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Side - 16 - 25 - おかあさまはともだちがすくない -
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Side - 16 - 25 - おかあさまはともだちがすくない -
がちゃ・・・
「あ、リゼたんとコナンきゅんだ」
「ただいま戻りました・・・お母様」
「わぁ・・・コナンきゅんしばらく見ない間にちょっと大人っぽくなったね」
なでなで・・・
「あぅ・・・お母様やめて・・・」
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン16歳でございます。
今日はコナンザを連れてローゼリア王都にある我が家に戻って来ています、今夜はお母様のお誕生日会なのです!。
・・・とは言っても他の貴族家が開くような大きなパーティや夜会じゃなくて家族とお友達を招いた身内だけの小規模なもの。
お母様はお友達が少ないからいつもは家族と親戚、それから幼馴染で専属メイド、今はお屋敷を取り仕切るメイド長でもあるカーラさんでお祝いをしています。
日本を出発したのは朝だけど転移先のローゼリアはお昼過ぎ、お屋敷の食堂ではパーティの準備でメイドさん達が忙しそうに走り回っています。
「コナンザ、お部屋に戻って準備しようか、日本で買ったお気に入りのお洋服着るんでしょ」
「え・・・う、うん」
コナンザはお部屋に行きたくなさそうです、キティちゃんのゴーストに怯えてるのかな・・・。
「お姉ちゃんが一緒に行ってあげるから」
「うん、ありがとう・・・お姉ちゃん」
がちゃ・・・
「コナンザのお部屋は久しぶりに入るよね・・・いつも私のお部屋に来るからここにはあまり入った事なかったなぁ・・・それにお部屋の中すごく綺麗にしてる」
ゴソゴソ・・・
「お・・・お姉ちゃんベッドの下なんか覗いて何してるの!」
「ん・・・コナンザも年頃の男の子だからね、えっちな本を隠してないかなーって」
「隠してないよ!」
「さて冗談はこれくらいにしてお着替えしようか、お姉ちゃんが手伝ってあげよう」
わきわき・・・
「やだ・・・お姉ちゃん目がなんか怖い」
コナンザと戯れながら私はお部屋の隅にある衣装部屋へ続くドアを横目で見ます。
「いるね(ボソッ)」
「え、何?」
「ううん、なんでもないよ」
少しだけ開いたドアの隙間からじっとこっちを眺めてる全裸の女の子・・・のゴースト、ハロキティちゃんに向かって私はコナンザに気付かれないよう控え目に手を振りました。
・・・昨日私とアメリア様はこのお屋敷を探索してキティちゃんを見つけました、アメリア様のゴースト探知魔法・・・日本風にいえば霊能力!は凄いのです!。
場所はコナンザが結婚して子供が生まれた時の為に用意されていた子供部屋の一つ、アメリア様の開錠魔法を使ってお部屋の中に入るとソファで本を読みながら寛ぐキティちゃんが居て私達の乱入にとても驚いた顔をしていました。
事前にアメリア様から渡されていた霊体が見えるお札のおかげでいつもは見えなかったキティちゃんの姿がはっきり見えます、普通の人には見えないからって油断していたのか全裸でソファに寝転がって・・・お股も全開だったから色々と丸見えなのです!。
もう死んでるとはいえその格好は淑女としてどうなの?・・・、という感想を口にしようとした時いきなり安倍晴明に変身?したアメリア様がキティちゃんに襲い掛かります。
「破ぁ!」
ぶぉん!
「ぴゃぁぁぁ!」
あ、このお札、姿だけじゃなくて声まで聞こえるんだ・・・。
「成っ!」
ずずぅぅぅん!
「あぅ・・・何?」
「滅!」
ちゅどぉぉぉぉん!
「いやぁぁ!怖いよぉ!」
ゴーストなのに泣いてるし震えています・・・。
「成仏せいやぁぁ!」
ぱぁぁっ!
アメリア様が両手で「印」を結び、懐から出した沢山のお札が宙に浮いてキティちゃんに襲い掛かろうとしたその時。
バタン!
