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第一章 入学! オルエイ高等学園!
4.包帯ぐるぐるマン
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しばらく歩くと、教室に到着した。
「ここが1年F組の教室となります。クラス順位の変化が無ければ一年間お世話になる教室です。丁寧にお使いください。」
先生がそう言うと、クラス内ではざわめきが起こった。
「え? これが教室?」
「なんか臭くね?」
「ぼろい…」
皆信じられないような表情で、教室を眺めていた。
当たり前だ。
何故なら目の前に広がっている光景が、余りにも入学式の時の光景とかけ離れていたからだ。
ボロボロの木で今にも崩れ落ちそうな床。
バキバキに割れて、ガムテープで応急処置されただけの窓。
しかも天井は蜘蛛の巣だらけときた。
とても集中して勉強できる環境とは思えない。
「ボロボロだね。」
ナルキが耳元でそうささやくので、
「そうだな。」
俺は頷いて返した。
目の前の余りにも酷い光景にあっけにとられていると、一人の男が大声で抗議し始める。
「おい、ふざけんじゃねえぞ! んだこの教室は!」
声の方を向くと、そこには赤髪短髪の柄の悪そうな男が立っていた。
先生に向かって大声で怒鳴る。ついでに胸倉も思いっきりつかむ。
「んで俺らの教室はこんな汚ぇんだァ! 他のクラスはもっときれいだったじゃねぇかよ!」
入学早々凄いやつもいるもんだな、先生に向かってあんな態度とるの、下手したら停学になりかねないだろ。
目の前で叫ばれた先生は、胸倉を掴んでいる男の手首を掴んで、淡々と口を開く。
「あなたは確かグレル君と言いましたね?」
先生が手に力を入れると、グレルという青年は痛かったのか、咄嗟に胸倉を離した。
そしてすぐに自身の手首を掴んでいる先生の手を取ろうとするが、握力が強いのかびくともしない。
「この学園では、生徒の実力によって生徒の扱いが変わってきます。この教室は、あなたの身分にふさわしいように作られたものです。」
そう言うと、先生は掴んでいた手首を離した。
グレルは痛がりながら、思いっきり地面に座り込む。
「………クソがッ!」
そして恨めしそうに先生を睨んだ。
そんな彼を、先生は澄ました顔で見つめる。
「身の程をわきまえることを推奨します。ちなみにあなたが今行ったのは教員に対しての暴行にあたります。今回は特別に不問とさせて頂きますが、同じような事が無きようお願いします。では皆さん、出席番号順にご着席ください。」
★☆★☆★★☆★☆★
皆が席に着くと、先生は最初に自己紹介を始めた。
「どうも皆さんこんにちは。わたくしは、これから皆さんの担任を務めさせていただきます、ナートルと申します。」
そう言って、彼は深くお辞儀をする。
見た目は包帯グルグル巻きで、執事服にハットをかぶっている。
非常に礼儀正しく、しかしどこか奇妙な雰囲気が漂っていた。
つい息を吞んでしまう。
続けて彼は、学園について説明し始めた。
「まず最初に、このオルエイ高等学園は、国の繁栄を願って作られた学園です。その目的は、将来人々の上に立つ魔族を育成することにある。ぜひ、常に模範となるような行動を心がけてください。」
そう言うと、ナートル先生は先程つかみかかった生徒を睨む。
見つめられたグレルは、チッ、と舌打ちをして目線をそらした。
先生は続ける。
「では学園生活についての説明を始めます。この学園ではランキングシステムが導入されております。学年内において生徒一人一人に1位から120位まで定められており、このランキングが高ければ高いほど良い特典があります。順位変動は年に四回、前学期と後学期のそれぞれ中間テスト期末テストの結果によって変化します。Fクラスの生徒であるあなた達は、101位から120位の間を変動します。次に…」
「先生! 質問をいいですか?」
一人の女子が話を遮って手を挙げた。
「あなたは確かエリーゼさんですね。何でしょうか?」
「101位から120位の間という事は、私たちはそれ以上の順位へは行けないということですか?」
「それは今から話します。エリーゼさん、説明には順序というものがあります。やる気があるのは結構ですが、焦ってはいけませんよ。」
「あ…す…すみません。」
「今エリーゼさんがおっしゃった通りです。ランキングというのはクラスによって固定されます。Aクラスならば1位から20位、Bクラスならば21位から40位。あなた達は101位から120位となります。しかし、Fクラスだからといって100位以上へ行けない訳ではありません。実は、個人ランキングの他にクラスランキングというのも定められているのです。現在のFクラスのクラスランキングは6位の最下位。しかし、例えばこのクラスランキングを5位にまで上げることが出来れば、あなた達の個人ランキングは80位から100位の間へと変化します。ちなみにクラスランキングの変動も各学期の定期テストにて行われます。」
説明を聞いて思った。
ひっどい
弱肉強食。強いやつが偉く、弱いやつが悪い。
魔界の倫理観を忠実に守っているな。
学園内部での内容は、予めエイリアさんから聞いているので知っているが、改めて聞いてみるとかなりひどく感じる。
クラスごとの順位変動など、そう簡単に起きるはずがないだろうに。
そもそもクラスはランダムに振り分けられるわけではなく、入学時の実力で割り振られている。
故に、才能があり実力のある魔族から上位のクラスに入っていく仕組みになっているのだ。
成り上がりなどそうそう起きない。
つまり、Fクラスの内の一人がEクラス並みの実力者になったところで、順位は101位から上がれず、真っ当に評価もされないということだ。しかも実力の低い同じクラスの人に足を引っ張られてしまう始末。
これまじでふざけた制度だろ。
事前に知っていたからどうにかしてでもAクラスに入りたかったのに…
というか、この後の学園生活が不安だ。周りの奴らに足を引っ張られずに済むだろうか?
