくれていたらさらに伸びていただろう。
「とりあえず、勝負は俺たちの勝ちってことで。」
俺がそう言うと、ナルキは納得したように頷いた。
「まあ、仕方ないね。ここまで差があると、負け惜しみすら言えないよ。」
ローズマリーの方を見ると、彼女も納得したようなそぶりを見せる。
「じゃあ罰ゲームとして、いつかの飯の奢りは2人にしてもらうとして、3人とも帰りに売店に寄って行こう。」
「売店? なんで?」
ナルキがとぼけたようなことを言うので、俺は呆れて突っ込む。
「お前、なんで俺たちが初日から狩りをすることになったのか、忘れたのか?」
「あっ、そういえば、掃除用品を買う為だったね。」
「そうだよ。あんな状態の部屋じゃ、一息すらつけないからな。」
正直、すでに長時間の狩りのせいで疲れつつあるが、背に腹はかえられない。
俺達は帰りの途中で売店によって、部屋の掃除の続きをすることにした。
☆★☆★☆★☆
長い掃除が終わった。
日が完全にくれて、ご飯を済ました後、俺は自身の剣を持って中庭へ出た。
日々の日課をこなす為だ。
俺には魔力がない。
その分、他の部分で人一倍努力を積み重ねる必要がある。
よって毎日夕食を食べ終わった後は、剣を振るうのだ。
まずは真っ直ぐ前に剣を構える。
次に、敵の動きを想定して振り抜く。
その繰り返し。
いわゆる素振りってやつだ。
剣という武器は扱いが難しく、刃の向きをしっかり真っ直ぐしなければ刃こぼれしてしまうし切れ味も落ちる。
こうやって素振りをする事により早く、より正確に、正しい剣の振り方を体に覚えこませているのだ。
斬る。
構える。
斬る。
構える。
そうやって何度も素振りを繰り返し、二十分頃が経過した時のことだった。
不意に、図太い男性の声が耳に入ってきた。
「おーおー、今年の一年生は骨がありそうだな。」
声の方を見ると、そこには剣をぶら下げた1人の男が立っていた。
筋骨隆々で肩幅が広く、身長も高い。がっしりとした骨格と、喋った内容から先輩であると予想する。
「あ、こんにちは。」
「ん? おう。お前、新入生だろう、名前は?」
「エスタです。」
「エスタか。俺はルーカス・ブラット、よろしくな。」
「よろしくお願いします。」
彼が手を出したので、俺は握り返す。
苗字を持っているという事は貴族だろうか。
「えーと、二年生の方ですか?」
「三年生だ。今年からは最上級生だな。」
まさかの三年生だった。
「先輩も剣の練習に?」
「おうよ、俺の日課さ。」
青髪短髪。
一見強そうな見た目をしてはいるが、話して見ると人が良さそうな先輩だ。
ただ、どうしても気になる事があった。
「ちなみになんですけど、一つ聞いていいですか?」
「んだよ。」
「なんでパンイチ!?」
目の前にいるこの先輩、なんとパンツ一丁だったのだ。
服とズボンは疎か、靴と靴下も履いていないまごうことなきパンイチ。
俺の疑問に彼はドヤ顔で答える。
「なぜかって? こうすればよく見えるだろう。俺の筋肉ッ!」
そう言いながら、彼は筋肉に力を入れてこちらに見せつける。
だめだ、この先輩、所謂あれだ。脳筋。
俺が言葉を詰まらせていると彼は何故か俺に向かってウィンクする。そして聞いてくる。
「どうだ? 綺麗だとは思わないか?」
「え、ええ。まぁ…」
「さあ、もっと褒め称えよ。我の筋肉は…」
「こら、ルーカス、新入生を困らせないのッ!」
突如彼の後ろからもう一つの女性の声が聞こえきた。
見ると、そこには金髪美人なお姉さんがいた。
「うちの馬鹿がごめんなさいね、新入生くん。こいつ、夜中になるとパンイチでその辺の人にちょっかいをかけ出すから。」
「あ、いえ、大丈夫です。変人には慣れてますから。」
「おい新入生、誰が変人だ。」
パンイチでちょっかいをかけ出すって、もうただの不審者やん。
俺がそんな事を思っていると、彼女は自己紹介を始めた。
「私はメイラン。こいつの同級生で、3年F組よ。何か、わからないことがあったら聞いてね。」
「エスタです。よろしくお願いします。」
俺がそう言うと、彼女はルーカス先輩の首をがっしり掴む。
「さあ、ルーカス、とっとと戻るわよ。あんたまだ課題おわってないでしょ。」
「お、おい。まてメイラン。こいつ中々に骨がありそうなんだよ。」
「知らないわよ。ほら、歩く。」
そう言い合いながら、2人は寮の中へと戻って行った。
まるで嵐が通り過ぎて行ったかのような感覚だ。俺は一体何を見せられたんだ?