「待って!、ちょっと待ってぇぇ!、何してるのぉぉぉっ!」
お母様がお部屋に乱入して来たのです。
「あ、お母様・・・アメリア様がキティちゃんの悪霊を祓ってくれるって・・・こっちの言葉で言うならゴーストを跡形も無く消し飛ばす・・・かな?」
「いやぁぁそんな事したらキティちゃんが死んじゃう!」
「いやもう死んでるのです」
「待って、リゼたんもそこのおじさんも!、私の話を聞いて!、キティちゃん殺しちゃやだぁ」
人見知りのお母様が安倍晴明の姿をした怪しい男にこんな風に話しかけるなんて珍しいのです、何か余程の事情があるのかも?。
「アメリア様ちょっと待って、お母様の話を聞くのです」
「今いいところなのだ!、こんなに強力なゴーストは久しぶりだから本気の除霊を・・・」
「だからちょっと待って!、お母様泣いてるから」
「・・・という訳なの、キティちゃんは悪いゴーストじゃなくて、パパや私とも仲良くやってるの、ただ・・・コナンきゅんがこの事を知っちゃうと悲しむから内緒にしてたの」
「・・・そんな事になってたの?」
「うん・・・リゼたんにはそのうち話そうと思ってたけど他の使用人さん達がいる場所では言えなくて・・・それにキティちゃんもコナンきゅんが見えてないのをいい事にお風呂やお手洗い覗いたり匂いを嗅いだり好き勝手してたしこれからもしたいからこの事は絶対に知られたくないって・・・」
「わぁ・・・でもお母様、コナンザは・・・」
「理世ちゃんちょっと待って・・・結界!、封印!」
ぱあっ!
アメリア様が「印」を結ぶと向こうで気を失ってるキティちゃんの周りをお札が囲んで五芒星の結界っぽいのが作られました。
「これでハロキティ嬢の霊には私達の会話は聞こえない、話の続きをしようか」
「うん、・・・お母様、コナンザは前にこのお屋敷に来た時からキティちゃんのゴーストが見えて怖いって・・・だから私とアメリア様が退治する為に今日ここに来たの」
「え・・・コナンきゅん見えてたの?、でも私たちには見えないよね」
「シェルダン夫人、この札を身に付けてもらえるかな。これでゴーストの姿が見えるようになると思う」
「え・・・うん、いいけど・・・あ、向こうでキティちゃんが倒れてる!」
「コナンザくんだけが見える理由はよく分からないのだが・・・古い文献には生前強い愛情や想いを抱いていた相手にはゴーストになっても姿が見える事がある・・・というのが書いてあったのだ、恐らくそれが原因だろう」
「そう・・・キティちゃんそんなにコナンきゅんのこと愛してたんだ・・・なのに死んじゃって・・・うぅ・・・ぐすっ・・・わぁぁん!」
「あぅ・・・お母様泣かないで・・・」
「それで、どうするのだ?、コナンザくんに全部話せば問題は解決すると思うのだけど」
お母様が凄く怖がって警戒してるから美少女魔法騎士リベラ・ロリータちゃんの姿になってもらったアメリア様が訪ねます。
「それはダメ、キティちゃん言ってたの、私のこんな変態行為がコナンザ様にバレたら恥ずかしくて死んじゃうって・・・」
「いやもう死んでるのです・・・」
「でも・・・それが原因でキティちゃんがここから居なくなったら悲しいの・・・ぐすっ」
「確かに・・・私もキティちゃんの事を話してコナンザの心に傷が増えるのは嫌なのです」
「じゃぁしばらくこの事は秘密にしておくのかな?」
「コナンザには私からうまく誤魔化してキティちゃんが見えても無害だから見えないふりをするようにって言っておくよ、キティちゃんにはお母様から話してもらえる?」
「うん、キティちゃんには好きなように生きて・・・じゃなくて生活・・・でもないか・・・死後活して欲しいからコナンきゅんには姿が見えてる事黙っておくの」
「決まりだね、では私は帰るとしよう・・・シェルダン夫人、騒がしくして悪かったね、このお部屋は申し訳ないけどメイドさんに言ってお掃除しておいてもらえるかな、それから霊が見えるようになるお札の予備だ、不足したらまた作るから遠慮なく言って欲しい」
「うん・・・」
