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Side - 16 - 24 - いせかいりささん -

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Side - 16 - 24 - いせかいりささん -


・・・今日の岡山県のお天気は曇り・・・

市内の観光名所を巡る・・・今日から開催・・・

ぽりぽり・・・

がさがさ・・・

「・・・」



「莉紗(りさ)ちゃん、お夕飯は何がいい?」

「うーん、ハンバーグが冷蔵庫にあったよね、冷凍のやつ、あれでいいよ・・・あ、夕飯の準備手伝おうか?」

「・・・じゃぁお願いしようかな」

「遠慮しないでお母さん、私居候だから何かお手伝いしたいの・・・よいしょっと」

チャリ・・・



こんにちは、私の名前はリーシャ・ユーキ・・・転生して異世界でリーシャという女の子になった・・・元は茂留田莉紗(もるだりさ)という日本人でした。

今私は生前?の実家だった岡山県の茂留田家で両親と一緒に暮らしています。

最初は日本語もほとんど忘れていて発音もおかしかったけれど、日本に戻って家族とお話したりテレビを見たりしているうちにまるでジグソーパズルが埋まっていくように言葉を思い出して・・・今では違和感なく日本語を話せています。

「お父さんはまだ畑から戻って来てないの?」

「うん、莉紗(りさ)ちゃんが帰って来てくれてからはお野菜を沢山食べさせるんだって張り切っちゃって・・・」

「そうなの?」

「そうだよー」

私の実家は田畑の広がる長閑な田舎にあって、私が生きていた?頃はコンビニもスーパーも近くにありませんでした、今では歩いて数分のところにコンビニが出来、住宅も随分と増えました。

そう、コンビニ!、お店に入るとお弁当やお菓子がいっぱいあるの!、毎日お腹を空かせていたデボネア帝国での生活とはまるで違うのです・・・向こうのお屋敷に居るお父様やお母様にも見せてあげたいな・・・。

「さて、お夕飯の準備完了、まだ時間早いからコンビニでお菓子買って来るついでにお父さん迎えに行こうかな・・・」

「じゃぁ私も一緒に」

「お母さん腰が悪いのに歩いて大丈夫?」

「莉紗(りさ)ちゃんと手を繋いで行けば大丈夫だよ」

私が死んじゃった時には40歳半ばくらいだった両親も今では70歳を超えてしまいました、身体もあちこち悪くなっていて歩くのもゆっくり・・・でもお母さんは私の行く所どこでも一緒について来ようとします。

まぁ行方不明になって死んだと思われていた娘が姿を変えて戻って来たのだから出来るだけ離れたくないのは分かるのだけど・・・。

「じゃぁ行こっか」

私は上着とマフラーを手にお母さんの手を引いて玄関へ向かいます。

上はパーカーで下はレギンス、ユノスアイランドっていうメーカーのロゴが入っています、これはここに連れて来てくれた美少女魔法騎士リベラ・ロリータさんからもらった服なの。

今の私の姿は紫に近い赤髪に赤目の外国人で・・・私が生きていた頃ならすっごく目立っていたこの容姿も最近では技能実習という名目で色々な国から多様な人種の人達がこの辺りにも来ています。

