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2章 おーすたぁていこく〜おうちにかえろう〜

Side LE - 15 - 19 - おかねはだいすきだよ -(挿絵あり)

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Side LE - 15 - 19 - おかねはだいすきだよ -


コキッ・・・

「(うにゃぁぁ!、痛い!、いたぁぁい!)」

「あ、起きたかレイア」

「(何?、今身体がコキって!、痛いの!)」

「何と言われても・・・宿でもやっていただろう、朝の運動だ、やはりレイアは関節が硬いな」

「(ユッキィ、今私の身体、触手が出てるし、顔や首が汗だくなんだけどいつからやってたの?」

「時計の針が一周するくらいやってたかな」

「(そんなに身体を動かして、次の日痛くならないの?)」

「なるぞ」

「(いやぁぁ!、痛いのいやぁ・・・)」

「痛いのは嫌か?」

「そんなの好きな人いないでしょ!」

「いや、シシリィは私とする時「ご主人様ぁ、もっと、もっと痛くしてぇ!」って涎を垂らしながら叫んでいたが」

「(シシリィさん・・・)」





「(もう運動は終わったの?、お風呂入るから入れ替わってよ)」

「入れ替わらなくても私が風呂で汗を洗い流すが・・・」

「(ユッキィ、綺麗に洗わないでしょ、石鹸使って、頭皮まできちんと洗ってる?、耳の後ろは?、洗ってないでしょ、前に宿で雑に頭洗ってるの私見てたんだよ)」

「別にいいだろ、誰も見てないんだから・・・」

「(ダメ!、女の子は見えないところまで気をつけて綺麗にしておきなさいってお母様が言ってたの!)」

「股間は長い間全く洗ってないがな」

「(それユッキィが洗わせてくれないからだよね!)」

「そこまで言うなら仕方ない、入れ替わるぞ、ほれ」

「あぅ・・・膝がカクン!って・・・立てない・・・ユッキィ助けて、立てない!、歩けないよ!」

「かなり運動したから足腰に来たんだろう、交代するか」

「・・・い・・・いいの、這っていくの・・・」




しゃわぁぁぁ・・・

スッ・・・

ポタポタ・・・

「すごいね、ローゼリア王国製の魔導シャワーだ、手を翳して魔力を流したら水の強さが調節できるの・・・」

「シシリィが手動のシャワーが嫌だ最新式のが欲しいと言うのでな、仕事を頑張ってもらったご褒美に買ってやったのだ」

「そうなんだ、仲違いしたって言ってたけど、仲良いよね」

「いや、仲が悪くなる前の話だな、最後の方は口論ばかりで一緒に暮らすのも苦痛だった、身体を共有しているから尚更だ」

「そうなんだ・・・、さてさっぱりしたね、乾燥の魔法陣、起動!」

「髪を乾かすのも魔法か、魔力の無駄遣いだな」

「うん、よく言われる、でも私、魔力多いから大丈夫だよ、普通に拭いて乾かす方が手間だし」





「おっ・・・髪型が違うな、いつもは後ろで縛って服の中に入れてるのに今日はゆるく結って横に流してる、その髪型も可愛いな」

「うん、今日はお出かけしないだろうから楽な髪型にしたんだぁ、お家ではいつもこれなの」

「あぁ、とても可愛いぞ、レイアは美人さんだな」

「ねぇユッキィ、この近くにも遺跡はあるの?」

「ここは大森林に隣接する辺境、マキシマの街だぞ、遺跡なんかそこらじゅうにある」

「それって入る前にハンターギルドの許可がいるやつだよね」

「そうだな、いるだろうな」

「でも私はまだ石級の見習い・・・その上の白石級も入っちゃダメだから、次の黒石級・・・一人前にならなきゃダメだね、それか鉄級や銅級の中堅のパーティに入れてもらうか・・・でも前に酷い目にあったから怖いな」

「怖いだけじゃないぞ、レイアの正体がバレたら魔物として討伐されるんじゃないかな」

「ひぃっ・・・」

「今ならこの辺の魔物を適当に狩ってギルドに持って行けばすぐにランクが上がるだろ」

「石級は魔物狩りも許可されてないんだよ」

「襲ってきた魔物を返り討ちにしたって言えば大丈夫だろう、幸いここは大森林のすぐ隣だ、魔物はそこらじゅうに居る」

「でも・・・石級ハンターの女の子が魔物に襲われましたぁ・・・って毎日ギルドに魔物の素材を持って行ったら目立つよね」

「魔物を狩るのが嫌なら森の奥の薬草やハーブを採ればいい、石級は薬草採りが主な仕事なんだろ、森の奥に行って採ってはダメっていう決まりはないだろう、特に川の向こうの森は危険過ぎて街の奴らは行かないから採り放題だ、大量の薬草を持ち込めばランクが上がるだろう」