「アメリア様、私も一緒に日本に戻るのです・・・お母様、明日はお誕生日会だからお昼頃にはコナンザ連れて帰るからね」
「・・・うん、楽しみにしてる」
「・・・」
「・・・」
「んぅ・・・私・・・あれ?、確か変なおじさんに殺されかけて・・・もう死んでるけど」
「あ、キティちゃん、気がついた?」
「え・・・お義母様、私の姿・・・見えてるの?、声も聞こえて・・・って、嫌ぁぁぁ!私全裸だし!」
「うん見えてるよ、さっき居た怪しいおじさん?が見えるようになるお札?をくれたの」
フルフル・・・
「あの・・・それ、コナンザ様には?」
「安心して、コナンきゅんには渡してないからキティちゃんの姿は見えてない・・・と思うよ」
「よかったぁ・・・コナンザ様に私の全裸見られたら恥ずかしくて死んじゃう・・・もう死んでるけど」
「身体は大丈夫?、おじさんに痛い事されてない?」
「うん・・・でも・・・私のお部屋がこんなに荒らされて・・・ぐすっ・・・怖かったの・・・あのおじさんいきなり私に襲いかかって・・・うりゅ・・・」
「ごめんね、ちょっと誤解があったみたい、リゼたんにはまだキティちゃんの事話してなかったから悪いゴーストだと思って退治する専門の人を連れて来ちゃったの、でも私がお話しして誤解は解いたから」
こんにちは、私の名前はハロキティ・リラックーマァ、このお家に棲みついたゴーストです。
昨日は酷い目に遭いましたぁ・・・リーゼロッテお義姉様と一緒に私のお部屋に乱入して来たおじさんがいきなり襲いかかって来たのです、お部屋をめちゃくちゃにされて私の宝箱も床に落ちて角が凹んでしまいました。
そういえばあのおじさん、最初は可愛い女の子の姿をしていたような気がするのですが・・・気のせいでしょう。
お義母様の話だと私を悪いゴーストだと思ったお義姉様がゴースト退治の専門家を連れて来て私を殺し・・・じゃなくて消そうとしていたのだそう・・・。
今日は朝からこのお屋敷のメイドさんが2人、私のお部屋のお掃除をしてくれています、それを天井近くでふよふよと浮いて眺める私・・・お義母様は今日お誕生日だそうで今夜は身内だけでパーティをするそうです。
私も参加しないかと誘われたのですが丁寧にお断りしました。
だって・・・まだお義姉様には私が生きていた時にしてしまった事を謝ってないの・・・だから許してもらえないかもしれないしパーティに出てもコナンザ様がいるからお話するわけにもいかないのです。
・・・昨日お義母様が私の事情を説明してくれて、誤解は解いたから今度一緒に謝りに行こうねと言ってくれたのだけど・・・許してもらえないかもって考えたら少し怖いの・・・。
というわけでソファも使えないし本を読むにしてもこのお部屋にはメイドさんがいるから無理・・・何も無いところで本が浮いていたら大騒ぎになりそう・・・正直とても暇なのです!。
だから今日は少し前から気になっている女の子のところに行く事にします。
事情があってこのお屋敷で療養している女の子、お義姉様にとてもよく似ていて同じように左目が見えないみたい、それに左足も酷い怪我をして、いつもベッドの上で泣いています。
ぴょこぴょこ・・・
私はお義母様が作ってくれたリゼぐるみ153号に憑依して女の子のお部屋にやって来ました。
「じゃぁな、セシル嬢ちゃん、俺達はこれから屋敷の騎士達に混ざって訓練だ」
「うん、マルコーおじさん、ベニーさん、大変だと思うけど頑張ってね」
「訓練は厳しいがここの飯は信じられねぇくらい美味い、しかも腹が減って食う飯は格別だ、ここで雇ってもらえるのもセシル嬢ちゃんのおかげだからな、感謝してるぜ」
「うん、ベニーさん、そう言ってもらえると嬉しいな・・・」
バタン・・・
・・・
こそこそ・・・
がちゃ・・・キィ・・・
ぴょこぴょこ・・・
「ひぃっ!・・・何これ・・・お人形?・・・動いてるし!」
かきかき・・・
(こんにちはお嬢ちゃん)
「こ・・・こんにちは・・・貴方は・・・誰?」
(私の名前はキティ・・・じゃなくてクマァだよ!)