☆★☆★☆★☆
素振りを終え、自室の風呂に入る。
案の定部屋自体は汚いが、お湯は意外にも綺麗で、汗や汚れは落とせそうだ。石鹸もちゃんとした物が用意されていた。
体を拭いて服を着て部屋を出ると、布団の上でナルキが座っていた。
「修行はもう良いの?」
彼は俺に質問する。
「ああ、体を慣らす為の日課だしな、長く続ける事はない。」
「そっか。それじゃあ、そろそろどっちのベッドに寝るか決めよっか。」
「おう。」
部屋には二段式のベッドが一つ置いてある。薄汚くはあるが意外とガッチリしていて、丈夫そうだ。ただ寝心地は悪そう。
俺達はジャンケンで上と下どちらに寝るかを決める。
結果はナルキが勝って、彼は下を取ったので、必然的に俺が上になった。
入学初日なのもあって、意外と体が疲れていたので、俺はすぐにベッドに入る。
「意外と、寝ごごちいいな。」
俺がそう言うと、ナルキが共感した。
「ちょっとカビクサイけど、ふわふわしてるね。」
薄汚いのはもう仕方ないとして、最低限の設備は整えているようだった。
明日の朝にはしっかり疲れが取れている事だろう。
待遇は不満のあるものが多いけど、一応はオルエイ。ちゃんと生徒が学べる環境は用意しているようだ。
「おやすみナルキ。」
「うん、おやすみエスタ、これからもよろしくね。」
オルエイ高等学園の一日目が終わった。
全体的に変な人が多い気がするが、楽しそうな学園生活が送れそうだ。
俺はこれからの期待に胸を躍らせながら目を閉じた。
この三年間で絶対的Aクラスへのし上がってやる。と、改めて決意を胸に刻みながら。
俺の目的の為に。
8年前、親友とかわしたあの約束の為に。
俺は、深い眠りに落ちて行った。
ナルキは半泣きになりながら、抱きついてきた。
俺は慰めの言葉をかける。
「お、おう。大変だったな。」
「もう狩りなんて二度と行きたくない。」
二人と一緒にいたわけじゃないから何があったのかはわからないが、どうやら相当やられたらしい。
ローズマリーの方も、ずっとうずくまって完全に参っている。
彼女に関しては、現在シアが慰めている状態だ。
俺はそっとナルキの背中を撫でた。
「そういえば、エスタ達はどのくらい稼げたの?」
「ん? 俺たちか?」
「うん、一応勝負だし。」
俺は一度シアの方を見る。目を合わせた途端、彼女は頬を掻きながら気まずそうにする。
「んーと、二人で5000くらい?」
「「5000!?」」
ローズマリーとナルキは二人で一斉に驚愕の声をあげる。
「5000って、わたくし達、必死に4体狩って200ですわよ!?」
「どうやってそんなに稼いだのさ?」
「どうやってって、適当に狩りまくっていたらいつの間にかその数になっていただけなんだけどな。」
実はこれでも少ない方だと思っている。
魔物を倒すことよりも、探すことの方に時間がかかっているので、もっとたくさん出現してくれていたらさらに伸びていただろう。
「とりあえず、勝負は俺たちの勝ちってことで。」
俺がそう言うと、ナルキは納得したように頷いた。
「まあ、仕方ないね。ここまで差があると、負け惜しみすら言えないよ。」
ローズマリーの方を見ると、彼女も納得したようなそぶりを見せる。
「じゃあ罰ゲームとして、いつかの飯の奢りは2人にしてもらうとして、3人とも帰りに売店に寄って行こう。」
「売店? なんで?」
ナルキがとぼけたようなことを言うので、俺は呆れて突っ込む。
「お前、なんで俺たちが初日から狩りをすることになったのか、忘れたのか?」
「あっ、そういえば、掃除用品を買う為だったね。」
「そうだよ。あんな状態の部屋じゃ、一息すらつけないからな。」
正直、すでに長時間の狩りのせいで疲れつつあるが、背に腹はかえられない。
俺達は帰りの途中で売店によって、部屋の掃除の続きをすることにした。
☆★☆★☆★☆
長い掃除が終わった。
日が完全にくれて、ご飯を済ました後、俺は自身の剣を持って中庭へ出た。
日々の日課をこなす為だ。
俺には魔力がない。
その分、他の部分で人一倍努力を積み重ねる必要がある。
よって毎日夕食を食べ終わった後は、剣を振るうのだ。
まずは真っ直ぐ前に剣を構える。
次に、敵の動きを想定して振り抜く。
その繰り返し。
いわゆる素振りってやつだ。
剣という武器は扱いが難しく、刃の向きをしっかり真っ直ぐしなければ刃こぼれしてしまうし切れ味も落ちる。
こうやって素振りをする事により早く、より正確に、正しい剣の振り方を体に覚えこませているのだ。
斬る。
構える。
斬る。
構える。
そうやって何度も素振りを繰り返し、二十分頃が経過した時のことだった。