「うん・・・それなら、大丈夫かも」

「その時に襲って来た魔物はもちろん殺すから、素材は持ち込む事になりそうだがな」

「・・・」

「魔石や牙みたいな傷まない素材は溜めておいてランクが上がったらまとめて持ち込めばいいだろう」

「そうだね・・・」

「それから、後で言うと揉めるだろうから今話しておくが、先に確認だ、レイアはこれからハンターの仕事を続けるのだな」

「うん、ハンターになるのが夢だったからね、目標は中堅の中でも強いとされる銅級かな」

「よし、ついて来い」

「え、何?」

私達?は寝室から居間まで行き物置きになってるお部屋の方へ、そして一番奥にあるお部屋に入りました。

「ここは昨日お掃除したところだよね、物置・・・」

「この中を見ろ」

ガチャ・・・ギィ・・・

ユッキィが鍵を開けて人の入る棺ほどの大きさがある箱の蓋を開けると・・・

「ひゃぁぁ!、何これ、金貨がいっぱい!、小金貨だけじゃなくて大金貨や・・・し・・・白金貨まである!、それにおっきな魔石もぎっしり!」

「歴代の宿主と一緒に私が貯めたものだ、私のここでの名前・・・初代宿主の名前だが・・・フレシュネス名義でハンターギルドに口座も作っていてな、そこにも沢山あるぞ」

「ユッキィ!、お金持ちだ!」

「歴代の宿主の中にはこれを見て人が変わったようになったり、もう仕事しないと言い出す奴も居てな、まぁレイアは貴族令嬢だから金には困ってないかなと思って先に見せたのだ」

「わぁ・・・これだけあれば一生遊んで暮らせるね、肉串いっぱい食べられるの・・・じゅるり・・・」

「おーい、レイア!、私の話を聞いてるか?、戻ってこい」

「え、あぁ、ユッキィ、私お金は大好きだよ」

「貴族令嬢の発言とは思えないな・・・」

「お父様もお母様も上級貴族の割に散財しない人だから私も庶民的な金銭感覚が身についたの、でも凄いね、いくらあるんだろ」

「私も数えた事はないな、金が手に入って、そこから生活費を抜いた後は適当にここへ放り込んでいたからな・・・、あ、そうだ、文句を言っていたレイアの小金貨5枚、返しておこう」

「うん、ありがと・・・利子は?」

「レイア・・・」

「冗談だよ、私はこれだけお金があってもハンターは続けるだろうなぁ・・・一番やりたかった事だし、いっぱい冒険して、いろんな所に行って、美味しいものを沢山食べるの、ここでお金に埋もれて一生暮らすなんてそんな退屈な事はしたくないよ、・・・それにこのお金はユッキィが頑張って貯めたもので、私のじゃないからね」

「いや、レイアと私はもう同じ身体なんだから自由に使っていいんだぞ」

「うーん、ちょっとは使うかもだけど・・・こんなにお金があっても使い道なくない?」

「そうだな、使い道が無いからこの家の床に無駄に高級な絨毯を敷いて、最高級の家具や魔道具を揃えたのだ、快適な暮らしの為に結構使ったが・・・それでもまだこれだけ余ってるからなぁ・・・あ、ギルドの口座にもこれと同じくらいあるからな、長命な魔女様の口座だからどんなに金貨があっても怪しまれない、それに災害があった時には街に寄付もしている」

「あぁ、魔女様を街のみんなが心配してるって食堂のおじさんも言ってたね、ユッキィ、街では人気者なんだね」

「義理の両親が守った街だからな、それを引き継いで私も見守ってる、8年間留守にしていた時には心配だったが、幸い強い魔物は出なかったようだ、魔物が群れて街に押し寄せるなんて事は数十年に一度ある程度だからな」





くぅー・・・

「あぅ・・・お腹すいたね、もうすぐお昼かな」

「便利な腹だな、時間が分かるのか・・・」

「うん、居間に行こう」

「なん・・・だと、昼ちょうどだ・・・レイア・・・」

「ね」

「ね、じゃないよ、何で分かるのだ?・・・」

「んー、何となく?、まぁいいじゃん、食べよう!、あ、キッチンで肉挟みパンのお肉を炙ろう、炙るととても美味しいんだよ」

「・・・」





「お昼から何をしようか、もうお掃除も済んだし・・・」

「昼からは少し付き合って欲しい、あのカリンっていう女と話がしたいんだ」

「え、昨日私のお腹を蹴った人?、私は話したくないなぁ、もれなくあの面倒臭いお姉さんが付いて来るでしょ」

「まだ根に持ってるのか・・・だが気にならないか?、あんなに強い奴が何故あの馬鹿に大人しく従ってるのか」

「弱みを握られてるとか?、私みたいに契約で縛られてるのかも・・・言われてみれば気になるね」

「カリンをあの馬鹿から引き剥がせば、あいつは生活能力が無さそうだから街に助けを求めて出て行くんじゃないかと思ってな」

「あぁ、カリンさん?はどこででも生きていけそうだけどあのお姉さんは無理だろうなぁ・・・甘やかされて育った上級貴族のお嬢様って感じだし、でもそうなったら私達に縋り付いて養えって言いそうだけど?、カリンさんにお守りを任せてたほうがいいんじゃないかなぁ」