「クマァ・・・ちゃん?」
(そう、退屈だったから貴方とお話ししようと思って)
「いいよ・・・私も・・・退屈してたから」
(じゃぁ自己紹介も兼ねてお互い自分のことをお話ししよう!、まずは貴方からね!)
・・・
・・・
・・・
うぅ・・・ぐすっ・・・セシルちゃん!、なんて可哀想な子なの!、お話を聞いてて泣けてきたよ!。
それにしても彼女の両親は本当にクズだ、死ねばいいのに!、言ってくれれば私なら誰にも気付かれずに殺れるよ!、殺っちゃおうよ!。
(次は私の番だね・・・私には親に決められた婚約者が居てね・・・)
・・・
・・・
「うりゅ・・・可哀想・・・クマァちゃん・・・大好きな人の為を思ってあえて悪役になるなんて・・・それで死んじゃうなんて・・・わぁぁん!」
お互いの事情をお話しして、いっぱい泣いて・・・相性がよかったのかな、私とセシルちゃんは短時間でとても仲良くなりました。
気弱で大人しいセシルちゃんと活発で気性が激しい私・・・全然性格が違うのに私たちは時間も忘れて沢山お喋りをしました。
「いっぱいお話ししたから紙がなくなっちゃったね」
持っていた会話用のノートが尽きて私はお部屋に戻ります、もうお掃除も終わっただろうし、セシルちゃんとはまた明日もお話しする約束をしました・・・。
ふふっ・・・今まで女の子のお友達なんて一人も居なかったのに死んでから出来るなんてね・・・。
がちゃ・・・
「あ、リゼたんとコナンきゅんだ」
「ただいま戻りました・・・お母様」
「わぁ・・・コナンきゅんしばらく見ない間にちょっと大人っぽくなったね」
なでなで・・・
「あぅ・・・お母様やめて・・・」
こんにちは、リーゼロッテ・シェルダン16歳でございます。
今日はコナンザを連れてローゼリア王都にある我が家に戻って来ています、今夜はお母様のお誕生日会なのです!。
・・・とは言っても他の貴族家が開くような大きなパーティや夜会じゃなくて家族とお友達を招いた身内だけの小規模なもの。
お母様はお友達が少ないからいつもは家族と親戚、それから幼馴染で専属メイド、今はお屋敷を取り仕切るメイド長でもあるカーラさんでお祝いをしています。
日本を出発したのは朝だけど転移先のローゼリアはお昼過ぎ、お屋敷の食堂ではパーティの準備でメイドさん達が忙しそうに走り回っています。
「コナンザ、お部屋に戻って準備しようか、日本で買ったお気に入りのお洋服着るんでしょ」
「え・・・う、うん」
コナンザはお部屋に行きたくなさそうです、キティちゃんのゴーストに怯えてるのかな・・・。
「お姉ちゃんが一緒に行ってあげるから」
「うん、ありがとう・・・お姉ちゃん」
がちゃ・・・
「コナンザのお部屋は久しぶりに入るよね・・・いつも私のお部屋に来るからここにはあまり入った事なかったなぁ・・・それにお部屋の中すごく綺麗にしてる」
ゴソゴソ・・・
「お・・・お姉ちゃんベッドの下なんか覗いて何してるの!」
「ん・・・コナンザも年頃の男の子だからね、えっちな本を隠してないかなーって」
「隠してないよ!」
「さて冗談はこれくらいにしてお着替えしようか、お姉ちゃんが手伝ってあげよう」
わきわき・・・
「やだ・・・お姉ちゃん目がなんか怖い」
