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第一章 入学! オルエイ高等学園!
3.入学式
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入学式。
それは、全ての学生が入学の際に必ず通る、学校の登竜門だ。
校長先生のありがたくも長い話。
一人一人呼ばれる生徒達の個名。
学校関係者からの祝儀。
長くて面倒臭いながらも、多くの生徒が胸に期待を込めて出席するその伝統行事は、勿論ここオルエイ高等学校でも存在する。
「全員起立ッ!」
現在1月15日。
魔界と呼ばれるこの場所では、年明けと同時に学年が変わる。
故に一月の中旬である今、各学校で入学式が行なわれていた。
それはオルエイでも変わらない。
「これよりオルエイ高等学園入学式を開式致します。」
教頭っぽい先生が、壇上にてそう言い、お辞儀をする。
俺はなんとなく周囲を見渡してみた。
広くてきれいな体育館。黄金に覆われた天井。
一席一席装飾を施された椅子に、大きな宝石が埋め込まれた演台。
それら一つ一つに莫大な予算が投入されていて、この学園の格式と規模を暗示していた。
これから毎日、こんな綺麗ですげえ学校で過ごすのか。
そう考えると、少し胸がわくわくする。
「では最初に、国歌斉唱。全員起立!」
司会の方がそういうと、生徒や先生など、体育館にいる全員が立ち上がった。
オルエイ高等学園の生徒は、合計360人。
三学年に分かれていると考えると、一学年120人だ。
それだけの数の生徒が、この体育館にて、現在列になって座っている。
決して多くはないが、壮観だ。
席は主に六つの集団に分かれていて、それぞれ20人ほどでまとめられている。
恐らくはクラスごとという事だろう。
学年最下位の俺が一番左後ろに座らされているので、右から高いクラスの順番になっていると考えられる。
式が始まって、最初に行われたのは国家斉唱だった。
前方の壇上に指揮者が表れ、指揮棒を振り上げる。
次の瞬間、国家の演奏が流れ始め、国歌斉唱が始まった。
人数は多く、かなり迫力のある斉唱だった。
それが終わると、次は学長の話だ。
長いし、内容がない。
とりあえず、俺はボーっとしながら聞き流していた。
次は、生徒会長によるお祝いの言葉。
「続いて、在校生代表挨拶です。」
そんな掛け声と共に壇上に表れたのは、金髪青目高身長な、イケメンの青年だった。
一見普通の学生に見える。
しかし、様子がおかしい。
彼が現れた瞬間、周囲でざわめきが起き始めたのだ。
「ねえ、あれって…」
「やば…」
理由は明確。
彼が超有名人だからだ。
その顔は、田舎の村出身の俺でも流石に知っている。
ビルジュア・アストン。
貴族の中でも最も位の高い公爵家という称号を授かった名家であるアストン家の長男にして、魔王直下四天王の一人。
17歳という史上最年少で四天王になった生きる伝説。
今、この国の王に最も近いとされている男だ。
ビルジュアは、壇上に立つなり用意していた紙を広げて、スピーチを始めた。
「春となり、暖かい日差しが降り注ぐようになりました。新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。」
礼儀正しい挨拶から始まり、入学を祝う。
「さて、今日から皆さんは…」
わりとありがちな挨拶だ。
テンプレを詰め込んでいるのだろう。
代表挨拶は淡々と進んだ。
「学園生活にあたり……………………
…………………………………部活動の面では……………
これからの三年間……………………」
かなり退屈だった。
喋る人は凄い大物だが、内容は平凡だった。
まあ、入学式という大事な行事なので、そりゃそうだろうが。
「最後に…」
ビルジュア・アストンは、そう一言発した後、咳払いを挟んだ。
そして続ける。
「このオルエイ高等学園では生徒達が切磋琢磨し合える環境を目指しております。ここにいる皆様は、将来国の中心となって活躍する人物です。クラスの序列など関係なく、皆が平等に接し合える、そんな充実した学園生活を送りください。新入生の皆様の、これからのご活躍を心からお祈り申し上げます。」
そう言い残して、彼は深くお辞儀をした。