「確かに言いそうだな、それはまずい、私達の正体がバレるのも、この中に入って好き勝手されるのも絶対に避けたい、いっそ殺っちまうか?」

「流石にそれはちょっと・・・自分達の意思で出て行ってもらうのが一番だよ」

「ついでに昨日の掃除の魔法、あれを屋敷の方にも頼みたい、思ったより傷みは激しくなかったが埃っぽかったからな」

「あのお屋敷全部だと3日くらいかかるかなぁ。広いから魔力が足りなくなると思う」

「そんなに急がなくてもゆっくりでいいぞ、時間はいくらでもある」

「うん」





「居たか・・・あいつら、よりにもよって一番いい部屋を使ってやがる」

「(一番いいお部屋?)」

「両親が寝室に使っていた部屋だ、あそこは大切な部屋だから他より丁寧に掃除をしていたのだ・・・シシリィが」

「(・・・)」





「まだあの地下室は開かないの!、私はあそこで暮らしたいと言っているのです!、無理にでもこじ開けなさい!」

「お嬢様、あの扉は分厚い金属です、それに周りは石壁、しかも暗号で守られているから無理です」

バシン!・・・

「口答えするな!、開けろと言っているのです!、命令です、行きなさい!、あまり反抗していると国に帰ったら酷い目に遭わせるわよ!」

バシン!、バシン!・・・ドカッ!・・・





「・・・酷いな・・・カリンは大怪我をしてるんだぞ」

「(うん、殺しちゃおうか)」

「レイア・・・先程、流石にそれはちょっとって言ってなかったか?」

「(見てたら腹が立ってきた、まるで契約で縛られてた時の私みたい・・・)」

「地下室に行くようだ、先回りするぞ、あいつだけなら中に入れて話を聞こう」





コツ・・・コツ・・・ギィ・・・

「ここには近付くなと言った筈だが!」

「す・・・すまない・・・しばらくここに居させてくれ、少ししたら出ていく、あなたには何もしない、絶対に敵わないと分かったから」

「上の部屋でのやり取りはベランダの窓から見ていた、あのお嬢様はお前の何だ、何故力の強いお前が素直に従ってるのだ?、お前なら怪我をしていてもあいつを殺して自由になるのは簡単じゃないか」

「・・・」

「よければ話を聞こう、ここで立ち話じゃ何だから中に入れ、また出血してるな、手当てもしてやろう」






・・・ガコン

「・・・部屋の壁が真っ白、それに魔導灯が明るい、絨毯もふかふかだ・・・」

「先に風呂に入れ、お前ものすごく臭いぞ、それで部屋に入られたらたまらん、腕は水に濡らすな、洗ってやろう」

「・・・風呂・・・風呂があるのか・・・」

「おっ、嬉しそうな顔だな、入っていないのだろう、お前も女性だからな、身体が汚れているのは嫌だろう」

「・・・あぅ・・・え、・・・待って、裸は・・・見られたくない」

「デボネア帝国の貴族は全員首輪を嵌められて、背中や腕に焼き印を押されてる・・・らしいな、私は気にしない、遠慮するな、綺麗に洗ってやろう、着ている服も全部洗うぞ、ほら早く脱げ」

「ひゃぁ・・・」

「ん、両足首に嵌っている枷のような物は何だ、外れない・・・」

「それは・・・すまないが言えない、気にしないでくれ」



しゃわぁ・・・

ごしごし・・・

「あぅ・・・そこはいい!、ひゃぁぁ!・・・自分で・・・あぁん!」

「洗えないだろ、腕が濡れたら傷に良くない」

「うぅ・・・」

「それにしても背中の焼印が予想以上にでかいな、痛そうだ」

「帝国貴族は15歳になると儀式だと言って司祭に無理やり刻まれるのだ、・・・焼印には魔石を溶かした塗料が付いていて、傷が治っても肌に色がはっきりと残る、これを刻まれた時は痛くて死ぬんじゃないかと思った」

「野蛮な習慣だな」

「私もそう思う・・・」

ちゃぷっ

「ほら綺麗になった、首輪の裏がかなり汚れていたぞ、しばらく湯に浸かってろ、服を洗って来る」

「ほわぁ・・・温かくて気持ちいい・・・あ・・・いや・・・失礼、気持ちよくてつい・・・ありがとう・・・」





コンコン・・・バタン

「洗濯が終わった、次はお前の腕に巻いた布帯だ、血がまだ止まってないな、動かしたのか」

「お嬢様が・・・食事の用意をしろと・・・」

「・・・そうか、交換して傷を水で洗う、少し痛むが我慢しろ」

「・・・っ、・・・い・・・痛い・・・」

「よし終わりだ、・・・乾かすぞ、乾燥の魔法陣だから安心しろ・・・(レイア入れ替わって乾燥を頼む)」

「魔法陣展開、乾燥!」

「・・・すごい、濡れた髪が一瞬で・・・」

「一応お前の服は洗っておいたがボロボロだったぞ、私の・・・予備の服があるからそれを着ろ・・・その体格なら・・・ミシェルの服がちょうどいいか・・・」

「ありがとう・・・」



カリーン・チッパイさん


カリーン・チッパイさん(裸)


カリーン・チッパイさん(着替えた後)


レイア・ルミナスさん(髪型変更)
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