コナンザと戯れながら私はお部屋の隅にある衣装部屋へ続くドアを横目で見ます。
「いるね(ボソッ)」
「え、何?」
「ううん、なんでもないよ」
少しだけ開いたドアの隙間からじっとこっちを眺めてる全裸の女の子・・・のゴースト、ハロキティちゃんに向かって私はコナンザに気付かれないよう控え目に手を振りました。
・・・昨日私とアメリア様はこのお屋敷を探索してキティちゃんを見つけました、アメリア様のゴースト探知魔法・・・日本風にいえば霊能力!は凄いのです!。
場所はコナンザが結婚して子供が生まれた時の為に用意されていた子供部屋の一つ、アメリア様の開錠魔法を使ってお部屋の中に入るとソファで本を読みながら寛ぐキティちゃんが居て私達の乱入にとても驚いた顔をしていました。
事前にアメリア様から渡されていた霊体が見えるお札のおかげでいつもは見えなかったキティちゃんの姿がはっきり見えます、普通の人には見えないからって油断していたのか全裸でソファに寝転がって・・・お股も全開だったから色々と丸見えなのです!。
もう死んでるとはいえその格好は淑女としてどうなの?・・・、という感想を口にしようとした時いきなり安倍晴明に変身?したアメリア様がキティちゃんに襲い掛かります。
「破ぁ!」
ぶぉん!
「ぴゃぁぁぁ!」
あ、このお札、姿だけじゃなくて声まで聞こえるんだ・・・。
「成っ!」
ずずぅぅぅん!
「あぅ・・・何?」
「滅!」
ちゅどぉぉぉぉん!
「いやぁぁ!怖いよぉ!」
ゴーストなのに泣いてるし震えています・・・。
「成仏せいやぁぁ!」
ぱぁぁっ!
アメリア様が両手で「印」を結び、懐から出した沢山のお札が宙に浮いてキティちゃんに襲い掛かろうとしたその時。
バタン!
「待って!、ちょっと待ってぇぇ!、何してるのぉぉぉっ!」
お母様がお部屋に乱入して来たのです。
「あ、お母様・・・アメリア様がキティちゃんの悪霊を祓ってくれるって・・・こっちの言葉で言うならゴーストを跡形も無く消し飛ばす・・・かな?」
「いやぁぁそんな事したらキティちゃんが死んじゃう!」
「いやもう死んでるのです」
「待って、リゼたんもそこのおじさんも!、私の話を聞いて!、キティちゃん殺しちゃやだぁ」
人見知りのお母様が安倍晴明の姿をした怪しい男にこんな風に話しかけるなんて珍しいのです、何か余程の事情があるのかも?。
「アメリア様ちょっと待って、お母様の話を聞くのです」
「今いいところなのだ!、こんなに強力なゴーストは久しぶりだから本気の除霊を・・・」
「だからちょっと待って!、お母様泣いてるから」
「・・・という訳なの、キティちゃんは悪いゴーストじゃなくて、パパや私とも仲良くやってるの、ただ・・・コナンきゅんがこの事を知っちゃうと悲しむから内緒にしてたの」
「・・・そんな事になってたの?」
「うん・・・リゼたんにはそのうち話そうと思ってたけど他の使用人さん達がいる場所では言えなくて・・・それにキティちゃんもコナンきゅんが見えてないのをいい事にお風呂やお手洗い覗いたり匂いを嗅いだり好き勝手してたしこれからもしたいからこの事は絶対に知られたくないって・・・」
「わぁ・・・でもお母様、コナンザは・・・」
「理世ちゃんちょっと待って・・・結界!、封印!」
ぱあっ!