不意に、図太い男性の声が耳に入ってきた。
「おーおー、今年の一年生は骨がありそうだな。」
声の方を見ると、そこには剣をぶら下げた1人の男が立っていた。
筋骨隆々で肩幅が広く、身長も高い。がっしりとした骨格と、喋った内容から先輩であると予想する。
「あ、こんにちは。」
「ん? おう。お前、新入生だろう、名前は?」
「エスタです。」
「エスタか。俺はルーカス・ブラット、よろしくな。」
「よろしくお願いします。」
彼が手を出したので、俺は握り返す。
苗字を持っているという事は貴族だろうか。
「えーと、二年生の方ですか?」
「三年生だ。今年からは最上級生だな。」
まさかの三年生だった。
「先輩も剣の練習に?」
「おうよ、俺の日課さ。」
青髪短髪。
一見強そうな見た目をしてはいるが、話して見ると人が良さそうな先輩だ。
ただ、どうしても気になる事があった。
「ちなみになんですけど、一つ聞いていいですか?」
「んだよ。」
「なんでパンイチ!?」
目の前にいるこの先輩、なんとパンツ一丁だったのだ。
服とズボンは疎か、靴と靴下も履いていないまごうことなきパンイチ。
俺の疑問に彼はドヤ顔で答える。
「なぜかって? こうすればよく見えるだろう。俺の筋肉ッ!」
そう言いながら、彼は筋肉に力を入れてこちらに見せつける。
だめだ、この先輩、所謂あれだ。脳筋。
俺が言葉を詰まらせていると彼は何故か俺に向かってウィンクする。そして聞いてくる。
「どうだ? 綺麗だとは思わないか?」
「え、ええ。まぁ…」
「さあ、もっと褒め称えよ。我の筋肉は…」
「こら、ルーカス、新入生を困らせないのッ!」
突如彼の後ろからもう一つの女性の声が聞こえきた。
見ると、そこには金髪美人なお姉さんがいた。
「うちの馬鹿がごめんなさいね、新入生くん。こいつ、夜中になるとパンイチでその辺の人にちょっかいをかけ出すから。」
「あ、いえ、大丈夫です。変人には慣れてますから。」
「おい新入生、誰が変人だ。」
パンイチでちょっかいをかけ出すって、もうただの不審者やん。
俺がそんな事を思っていると、彼女は自己紹介を始めた。
「私はメイラン。こいつの同級生で、3年F組よ。何か、わからないことがあったら聞いてね。」
「エスタです。よろしくお願いします。」
俺がそう言うと、彼女はルーカス先輩の首をがっしり掴む。
「さあ、ルーカス、とっとと戻るわよ。あんたまだ課題おわってないでしょ。」
「お、おい。まてメイラン。こいつ中々に骨がありそうなんだよ。」
「知らないわよ。ほら、歩く。」
そう言い合いながら、2人は寮の中へと戻って行った。
まるで嵐が通り過ぎて行ったかのような感覚だ。俺は一体何を見せられたんだ?
☆★☆★☆★☆
素振りを終え、自室の風呂に入る。
案の定部屋自体は汚いが、お湯は意外にも綺麗で、汗や汚れは落とせそうだ。石鹸もちゃんとした物が用意されていた。
体を拭いて服を着て部屋を出ると、布団の上でナルキが座っていた。
「修行はもう良いの?」
彼は俺に質問する。
「ああ、体を慣らす為の日課だしな、長く続ける事はない。」
「そっか。それじゃあ、そろそろどっちのベッドに寝るか決めよっか。」
「おう。」
部屋には二段式のベッドが一つ置いてある。薄汚くはあるが意外とガッチリしていて、丈夫そうだ。ただ寝心地は悪そう。
俺達はジャンケンで上と下どちらに寝るかを決める。
結果はナルキが勝って、彼は下を取ったので、必然的に俺が上になった。
入学初日なのもあって、意外と体が疲れていたので、俺はすぐにベッドに入る。
「意外と、寝ごごちいいな。」
俺がそう言うと、ナルキが共感した。
「ちょっとカビクサイけど、ふわふわしてるね。」
薄汚いのはもう仕方ないとして、最低限の設備は整えているようだった。
明日の朝にはしっかり疲れが取れている事だろう。
待遇は不満のあるものが多いけど、一応はオルエイ。ちゃんと生徒が学べる環境は用意しているようだ。
「おやすみナルキ。」
「うん、おやすみエスタ、これからもよろしくね。」
オルエイ高等学園の一日目が終わった。
全体的に変な人が多い気がするが、楽しそうな学園生活が送れそうだ。
俺はこれからの期待に胸を躍らせながら目を閉じた。
この三年間で絶対的Aクラスへのし上がってやる。と、改めて決意を胸に刻みながら。
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8年前、親友とかわしたあの約束の為に。
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