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1章 えすてぃまのまち〜はじまり〜

Side LE - 15 - 02 - にんげんやめちゃった -(挿絵あり)

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Side LE - 15 - 02 - にんげんやめちゃった -


「・・・ん、朝?・・・あぅ・・・臭いよぉ・・・ それに身体中が痛いの」

「目が覚めたか」

「あれ?誰も居ないのに声が・・・って何このえっちな服!、やだ恥ずかしい!」

「落ち着け、私を覚えているな・・・お前の事だから忘れてそうだが・・・頼むから覚えていると言ってくれ」

「あ、魔物のお腹にいた化け物」

「とことん失礼な奴だ、助けてやったのに」

「そうだね、ありがとう・・・あそこに倒れてるの私を食べた魔物っぽいけど・・・ここはまだ巣の中?」

「そうだぞ、あれからお前は気を失ったのだ、目が覚めるまで勝手に身体を使うのはやめておいた、感謝しろ」

「それで・・・あなたは・・・何?」

「自己紹介をしよう、私は・・・まぁ・・・はっきり言うと魔物だな、私だけではゆっくりとしか動けないし、防御は強いが攻撃力がまるで無い、だが今みたいに人間の体を借りると・・・金級のハンター並には強いぞ」

「人間の言葉を喋る魔物なんて聞いた事がないよ」

「そうだろうな、私は・・・前世は人間だった、死んで気が付いたらこの世界に生まれていた、魔物に生まれ変わったのに気付いた時には驚いたな、私だけでは見ての通り弱いから何人もの人間と主従関係を結んで、お互いに利用し合った、この世界の言葉や知識もその時々の相棒から教わったのだ・・・そうだ、名前を名乗ってなかったな、前世の名前だが・・・毛利雪(もうりゆき)という女性だ、・・・姓はモウリで名前がユキだ」

「ユキさん・・・女性だったの!、乱暴な言葉遣いだから男の人だと思ってた」

「武家に生まれて剣術を嗜んでいた、男共と稽古をしていたから言葉遣いが乱暴になったのだ」

「ブケ?、ケンジュツ?」

「私のいた世界での話だ、ここだと、主君に仕える騎士・・・みたいな立場かな、女だから仕事は任せてもらえなかったが私は強かった、師範代にまでなったのだぞ」

「シハンダイ?・・・」

「まぁいいだろう、お前の名前を一応聞いておこうか」

「私の名前はレイア・ルミナス・・・ルミナス家っていう貴族の次女、家族は両親と優しいお兄様とお姉様、あと弟がいるの」

「貴族様の令嬢が何でこんなところにいるんだよ」

「話せば長くなるんだけどね・・・」





「なるほど、お前が迂闊でお人好しのバカだって事は分かった」

「酷い!」

「騙されて奴隷のような契約で働いていたのは人を信用し過ぎたからだ、それから契約書は読め!」

「あぅ・・・」

「私と一緒ならその物騒な契約を破棄できるかもな」

「本当に?」

「あぁ、契約をこちらから勝手に破棄すると左手が吹き飛ぶのだったな、それなら一度吹き飛ばせばいい、私がすぐに治してやろう、そしたら契約は無効になるだろ」

「怖いこと言わないで!、左手吹き飛ぶんだよ!、痛いのいやぁ・・・ぐす・・・ひっく」

「冗談だ、いくら私でも吹き飛んだ手は治せないな、だが私にいい考えがあるぞ」

「本当?・・・、私もう殴られるの嫌なの・・・助けて・・・」

「私と主従関係になれ、そしたら私の能力は使い放題だ、私からお前に「力」をやろう、ただ、強過ぎて皆がお前を恐れるかもしれない、それでも良ければの話だが、ハンターとしてやって行くなら魅力的な取引きだと思うぞ、私も食事としてお前から魔力や・・・その他色々ともらうし、時々私の都合で身体を使わせてもらえれば金級のハンターにでもなれるだろう」

「なる!、私強くなりたいの!、どうすればいいの?」

「私の方で全部やるからお前はそこで横になってるだけでいい、・・・だが、・・・本当に良いのかよく考えろ、歴代の相棒は後で色々と文句を言ってきてな、前回から双方の同意を取る事にしたんだ」

「寝てればいいんだね、はいどうぞ」

「軽いな・・・それに人の話を聞かない、・・・もっと注意深くなれと言われた事はないか」

「うん、お父様からよく言われてたよ」

「・・・では合意もとれた事だし始めるとするか、力を抜いて楽にしていろ」





私が着ているユキさんの身体・・・ピッチリとしていて表面がサラサラのツルツル、中は粘液みたいなので満たされていてぐちょぐちょ、表面はとても肌触りがいいけど中がとにかく気持ち悪いの、それに見た目がえっちだ・・・。

身体を覆う白い服と一体になった太ももまであるグレーのブーツと肘まである長い手袋、それから私のぺったんこなお胸に巻き付いた赤い紐状のもの・・・少しぬるっとした感じで脈打ってる・・・魔物の触手みたいで気持ち悪いって言ったらユキさんが変形させてくれて布っぽい材質になったの・・・。