そして壇上から去っていく。
俺はそんな彼を、たちが悪いなと思いながら見つめていた。
★☆★☆★★☆★☆★
入学式が終わった。
在校生の代表挨拶の後は、新入生の代表挨拶、入学許可宣言、関係者の挨拶、閉式の言葉が順番通りに行われた。
式場からの退場を終えた俺達は、そのまま担任の先生に教室へと案内される。
時刻は昼前、少しお腹が減ってきた頃だ。
俺達Fクラスの生徒達は、包帯グルグル巻きの奇妙な先生に案内され廊下を歩いていた。
入学式の雰囲気とは一転、皆多少リラックスをしていた。
周囲から、少し話し声が聞こえる。
どうやら、中には入学以前から顔見知りの人もいるらしい。
「ねえ、君。」
不意に、隣を歩いていた人から声をかけられた。
俺は声の聞こえる方へ振り向く。
そこにいたのは、青髪に金色の瞳孔を持った中性的な少年だった。
ぱっと見、性別がわからない。スカートではなくパンツを履いていることからかろうじで男とわかる。
「な…なんだ?」
俺は返事をする。
「珍しい髪色だね。」
そう言うと、彼は俺の漆黒色の髪の毛を指さした。
「あ? ああ、これか? まあよく言われるよ。まぁ、俺ほどの魔族になると、特別なオーラを隠せないか…」
俺がそう返した瞬間、少年は身を乗り出してきて、
「真っ黒な髪の毛なんて初めて見た!」
そう言いながら、目を輝かせながら息のかかる距離まで近づいてきた。
そして、じーっと俺の髪の毛を見る。
「はあ、はあ、」
「ん?」
少年はなんだか息荒げになる。
そして髪の毛をクイっと上にあげ、目元をじっと凝視してきた。
「凄いや! 目も真っ黒! まるで初代魔王様みたいだね!」
「あ…うん…えーと?」
なんかこいつ顔まで赤くなってきたんだけど?
なんなんだ?
「あっ、ごめん。ちょっと興奮しすぎた。珍しいものが大好きで、つい。僕の名前はナルキ! よろしくね。」
「ああ、俺はエスタだ。よろしく。」
「エスタ、か。一番左後ろに座っていた人だよね?」
「ああ、よく見てるな。」
「じゃあ、学年順位120番か! 僕は119番なんだ! ビリ欠どうし頑張ろう!」
「お、おう。」
この人、俺の次に成績が悪い人だったのか。
実力で言えば、俺は実質学年一位だし、つまりはこいつは真の学年ビリということになるな…
可哀想に。
それは、全ての学生が入学の際に必ず通る、学校の登竜門だ。
校長先生のありがたくも長い話。
一人一人呼ばれる生徒達の個名。
学校関係者からの祝儀。
長くて面倒臭いながらも、多くの生徒が胸に期待を込めて出席するその伝統行事は、勿論ここオルエイ高等学校でも存在する。
「全員起立ッ!」
現在1月15日。
魔界と呼ばれるこの場所では、年明けと同時に学年が変わる。
故に一月の中旬である今、各学校で入学式が行なわれていた。
それはオルエイでも変わらない。
「これよりオルエイ高等学園入学式を開式致します。」
教頭っぽい先生が、壇上にてそう言い、お辞儀をする。
俺はなんとなく周囲を見渡してみた。
広くてきれいな体育館。黄金に覆われた天井。
一席一席装飾を施された椅子に、大きな宝石が埋め込まれた演台。
それら一つ一つに莫大な予算が投入されていて、この学園の格式と規模を暗示していた。
これから毎日、こんな綺麗ですげえ学校で過ごすのか。
そう考えると、少し胸がわくわくする。
「では最初に、国歌斉唱。全員起立!」
司会の方がそういうと、生徒や先生など、体育館にいる全員が立ち上がった。
オルエイ高等学園の生徒は、合計360人。
三学年に分かれていると考えると、一学年120人だ。
それだけの数の生徒が、この体育館にて、現在列になって座っている。
決して多くはないが、壮観だ。
席は主に六つの集団に分かれていて、それぞれ20人ほどでまとめられている。
恐らくはクラスごとという事だろう。
学年最下位の俺が一番左後ろに座らされているので、右から高いクラスの順番になっていると考えられる。
式が始まって、最初に行われたのは国家斉唱だった。
前方の壇上に指揮者が表れ、指揮棒を振り上げる。
次の瞬間、国家の演奏が流れ始め、国歌斉唱が始まった。
人数は多く、かなり迫力のある斉唱だった。
それが終わると、次は学長の話だ。
長いし、内容がない。
とりあえず、俺はボーっとしながら聞き流していた。