ナートル先生は説明を続けた。
「では次に独自通貨制度の説明をします。この学園には『オル』と名付けられている独自通貨が存在します。」
そう言うと、彼はポケットから紙切れを取り出して見せる。
「こちらがオルになります。相場は普段皆さんが使っている通貨と変わりありません。これから学園生活が始まるにあたり、皆さんはこちらのオルを利用して生活することになるでしょう。オルの入手方法ですが、主に二つあります。一つ目は定期テストにて高い点数を取ること。通貨の入手に関しては、ランキング関係なく、点数に応じて公平にあたえられます。二つ目は狩りをすること。このオルエイ高等学園は、王都の中心にありながらも、直径5㎞にも及ぶ膨大な敷地を所有しています。その大半は森となっていて、森の中には数多くの魔物が生息しております。より強い魔物を狩って、通貨を入手してください。ちなみに、入念な配慮によりここ10年は死亡者は出ておりませんが、昔は年に十数人がなくなるほどだった危険な森です。無茶はしないようにお気を付けください。」
通貨システムか…
これから3年間、俺達学生は寮に泊まって生活することになる。
そのなかで、食事や生活必需品など、お金が必要になる場面は多々現れるだろう。
その為に狩りをしろと…
こちらに関してはよくできたシステムだ。
普通に生活をするだけで自然と戦闘能力が身に付けられるし、学校の授業では補えない実戦経験を積むことができる。
何より、魔物狩りは、少し楽しそうだ。
俺は少しわくわくしていた。
先生は皆に見せていたお金を再びポケットの中へとしまった。
「ではこの学園での特殊なルール説明はこれにて終わりです。続いては授業面での説明をしたいと思い……………………」
先生による説明はまだ続いた。
「ここが1年F組の教室となります。クラス順位の変化が無ければ一年間お世話になる教室です。丁寧にお使いください。」
先生がそう言うと、クラス内ではざわめきが起こった。
「え? これが教室?」
「なんか臭くね?」
「ぼろい…」
皆信じられないような表情で、教室を眺めていた。
当たり前だ。
何故なら目の前に広がっている光景が、余りにも入学式の時の光景とかけ離れていたからだ。
ボロボロの木で今にも崩れ落ちそうな床。
バキバキに割れて、ガムテープで応急処置されただけの窓。
しかも天井は蜘蛛の巣だらけときた。
とても集中して勉強できる環境とは思えない。
「ボロボロだね。」
ナルキが耳元でそうささやくので、
「そうだな。」
俺は頷いて返した。
目の前の余りにも酷い光景にあっけにとられていると、一人の男が大声で抗議し始める。
「おい、ふざけんじゃねえぞ! んだこの教室は!」
声の方を向くと、そこには赤髪短髪の柄の悪そうな男が立っていた。
先生に向かって大声で怒鳴る。ついでに胸倉も思いっきりつかむ。
「んで俺らの教室はこんな汚ぇんだァ! 他のクラスはもっときれいだったじゃねぇかよ!」
入学早々凄いやつもいるもんだな、先生に向かってあんな態度とるの、下手したら停学になりかねないだろ。
目の前で叫ばれた先生は、胸倉を掴んでいる男の手首を掴んで、淡々と口を開く。
「あなたは確かグレル君と言いましたね?」
先生が手に力を入れると、グレルという青年は痛かったのか、咄嗟に胸倉を離した。
そしてすぐに自身の手首を掴んでいる先生の手を取ろうとするが、握力が強いのかびくともしない。
「この学園では、生徒の実力によって生徒の扱いが変わってきます。この教室は、あなたの身分にふさわしいように作られたものです。」
そう言うと、先生は掴んでいた手首を離した。
グレルは痛がりながら、思いっきり地面に座り込む。
「………クソがッ!」
そして恨めしそうに先生を睨んだ。
そんな彼を、先生は澄ました顔で見つめる。
「身の程をわきまえることを推奨します。ちなみにあなたが今行ったのは教員に対しての暴行にあたります。今回は特別に不問とさせて頂きますが、同じような事が無きようお願いします。では皆さん、出席番号順にご着席ください。」
★☆★☆★★☆★☆★
皆が席に着くと、先生は最初に自己紹介を始めた。
「どうも皆さんこんにちは。わたくしは、これから皆さんの担任を務めさせていただきます、ナートルと申します。」
そう言って、彼は深くお辞儀をする。
見た目は包帯グルグル巻きで、執事服にハットをかぶっている。
非常に礼儀正しく、しかしどこか奇妙な雰囲気が漂っていた。
つい息を吞んでしまう。
続けて彼は、学園について説明し始めた。