「うひゃぁぁ!、いや!、くすぐったい!」

「じっとしてろ」

胸に巻き付いてた触手みたいなものが私のお股にも巻き付いて下着みたいに、・・・それから両手首と足首にも同じものが巻き付いて・・・。

「気持ち悪いよぉ」

「今から身体の中に魔石を埋め込む、少し痛むが我慢しろ」

「いっ・・・いったぁぁぁい!、嫌だ痛い!、やめてお願い!、痛いの!、うわぁぁぁん!」

「本当にお前って痛みの耐性無いな・・・とは言ってもこの時だけは皆泣き叫んでいたが・・・」

痛いの・・・本当に今まで経験した事がないような痛みが胸とお腹に・・・そして。

「終わったぞ・・・よく頑張ったな」

触手が私の首にも巻き付いて、ユキさんが終わったと言ってくれました・・・、痛かったよぉ・・・。

「どうだ、身体の調子は」

「痛かったの・・・ぐす・・・酷いの、・・・こんなに痛いなんて聞いてない」

「まぁ仕方ないだろ、人間辞めちゃったんだから」

「へ?」

「いや今この瞬間からお前は人間じゃなくて魔物になった」

「?」

「私と主従関係を結んだよな」

「うん」

「お前の身体を宿主にして私が寄生した、だから私とお前は一心同体だな、それで、私が生きられるようにお前の身体に魔石を2つ入れた、魔石を身体の中に持っている生き物は何だ」

「魔物・・・」

「そうだ、だからお前は魔物だな」

「い・・・」

「い?」

「いやぁぁぁ!、嫌だ、魔物になんてなりたくない!、お家にも帰れないし討伐されるかも・・・戻して!、お願い戻してよ!」

「魔物の身体から魔石を抜いたらどうなる?」

「死んじゃう」

「死んでもいいなら抜き取ってやるが、・・・どうする?」

「ひっく・・・えぐえぐ・・・嫌だよぉ、・・・何で?、主人である私の言うことが聞けないの?」

「勘違いしてないか?、主従関係は結んだが、「主」は私で「従」がお前だが」

「え・・・」

「だから、私がご主人様で、お前は宿主、お前の生死は私が握ってるし、私はお前の身体を自由にできる、もちろん仲良くしたいからお前が嫌がる事は・・・できるだけやらないし、事前に相談してやる、前の相棒は相談しなかった事が原因で仲違いしたからな、同じ身体でこれからずっと生きて行くんだから仲良くしような、相棒」

「ぐす・・・ひっく・・・やだぁ・・・酷いよ」





「泣き止んだか」

「・・・」

「だが先にも言った通り、お前・・・相棒なんだから名前呼びが良いな、レイアは確実に強くなる、今まで騙されたり殴られたりしただろ、そいつらに復讐もできるだろうな、それに魔物を乱獲して大金持ちになれるぞ」

「・・・たった今騙されたところなんだけど・・・ぐす・・・それに狩るんじゃなくて狩られるかも・・・ふぇぇぇ・・・」

「泣くな、まずはその騙されやすいのを何とかしろ、まぁ私がそばに付いていてやるからこれからは騙される心配はないぞ、嬉しいだろもっと喜べ、レイアはこのままだとそのうちもっと悪い奴に騙されてどこかに売られそうだからな」

「・・・」

「いや何か言えよ」

「あの・・・」

「何だ」

「この服、気持ち悪くて・・・我慢できないの、・・・早く脱ぎたいんだけど、着ていた私の服が溶けちゃって無いの、・・・どうしよう」

「安心しろ、その服はもう脱げない」

「へ?」

「私はレイアの皮膚の上に寄生している、元の皮膚の表面を溶かして私の表皮を植え付けたからピッタリ貼り付いている筈だ、脱ぐ時は元の皮膚ごと剥がさないとダメだからかなり痛いぞ」

「・・・い、嫌だこんな格好!、恥ずかしいよ!、脱がせて!、ユキさん酷い、そんな事一言も言ってなかったの!、私を魔物にする為に騙したんだ!、こんな服脱いでやるんだ!、あぅ・・・痛い・・・脱げない・・・うぅ・・・、嫌だ・・・んっ・・・脱げないよぉ!」

「こらそんなに引っ張るな、仕方ないか・・・」

「うぐぅ・・・首が・・・絞まって・・・あぅ・・・」

服を無理に脱ごうとしていたら突然首に巻かれていた触手が絞まりました、首が絞まって息ができない・・・苦しいの・・・。

「これ以上やると死ぬかな・・・」

首の触手が緩まりました・・・空気を思いっきり吸い込みます・・・魔物の巣の中だから臭いけど・・・。

「げほっ!・・・えふっ・・・けほ!、・・・うぅ・・・わぁぁぁん・・・嫌だ、こんな奴隷みたいなの嫌だぁ!、お父様助けて・・・」

「あまり使いたくはなかったが・・・落ち着け、我儘が過ぎると脳まで支配して完全に身体を乗っ取るからな」

「いやぁ・・・ぐすっ・・・」

「疲れただろうから今日は眠れ、私が見張っておくから・・・」


レイア・ルミナスさん


レイア・ルミナスさん(魔物化前)


レイア・ルミナスさん(魔物化後)


世界地図(サウスウッド大森林)
※投稿中の「~隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!~」から流用
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