次は、生徒会長によるお祝いの言葉。
「続いて、在校生代表挨拶です。」
そんな掛け声と共に壇上に表れたのは、金髪青目高身長な、イケメンの青年だった。
一見普通の学生に見える。
しかし、様子がおかしい。
彼が現れた瞬間、周囲でざわめきが起き始めたのだ。
「ねえ、あれって…」
「やば…」
理由は明確。
彼が超有名人だからだ。
その顔は、田舎の村出身の俺でも流石に知っている。
ビルジュア・アストン。
貴族の中でも最も位の高い公爵家という称号を授かった名家であるアストン家の長男にして、魔王直下四天王の一人。
17歳という史上最年少で四天王になった生きる伝説。
今、この国の王に最も近いとされている男だ。
ビルジュアは、壇上に立つなり用意していた紙を広げて、スピーチを始めた。
「春となり、暖かい日差しが降り注ぐようになりました。新入生の皆様、この度はご入学おめでとうございます。」
礼儀正しい挨拶から始まり、入学を祝う。
「さて、今日から皆さんは…」
わりとありがちな挨拶だ。
テンプレを詰め込んでいるのだろう。
代表挨拶は淡々と進んだ。
「学園生活にあたり……………………
…………………………………部活動の面では……………
これからの三年間……………………」
かなり退屈だった。
喋る人は凄い大物だが、内容は平凡だった。
まあ、入学式という大事な行事なので、そりゃそうだろうが。
「最後に…」
ビルジュア・アストンは、そう一言発した後、咳払いを挟んだ。
そして続ける。
「このオルエイ高等学園では生徒達が切磋琢磨し合える環境を目指しております。ここにいる皆様は、将来国の中心となって活躍する人物です。クラスの序列など関係なく、皆が平等に接し合える、そんな充実した学園生活を送りください。新入生の皆様の、これからのご活躍を心からお祈り申し上げます。」
そう言い残して、彼は深くお辞儀をした。
そして壇上から去っていく。
俺はそんな彼を、たちが悪いなと思いながら見つめていた。
★☆★☆★★☆★☆★
入学式が終わった。
在校生の代表挨拶の後は、新入生の代表挨拶、入学許可宣言、関係者の挨拶、閉式の言葉が順番通りに行われた。
式場からの退場を終えた俺達は、そのまま担任の先生に教室へと案内される。
時刻は昼前、少しお腹が減ってきた頃だ。
俺達Fクラスの生徒達は、包帯グルグル巻きの奇妙な先生に案内され廊下を歩いていた。
入学式の雰囲気とは一転、皆多少リラックスをしていた。
周囲から、少し話し声が聞こえる。
どうやら、中には入学以前から顔見知りの人もいるらしい。
「ねえ、君。」
不意に、隣を歩いていた人から声をかけられた。
俺は声の聞こえる方へ振り向く。
そこにいたのは、青髪に金色の瞳孔を持った中性的な少年だった。
ぱっと見、性別がわからない。スカートではなくパンツを履いていることからかろうじで男とわかる。
「な…なんだ?」
俺は返事をする。
「珍しい髪色だね。」
そう言うと、彼は俺の漆黒色の髪の毛を指さした。
「あ? ああ、これか? まあよく言われるよ。まぁ、俺ほどの魔族になると、特別なオーラを隠せないか…」
俺がそう返した瞬間、少年は身を乗り出してきて、
「真っ黒な髪の毛なんて初めて見た!」
そう言いながら、目を輝かせながら息のかかる距離まで近づいてきた。
そして、じーっと俺の髪の毛を見る。
「はあ、はあ、」
「ん?」
少年はなんだか息荒げになる。
そして髪の毛をクイっと上にあげ、目元をじっと凝視してきた。
「凄いや! 目も真っ黒! まるで初代魔王様みたいだね!」
「あ…うん…えーと?」
なんかこいつ顔まで赤くなってきたんだけど?
なんなんだ?
「あっ、ごめん。ちょっと興奮しすぎた。珍しいものが大好きで、つい。僕の名前はナルキ! よろしくね。」
「ああ、俺はエスタだ。よろしく。」
「エスタ、か。一番左後ろに座っていた人だよね?」
「ああ、よく見てるな。」
「じゃあ、学年順位120番か! 僕は119番なんだ! ビリ欠どうし頑張ろう!」
「お、おう。」
この人、俺の次に成績が悪い人だったのか。
実力で言えば、俺は実質学年一位だし、つまりはこいつは真の学年ビリということになるな…
可哀想に。
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