だから私が外を歩いていても目立ってない・・・少なくとも赤く髪を染めたヤンキーには見られてない・・・と思う。

「結構寒くなって来たね」

私がお母さんに話しかけます。

「そうだねー」

お母さんが私に答えます。

そんなやりとりをしているうちにコンビニの前に着きました、田舎特有の広大な駐車場を完備したローソンです。

「あ、ヤンキーが座り込んでる」

これも田舎特有の光景・・・おっきなバイクの横に座ってタバコを吸っています、でも目を合わさなければ人畜無害・・・。

「あれは貴之ちゃんのところの末の子だねー」

「えー、貴之ちゃんって、あの?」

「そう、鈴樹(すずき)さんのところの貴ちゃん、小学校の時に仲が良かったでしょ」

「幼馴染の息子がヤンキーになっていましたぁ!」

「あ!、茂留田の婆ちゃんだ」

「はいはい、久しぶりだねー」

「腰が悪いのにこんなとこまで歩いて大丈夫なのかよ、・・・ってそっちの人は?」

「うちの田んぼを手伝ってくれる実習生」

「そっかぁ、すげぇ色の髪だな!」

「どうも、はじめまして・・・」

「あ、日本語大丈夫なんだ・・・、俺は雅之ってんだ、よろしくな、あ、今度イオンに遊びに行かないか?バイクの後ろに乗っけてやるよ」

幼馴染の息子はヤンキーだけど気さくな人でした・・・。




「わさビーフにじゃがりこ、うまい棒とチョコモナカ・・・お母さんお金出してもらってごめんね」

コンビニを出て家の方向に向かいます、もう少し行くとお父さんの畑があるのです。

「いいよー、莉紗(りさ)ちゃん遠慮しないでもっと買えばいいのに」

「だって・・・私居候だし・・・お母さん達お金も受け取ってくれないし」

そうなのです、ここに来る時に好きに使って良いと言ってリベラ・ロリータさんが50万円Pon!ってくれたの、それを両親に渡そうとしたのだけど受け取って貰えなかった・・・。

だから私はそのお金でBppleの最新タブレット端末を買いました、ネット環境は次郎兄ぃさんが準備してくれたので今はそれを使って20年を超える時間の流れに追いつこうと頑張っています。

私が生きてた頃?に使ってたのはWindows98だったから最初はタブレットの使い方全然わからなかったし!。

「よく行ってたレンタルビデオ店も無くなったし、本屋さんも閉店したのかぁ・・・」

次郎兄ぃさんの話だと今はネットがあれば何でもできる時代なのだとか、だからレコード店やレンタルビデオ店、本屋さんが次々に閉店してるんだって・・・。

「あ、お父さんだ!・・・おーい!」

「莉紗(りさ)ちゃん迎えに来てくれたのか」

「うん、今日のお夕飯はハンバーグだよ」

「そうかそうか・・・でも野菜も食べないとな」

「私、向こうの世界で食糧不足や飢餓を経験したからもう野菜食べられるもん」

あ・・・しまった、つい喋り過ぎて・・・お父さん達すごく悲しそうな顔させちゃった。

私が向こうの世界でされたことは全て話しました、背中や腕の刻印も見てもらったの・・・2人とも「助けてあげられなくてごめんね」って泣きながら私に謝ってくれたのです。

「お父さん、莉紗(りさ)ちゃん・・・暗くなる前にお家に帰ろうか」

「うん」

右手はお母さん、左手はお父さん、私達は手を繋いで夕日で赤く染まった農道を並んで歩きます。

「私が小学生の時にもよくこうやってお家に帰ってたよね」

「そうだなぁ・・・まさかまた莉紗(りさ)ちゃんとこの道を歩ける日が来るとはなぁ・・・長生きしてみるもんだ」

「あはは、お父さんもお母さんも・・・長生きしてね」






・・・おじさん何やってるの!

・・・たかふみぃ!

・・・

・・・

夕飯を食べ終わった私は自分のお部屋でのんびり動画視聴、私のお部屋はあの日、山に出発した時のまま・・・定期的にお母さんがお掃除してくれてたみたいです。

私の持ち物は全部捨てずに置いてありました、お洋服や化粧品、アクセサリー、それから・・・ちょっと・・・いえ、かなりえっちな本まで!。

読まれた形跡があるから私の趣味や性癖は全部両親に把握されたと思う・・・恥ずかしくて思わずベッドに顔を埋めて叫んだよ!。


「タブレットは凄いなぁ、私が生きてた頃?はパソコンってブラウン管のモニターで・・・ダイヤルアップ接続だったし・・・電話代も気にしなくちゃいけなかった」

今見てるのはネットフリフリにあったアニメ、異世界帰りのおじさんが主人公のお話・・・、異世界で辛い目に遭って・・・私と同じだぁ・・・って言っても私はこんな冒険なんてしてないし。