アメリア様が「印」を結ぶと向こうで気を失ってるキティちゃんの周りをお札が囲んで五芒星の結界っぽいのが作られました。
「これでハロキティ嬢の霊には私達の会話は聞こえない、話の続きをしようか」
「うん、・・・お母様、コナンザは前にこのお屋敷に来た時からキティちゃんのゴーストが見えて怖いって・・・だから私とアメリア様が退治する為に今日ここに来たの」
「え・・・コナンきゅん見えてたの?、でも私たちには見えないよね」
「シェルダン夫人、この札を身に付けてもらえるかな。これでゴーストの姿が見えるようになると思う」
「え・・・うん、いいけど・・・あ、向こうでキティちゃんが倒れてる!」
「コナンザくんだけが見える理由はよく分からないのだが・・・古い文献には生前強い愛情や想いを抱いていた相手にはゴーストになっても姿が見える事がある・・・というのが書いてあったのだ、恐らくそれが原因だろう」
「そう・・・キティちゃんそんなにコナンきゅんのこと愛してたんだ・・・なのに死んじゃって・・・うぅ・・・ぐすっ・・・わぁぁん!」
「あぅ・・・お母様泣かないで・・・」
「それで、どうするのだ?、コナンザくんに全部話せば問題は解決すると思うのだけど」
お母様が凄く怖がって警戒してるから美少女魔法騎士リベラ・ロリータちゃんの姿になってもらったアメリア様が訪ねます。
「それはダメ、キティちゃん言ってたの、私のこんな変態行為がコナンザ様にバレたら恥ずかしくて死んじゃうって・・・」
「いやもう死んでるのです・・・」
「でも・・・それが原因でキティちゃんがここから居なくなったら悲しいの・・・ぐすっ」
「確かに・・・私もキティちゃんの事を話してコナンザの心に傷が増えるのは嫌なのです」
「じゃぁしばらくこの事は秘密にしておくのかな?」
「コナンザには私からうまく誤魔化してキティちゃんが見えても無害だから見えないふりをするようにって言っておくよ、キティちゃんにはお母様から話してもらえる?」
「うん、キティちゃんには好きなように生きて・・・じゃなくて生活・・・でもないか・・・死後活して欲しいからコナンきゅんには姿が見えてる事黙っておくの」
「決まりだね、では私は帰るとしよう・・・シェルダン夫人、騒がしくして悪かったね、このお部屋は申し訳ないけどメイドさんに言ってお掃除しておいてもらえるかな、それから霊が見えるようになるお札の予備だ、不足したらまた作るから遠慮なく言って欲しい」
「うん・・・」
「アメリア様、私も一緒に日本に戻るのです・・・お母様、明日はお誕生日会だからお昼頃にはコナンザ連れて帰るからね」
「・・・うん、楽しみにしてる」
「・・・」
「・・・」
「んぅ・・・私・・・あれ?、確か変なおじさんに殺されかけて・・・もう死んでるけど」
「あ、キティちゃん、気がついた?」
「え・・・お義母様、私の姿・・・見えてるの?、声も聞こえて・・・って、嫌ぁぁぁ!私全裸だし!」
「うん見えてるよ、さっき居た怪しいおじさん?が見えるようになるお札?をくれたの」
フルフル・・・
「あの・・・それ、コナンザ様には?」
「安心して、コナンきゅんには渡してないからキティちゃんの姿は見えてない・・・と思うよ」
「よかったぁ・・・コナンザ様に私の全裸見られたら恥ずかしくて死んじゃう・・・もう死んでるけど」
「身体は大丈夫?、おじさんに痛い事されてない?」
「うん・・・でも・・・私のお部屋がこんなに荒らされて・・・ぐすっ・・・怖かったの・・・あのおじさんいきなり私に襲いかかって・・・うりゅ・・・」
「ごめんね、ちょっと誤解があったみたい、リゼたんにはまだキティちゃんの事話してなかったから悪いゴーストだと思って退治する専門の人を連れて来ちゃったの、でも私がお話しして誤解は解いたから」
こんにちは、私の名前はハロキティ・リラックーマァ、このお家に棲みついたゴーストです。
