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第4章 サリエル編
――に欲望の花束を④
しおりを挟む「リラを全てから解放してやってくれ」
きっとそれはサリエルの純粋な愛だった。
「おいおい。それが人に頼む態度か?」
「そうねぇん…」
レヴィアタンはラリウスを縛り付けていた石の台に腰を下ろし、なまめかしく脚を組んだ。
「跪いて私の靴にキスをしてお願いしたら考えてもいいわぁ」
完全に楽しんでいる悪魔達にラリウスはギリと歯を噛みしめる。一方サリエルには怒りの表情はなく瞳には悲壮感が漂っていた。
「……わかった」
サリエルはレヴィアタンの前まで行き、片膝を地面につけた。そして組んだレヴィアタンの脚へと口づける。サリエルの動作には迷いがなく、まるで従順な下僕のよう。またもやレヴィアタンの背中にあの感覚がゾワゾワと這ってくる。
「さぁ、美しい悪魔達に懇願してみなさいなぁ」
「…お願いだ。どうかリラを解放してあげてくれ。私は好きなようにしても構わない…だから」
「…くくくっ」
「…ふふふっ」
「あーははははははははははははははっっ」
一段と大きな笑い声が響いた。それは不快で耳障りな笑い声。
「くくくっあはははっ…情けない姿だなサリエル!!」
「ふふふっ…さいっこう! 最高よぅサリエルゥゥ!!
あぁ! なんて楽しいのかしらぁ!! あの七大天使が私達に跪いてるなんてぇん」
侮辱にも動じずサリエルはただただ無言で顔を俯けていた。頭にあるのはリラの無事。ただそれだけ。
「…これでリラを解放してくれるんだな?」
「…あらん。つまらない反応ねぇ」
予想とは違うサリエルの態度にレヴィアタンは不機嫌そうに眉間のシワを寄せた。
「そんなにこいつ助けるのに必死なんだな」
「本当ねぇ。"嫉妬"しちゃうわぁん」
「おい! どうなんだ!! 助けてくれるのか!?」
「ウルサいわねぇ。わかったわよぅ」
レヴィアタンはそう言うと座っていた石の台からクルリと身を翻し、アラストルとリラを挟むように立った。サリエルとラリウスに緊張が走る。
「ふふふ、そろそろ起こしましょうねぇ」
レヴィアタンがパチンと指を鳴らすとリラの体がピクリと反応し、瞳に光が戻ってきた。
「リラっ」
「リラさんっ」
声に反応してリラの瞳が2人の姿を確認する。
「な、にが…サリエル…さま…? にラリウスさ、ま…? 何で…? 傷が…血が…」
状況をうまく飲み込めてない上に、記憶も曖昧なようで、言葉を途切れ途切れ呟くリラ。
「うふふ…はじめましてよねぇ。お姫様」
横から声を掛けられ、リラはようやく隣にいる存在を認識した。
「…あ、なた…は…?」
「私はね、レヴィアタンって言うのよぅ」
「…レヴィ…アタン…?」
「そう。レヴィアタンよぅ。そしてねぇ…」
レヴィアタンが途中で言葉を止め、ニヤリと口を歪めた瞬間、リラは背中に強い衝撃を受け、その反動でその身を後ろへと仰け反らした。
「っあ…」
「さようならぁん」
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