暗殺貴族【挿絵有】

第5章 IFの物語(各キャラエンディング集)

スーラ 補足

　全カットしたスーラ編の簡単な説明です。微妙に長いので気になる方だけどうぞ(*^^*)最後の方にスーラの過去編のおまけ話もあるので、それだけ見たい方は前半の説明を飛ばしてください。




　彼は遺伝子疾患により白い髪の毛に白い肌を持って産まれました。
　しかし彼の産まれたのは貧しい村で、そのような知識を持ってる者がいませんでした。なのでスーラは 「悪魔の子」と言われ、村の人から蔑まされて育ちました。
　父親はそんな環境に耐えられず、家を出ていきます。が、母親はスーラを捨てることなく、２人でひっそりと村の隅で暮らしていました。そんなある日、スーラの特殊な能力が開花してしまいます。

「あの人もうすぐ死ぬよ」

　母親は子供の冗談だと思いましたが、数日後、スーラの言葉が現実となりました。しかし、たまたまだろうと、その時は母も特に気にしてませんでした。

「あの人、もうすぐ右腕がなくなっちゃう」

　母は戦慄しました。数日後、スーラの指さした人が、農作業の機械に巻き込まれて右腕を失ったのです。それからでした。母はスーラを家に軟禁するようになり、彼と必要以上にコミュニケーションを取らないようになったのです。
　最初は母にすがっていたスーラでしたが繰り返し拒絶され、その状況を受け入れる様になります。そんな生活が続いて数年。雪の降り積もったある日。複数の男性がスーラの家に訪ねてきました。

　村では見かけない、上等な生地を使った洋服に身を包んだその男達にスーラがおどおどしていると、母親が名前を呼び手招きをしてくれました。久しぶりに名前を呼ばれた嬉しさに母のもとに駆け寄ると、その腕を強く掴まれました。そしてそのまま、目の前の男の元へと体を押しやられました。
　見上げると男のうちの１人が母親の痩せた手のひらに数枚の金貨をのせてました。そこでスーラは、自分は今売られたのだと認識しました。スーラはなんども謝り、売らないでと泣き叫びましたが扉は静かにパタンと閉じたのでした。



　とまぁここまでがスーラの苦難の前半戦です。この時スーラは10歳頃。ちなみに幼い頃は能力的にはまだそんなに強くなく、人の死や大きな事故にちょっと敏感なぐらいでした。長いのでここからは箇条書きにしていきます。




スーラを買いに来たのはカルト教団の幹部。目的はその特異な見た目。
悪魔を崇拝する自分たちの《教団の象徴、崇拝対象》にして利用しようと考えた。

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スーラは母親に売られ、自暴自棄になり積極的に教団に協力するようになる。

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スーラに能力もあったことから、教団は驚異的なスピードで信者を増やして大きくなっていく。

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スーラは神も悪魔も信じてなかったが、何かを信じることで人々が救われているのなら、自分は崇拝対象でいようと決意する。
実はこの時、権力やお金に酔っていたのだが上記の事を理由に本人には罪悪感はなかった。

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そんなある日、教団の幹部が儀式と称して暴行などを行っているのを知る。しかも死人も出していた。
権力に酔い、こんな身近な人物の本質も見抜けなくなってしまった自分を恥じる。

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スーラはこっそり教団を抜け出し、教団の悪事についてまとめた資料をマスコミ、警察に持ち込む。

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教団の幹部たちは逮捕され、教団も解体される。

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しかしスーラを利用しようと提案した教団のトップは姿をくらませ、結局見つかることはなかった。

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この時スーラは１５歳。更生施設に送られる予定だったが、途中逃走する。

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その後色んな国を転々と旅して成長していく。




　スーラの目的はかつて自分を利用したカルト教団のトップを自らの手で捕らえ、処罰する事です。なので色んな国を転々として旅をしていました。
　そんな中、出会ったのがラリウスです。サリエルの影響により、詳しく内情は読み取れませんでしたが、彼が闇に生きているのは感じ取ったようです。
　でなんやかんやあって、スーラはそのカルト教団について何か情報が入れば教える。という交換条件でラリウスに協力することになりました。


で、ジェス編のあとスーラ編の予定だったと書いてました。


　そう。ジェスの父親がのめり込んだ悪魔崇拝のカルト教団。この教団のトップがスーラの探す人物という設定でした。が、全カットしたので幻の設定になってしまいました；



◆ここからはスーラの過去にまつわる小話です◆



「待って！　嫌だ！　母さんっ！」

　少年の口から悲痛な叫びと白い蒸気が立ち上る。そう。あの日は雪がたくさん降った次の日の事だった。

「なんでっ…！　もう変な事言わないから！　人目につかないように部屋にずっといるからっ…！
　母さんっ！　母さんっ！」

　それは忘れたくても忘れられない瞬間。母は後ろをいっさい振り向くことも、別れの挨拶もすることなく扉を静かに閉めたのだ。
　最後の数年、抱きしめられた記憶はなかった。それでも…ほんのひとかけらでも愛はあると思っていたのに……。



「あの時私は母に絶望し、そしテ恨みましたタ…」
「そう…ですよね……」
「でも、今改めて思うト…母も辛い人生だっタんですよネ」

　母を子供の目線ではなく、１人の人間として見れば、なんともかわいそうな人だったのだ。
　
　腹を痛めて産んだ子を「悪魔の子」と言われ、それが原因で父親にも出て行かれ、それでも自分の子だからと貧しいながらも一生懸命生きてきた。
　なのに急に子供が人の死や不幸を予言しだしたのだ。自分だけは悪魔の子じゃないと思って育てていたのに……。その幻想が音を立てて崩れたのだ。
　頼る人もおらず、不安を吐き出せるような人もいない。母はきっともう限界ギリギリだった。そんな状態の時に甘い言葉をかけられたら、頷いてしまうだろう。

「それによく考えタら売られるまデ、腹を空かしテ死ぬこともなかったシ、外で寒さに凍えタこともなかっタんですよネ……。
　だかラ、最後まで多少なりとモ、母の愛はあっタんだと思ってまス」
「そうですね。私もそう思います」
「ま、こんな風に思える様になっタのは本当に最近なンですけどネ～」
「最近…ですか？」
「リラに話を聞いてもらっテ、過去と向き合っタからですヨ。だから私はリラに救われたンです」
「そんな…私は何もしてませんよ……。もし、救われたのならそれは…スーラさんが…その時より成長したからじゃないですか？」
「え…？　まぁ、確かに身長はとてつモなく伸びましタけど……」
「違いますよ！　見た目じゃなくて中身が、です！」
「あぁ…そう言うことですネ。確かにそうかもシれませんネ。でも……」
「ん？　なんで膝の上に寝っころがって……？」
「まだまだ甘えタりないンですよネ～」
「ふふ…しょうがないですね」


こんな長い彼のストーリーを最後まで読んで下さった方。本当にありがとうございます…！スーラ編全カットされた彼の魂も報われます…！