昨日は酷い目に遭いましたぁ・・・リーゼロッテお義姉様と一緒に私のお部屋に乱入して来たおじさんがいきなり襲いかかって来たのです、お部屋をめちゃくちゃにされて私の宝箱も床に落ちて角が凹んでしまいました。
そういえばあのおじさん、最初は可愛い女の子の姿をしていたような気がするのですが・・・気のせいでしょう。
お義母様の話だと私を悪いゴーストだと思ったお義姉様がゴースト退治の専門家を連れて来て私を殺し・・・じゃなくて消そうとしていたのだそう・・・。
今日は朝からこのお屋敷のメイドさんが2人、私のお部屋のお掃除をしてくれています、それを天井近くでふよふよと浮いて眺める私・・・お義母様は今日お誕生日だそうで今夜は身内だけでパーティをするそうです。
私も参加しないかと誘われたのですが丁寧にお断りしました。
だって・・・まだお義姉様には私が生きていた時にしてしまった事を謝ってないの・・・だから許してもらえないかもしれないしパーティに出てもコナンザ様がいるからお話するわけにもいかないのです。
・・・昨日お義母様が私の事情を説明してくれて、誤解は解いたから今度一緒に謝りに行こうねと言ってくれたのだけど・・・許してもらえないかもって考えたら少し怖いの・・・。
というわけでソファも使えないし本を読むにしてもこのお部屋にはメイドさんがいるから無理・・・何も無いところで本が浮いていたら大騒ぎになりそう・・・正直とても暇なのです!。
だから今日は少し前から気になっている女の子のところに行く事にします。
事情があってこのお屋敷で療養している女の子、お義姉様にとてもよく似ていて同じように左目が見えないみたい、それに左足も酷い怪我をして、いつもベッドの上で泣いています。
ぴょこぴょこ・・・
私はお義母様が作ってくれたリゼぐるみ153号に憑依して女の子のお部屋にやって来ました。
「じゃぁな、セシル嬢ちゃん、俺達はこれから屋敷の騎士達に混ざって訓練だ」
「うん、マルコーおじさん、ベニーさん、大変だと思うけど頑張ってね」
「訓練は厳しいがここの飯は信じられねぇくらい美味い、しかも腹が減って食う飯は格別だ、ここで雇ってもらえるのもセシル嬢ちゃんのおかげだからな、感謝してるぜ」
「うん、ベニーさん、そう言ってもらえると嬉しいな・・・」
バタン・・・
・・・
こそこそ・・・
がちゃ・・・キィ・・・
ぴょこぴょこ・・・
「ひぃっ!・・・何これ・・・お人形?・・・動いてるし!」
かきかき・・・
(こんにちはお嬢ちゃん)
「こ・・・こんにちは・・・貴方は・・・誰?」
(私の名前はキティ・・・じゃなくてクマァだよ!)
「クマァ・・・ちゃん?」
(そう、退屈だったから貴方とお話ししようと思って)
「いいよ・・・私も・・・退屈してたから」
(じゃぁ自己紹介も兼ねてお互い自分のことをお話ししよう!、まずは貴方からね!)
・・・
・・・
・・・
うぅ・・・ぐすっ・・・セシルちゃん!、なんて可哀想な子なの!、お話を聞いてて泣けてきたよ!。
それにしても彼女の両親は本当にクズだ、死ねばいいのに!、言ってくれれば私なら誰にも気付かれずに殺れるよ!、殺っちゃおうよ!。
(次は私の番だね・・・私には親に決められた婚約者が居てね・・・)
・・・
・・・
「うりゅ・・・可哀想・・・クマァちゃん・・・大好きな人の為を思ってあえて悪役になるなんて・・・それで死んじゃうなんて・・・わぁぁん!」
お互いの事情をお話しして、いっぱい泣いて・・・相性がよかったのかな、私とセシルちゃんは短時間でとても仲良くなりました。
気弱で大人しいセシルちゃんと活発で気性が激しい私・・・全然性格が違うのに私たちは時間も忘れて沢山お喋りをしました。
「いっぱいお話ししたから紙がなくなっちゃったね」
持っていた会話用のノートが尽きて私はお部屋に戻ります、もうお掃除も終わっただろうし、セシルちゃんとはまた明日もお話しする約束をしました・・・。
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