「・・・それに私、神様からチートな能力なんてもらってない!」

・・・

・・・

「異世界おじさんは当たりだね、ツンデレエルフさん可愛いし2期待ち遠しいなぁ、それから・・・っと」

今の時代、本当に娯楽がいっぱいで楽しい!、好きなミュージシャンの映像も、ドラマやアニメだって僅かな月額料金で見放題、しかもゲームまで出来る!、本なんて電子書籍があるからお店に行かなくても発売日に読めるの!。

「次はこの薬屋の子が可愛いな、よし見よう!、でも面白かったら止められなくて全部見てたら徹夜になっちゃう・・・明日にしようかな、それから・・・おっと!、こっちの若君アニメに可愛いロリやショタがいる!、じゅるり・・・」

コンコン

「莉紗(りさ)ちゃん、お風呂空いたから入っておいで」

「はーい!」

お父さんがお風呂上がったようです、私も入って来よう。

チャプ・・・

「んっ・・・毎日お風呂入れるっていいな」

デボネア帝国ではお水も不足してたからお風呂なんて入れなかったし・・・。

チャリ・・・

私は自分の首に嵌められた首輪を触ります、リベラさんの話だと材質が金属なので日本で工具を使って切れば外す事は出来るのですが、私の魔力と完全に融合しているから外すと死んでしまうって言われました。

でも日本は魔素がほとんど無いから死なないかもしれない、そのうち奴隷をこっちに連れてきて実験しようと思ってる・・・などと恐ろしい事をとてもいい笑顔で言ってたし!。

「日本でなら首輪を外せる可能性はある、でも外した状態で魔素がある向こうの世界に行くと魔力が暴走して間違いなく死ぬだろう・・・日本で首輪を外して生活できるようになる代わりに二度とデボネア帝国には戻れない・・・リーシャちゃんは今後どうしたいかよく考えておいてね」

リベラさんからそう言われました。

「それならこれは外さなくてもいいや・・・向こうのお母様やお父様に会えなくなるのは嫌だから」

チャリ・・・

4日後には美少女魔法騎士リベラ・ロリータさんがこのお家に私を迎えに来るの・・・。

別に私を向こうに連れ戻すとかじゃなくて行き先は京都、私の左頬につけられた刻印を消せないか調べる為・・・今は絆創膏を貼って隠してるけど顔の刻印は目立つからって、リベラさんのお家が経営する星噛(ほしがみ)総合病院というところが検査してくれるのです。

「魔石の粉が皮膚組織の中に入り込んでるから難しいとは思うけど、せめて目立つ顔の部分だけでも消せないかなって、それから普通の病院には行っちゃダメだよ、怪我をしたり具合が悪くなったらこれで私を呼んでね」

10日前、そう言ってリベラさんは魔法陣に包まれて帰って行きました。

異世界人と地球人は遺伝子の構造が違うらしくて、普通の病院で検査されたら大騒ぎになる可能性があるのだとか。

リベラさんに渡されたのは単一乾電池くらいの大きさの金属の塊と魔法陣が描かれた木の板、金属の塊を持って板に魔力を通すとリベラさんとお話ができるみたいです・・・まだ使った事ないけど。

こことデボネア帝国・・・将来どちらで暮らすのかまだ私は決めていません、向こうのお父様とお母様は大好き・・・でも2人とも今は騎士様達のお手伝いで忙しそう・・・私が日本で暮らす事になったら泣いちゃうかなぁ・・・。