「まず最初に、このオルエイ高等学園は、国の繁栄を願って作られた学園です。その目的は、将来人々の上に立つ魔族を育成することにある。ぜひ、常に模範となるような行動を心がけてください。」
そう言うと、ナートル先生は先程つかみかかった生徒を睨む。
見つめられたグレルは、チッ、と舌打ちをして目線をそらした。
先生は続ける。
「では学園生活についての説明を始めます。この学園ではランキングシステムが導入されております。学年内において生徒一人一人に1位から120位まで定められており、このランキングが高ければ高いほど良い特典があります。順位変動は年に四回、前学期と後学期のそれぞれ中間テスト期末テストの結果によって変化します。Fクラスの生徒であるあなた達は、101位から120位の間を変動します。次に…」
「先生! 質問をいいですか?」
一人の女子が話を遮って手を挙げた。
「あなたは確かエリーゼさんですね。何でしょうか?」
「101位から120位の間という事は、私たちはそれ以上の順位へは行けないということですか?」
「それは今から話します。エリーゼさん、説明には順序というものがあります。やる気があるのは結構ですが、焦ってはいけませんよ。」
「あ…す…すみません。」
「今エリーゼさんがおっしゃった通りです。ランキングというのはクラスによって固定されます。Aクラスならば1位から20位、Bクラスならば21位から40位。あなた達は101位から120位となります。しかし、Fクラスだからといって100位以上へ行けない訳ではありません。実は、個人ランキングの他にクラスランキングというのも定められているのです。現在のFクラスのクラスランキングは6位の最下位。しかし、例えばこのクラスランキングを5位にまで上げることが出来れば、あなた達の個人ランキングは80位から100位の間へと変化します。ちなみにクラスランキングの変動も各学期の定期テストにて行われます。」
説明を聞いて思った。
ひっどい
弱肉強食。強いやつが偉く、弱いやつが悪い。
魔界の倫理観を忠実に守っているな。
学園内部での内容は、予めエイリアさんから聞いているので知っているが、改めて聞いてみるとかなりひどく感じる。
クラスごとの順位変動など、そう簡単に起きるはずがないだろうに。
そもそもクラスはランダムに振り分けられるわけではなく、入学時の実力で割り振られている。
故に、才能があり実力のある魔族から上位のクラスに入っていく仕組みになっているのだ。
成り上がりなどそうそう起きない。
つまり、Fクラスの内の一人がEクラス並みの実力者になったところで、順位は101位から上がれず、真っ当に評価もされないということだ。しかも実力の低い同じクラスの人に足を引っ張られてしまう始末。
これまじでふざけた制度だろ。
事前に知っていたからどうにかしてでもAクラスに入りたかったのに…
というか、この後の学園生活が不安だ。周りの奴らに足を引っ張られずに済むだろうか?
ナートル先生は説明を続けた。
「では次に独自通貨制度の説明をします。この学園には『オル』と名付けられている独自通貨が存在します。」
そう言うと、彼はポケットから紙切れを取り出して見せる。
「こちらがオルになります。相場は普段皆さんが使っている通貨と変わりありません。これから学園生活が始まるにあたり、皆さんはこちらのオルを利用して生活することになるでしょう。オルの入手方法ですが、主に二つあります。一つ目は定期テストにて高い点数を取ること。通貨の入手に関しては、ランキング関係なく、点数に応じて公平にあたえられます。二つ目は狩りをすること。このオルエイ高等学園は、王都の中心にありながらも、直径5㎞にも及ぶ膨大な敷地を所有しています。その大半は森となっていて、森の中には数多くの魔物が生息しております。より強い魔物を狩って、通貨を入手してください。ちなみに、入念な配慮によりここ10年は死亡者は出ておりませんが、昔は年に十数人がなくなるほどだった危険な森です。無茶はしないようにお気を付けください。」
通貨システムか…
これから3年間、俺達学生は寮に泊まって生活することになる。
そのなかで、食事や生活必需品など、お金が必要になる場面は多々現れるだろう。
その為に狩りをしろと…
こちらに関してはよくできたシステムだ。
普通に生活をするだけで自然と戦闘能力が身に付けられるし、学校の授業では補えない実戦経験を積むことができる。
何より、魔物狩りは、少し楽しそうだ。
俺は少しわくわくしていた。
先生は皆に見せていたお金を再びポケットの中へとしまった。
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