こっちのお父さんとお母さんも大好き・・・私のせいで長い間悲しませたからこれからはできるだけ一緒に居たいし、私が向こうに帰るって言えば泣くと思う。

ざぱぁ・・・

「さて・・・お風呂でさっぱりしたし、髪を乾かしてアニメの続き見ようかな」











「スカリくん」

「はいなんでしょう!モルダ博士!」

「今度の調査団、名簿と調査資料が出来たから第1研究室の礼久田(れくた)室長に渡しておいて」

「了解です!」

私の名前は川崎須華莉(かわさきすかり)24歳、国立宇宙生物科学研究所にある第2生物研究室の職員です。

「あ、この写真、妹さんですね」

「あぁ、毎日のように写真を送って来るんだ、タブレット端末の使い方に慣れたらしい」

今スマホで妹から送られてきた自撮り写真を眺めているのは茂留田次郎(もるだじろう)博士、私の上司でここ第2生物研究室の室長です。

1年前に突然姿を現して全世界を騒然とさせた宇宙船は異世界人が魔法で映し出した映像でした、残念ながら宇宙人ではなかったのですが・・・それでも異世界人!、どこか別の次元にある世界に未知の知的生命体は存在したのです!。

その確かな証拠としてここ宇宙生物科学研究所では異世界生物が飼育されています、宇宙生物かと思われていた動物達は異世界の生き物だったのですが・・・。

今は動物学者や国から派遣された動物飼育員の人達の力を借りて研究が進められているのです。

「あぁ・・・でも異世界生物と言っても、その異世界がもしかしたらどこか宇宙の果てにある惑星とも考えられる、それが分かればいいのだけどね」

「あ・・・私、口に出してました」

「うん」

考えてる事が全部口から出ていましたぁ!。

「研究は始まったばかりだ、本当に面白くなってきたよ」

そう、異世界人が我々の前に姿を現し、共同で研究を進める事を約束してくれたのです!、そして来年にはうちの研究員で構成された調査団が異世界に行くのです!。

「我々としても今住んでいる向こうの世界が地球と同じ宇宙にあるのか、別の次元にあるのか分かっていないのだ、それに我々はまだ宇宙に進出できるほどの技術は持っていない、自分達の住んでいる星を宇宙から眺めた事も無い、だから一緒に研究する事に異論はないよ」

そう流暢な日本語で言ったのは大魔導士のリベラ・ロリータさん、表向き・・・というか他の職員にはそういう事になっています。

でも総理と一緒に私達の目の前に姿を現した時にはアメリアと名乗った筈です、本人曰く、うっかり本名を名乗ってしまったが今後表に出る時にはリベラという名前を使いたいとの事。

「大魔導士様なんてアニメや小説の世界にしか居ないと思ってたのに」

「そうだよねー」

「モルダ博士のご実家には何度も来てるんでしょ」

「来たのはまだ2回くらいだと聞いてる、妹を異世界に住んでいる両親の所に時々連れ帰るって言ってたね」

「そうですかー、でも楽しみだなぁ異世界、早く来年にならないかなぁ」

「スカリ君は向こうに行くの怖くないの?」

「いえ、全然、むしろワクワクします!」

「リベラさんが指定した人数は10人程度、総理と護衛1人、秘書と官房長官で計4人、礼久田(れくた)室長は絶対に行くって言ってるし、加羅野(からの)所長は行く気満々でソワソワしてる、後は私とスカリ君で合計8人、残り2人の枠を巡ってこれから研究室の中で取り合いになるな・・・」

「優美ちゃんも行けばいいのになぁ」

「倉理須(くらりす)さんは辞退したんだっけ?」

「はい、礼久田(れくた)博士の補佐で行かないかって話になってたけど怖がって泣いちゃったから・・・」

「まぁ、未知の異世界だからなぁ、怖いと思う人もいるかもしれない」

「来年はその第1調査団に続いてあと2回でしたっけ?」

「そうだね、2回目以降は第1調査団のメンバーが海外の要人を連れて案内する事になりそうだね、だから第1陣が安全面での調査もしっかりやらないと国際問題になる」

「楽しみだなぁ」

「こら、遊びに行くわけじゃないんだよ」

「分かってますよー」
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