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Side - 16 - 1 - たおれたのです! -(挿絵あり)

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Side - 16 - 1 - たおれたのです! -


ガチャ・・・カラン!・・・

「・・・いらっしゃいませ」

ドン!

「ひぅっ・・・にゃ・・・何をお求め・・・ですか・・・ふひっ」

「何をお求めでしゅか・・・って言ってましゅ!」

「あぁ、2日前から熱っぽくてな、医者のジジィのところに行ったらここで薬を出してもらえだとよ」

「い・・・医者の・・・し・・・しょほ・・・」

「お医者しゃまの処方はありましゅか?・・・って言ってましゅ、多分」

「もらって来てるぜ、そういえばこれを見せろって言われてたな」

ぱらっ・・・

よみよみ・・・

てきぱき

ささっ・・・

「・・・これ・・・ど・・・どう・・・」

「こちらでしゅどうぞ、って言ってましゅ、・・・えーとね、5日分で、お値段は800ギルなの」

「おぉ、安いな、隣町で買って来てもらってた時の半額か、それに取りに行った奴に謝礼まで渡してたから高くついてたんだ、ありがとよ!」

カラン・・・バタン・・・






ガチャ・・・カラン!

「・・・いらっしゃいませ」

「リゼルちゃん、いつものやつ頼むわね」

「はい・・・腰痛の塗り薬・・・ですね」

「えぇ、リゼルちゃんのお薬とてもよく効くわ、おかげでお買い物が楽になったの」

「この街は坂が多いでしゅからねー」

「あらあら、キャディちゃんはお手伝い?」

「うん、リゼルお兄ちゃん、男の人とまともに喋れないから私が通訳してるのでしゅ」

てきぱき

ささっ・・・

「5日分です・・・どうぞ・・・500ギルです・・・これで肌に問題なければ・・・次から20日分まとめて渡せます」

「はいお金、近くに薬屋さんが出来てありがたいわぁ、それに隣町で買うより良く効いて安いんだもの、そいういえば隣の街からここまで買いに来てる人も居るみたいね」

「うん!、この辺りの街で評判になってるみたいでしゅ、でもリゼルお兄ちゃんってば1日おきの午前中だけしかお店開けないの勿体無いのでしゅ」

「あらあら、リゼルちゃんは他のお仕事もしてるんでしょ、忙しそうだもの、仕方ないわよ」

「むぅ・・・だからキャディがお店番しゅるって言ってるのに、リゼルお兄ちゃんダメだって・・・」

こんにちは!、私の名前はリーゼロッテ・シェルダン、16歳になりましたぁ!。

いろいろなお仕事が重なって相変わらず忙しいけれどコルトのお店は当初の予定通り1日おきに開けています。

カルロ町長さんにも期待されているし街の人達にはクックさんが話を広めてくれています、今更忙しいから営業日を変更する訳にはいかないのです。

たまたまトシの兄貴に連れられて遊びに来ていた妹のキャディちゃんが私の接客を見かねてお手伝いを申し出てくれたのが15日前。

お店番をやりたそうにしているけど、ここは薬屋、人の命に関わる事もあるので簡単に任せる訳にはいかないのです、それにお手伝いしてくれるならお給金払わなきゃ、後で父親のリックさんに相談しないと・・・。

「はぁ・・・」

「リゼルお兄ちゃん、ため息をつくと幸せが逃げるのでしゅ」

「そんな事誰に聞いたの・・・キャディちゃん」

「トシローお兄しゃんでしゅ!」

「トシの兄貴かぁ・・・妹に何教えてるの・・・」

ガチャ!、カラン!

「よぉリゼル!、俺が何だって?、遊びに・・・は行けないかぁ、お前忙しそうだもんな」

「ごめん、今度時間作るから遊びに行くのです」

「無理すんなよ、お前顔色悪いぞ」

「・・・」

「キャディ、親父が呼んでるぜ」

「はいなの・・・でもリゼルお兄ちゃん、男の人と話せないからキャディが付いてないとダメダメなのでしゅ」

「筆談で対応するから大丈夫なのです!」

「自慢する事じゃねぇだろ、何でそんなに男が怖いんだか・・・」

「あのね、昔、大勢の男の人に囲まれて凄く痛い事いっぱいしゃれたって・・・」

「わぁぁ!、キャディちゃん内緒だって言ったのに!」

「あ・・・リゼルお兄ちゃんごめんなしゃい・・・」

「・・・す・・・すまんリゼル、悪いこと聞いちまったな・・・」

あぅ、トシの兄貴に気を遣われてしまいましたぁ!。

「それじゃぁまた明日・・・はお店が休みだから明後日来るでしゅ」

「うん・・・ありがとうキャディちゃん」

バタン・・・

「行っちゃった・・・、さて、もうお昼かぁ、お店を閉めたら騎士様達をギャラン大陸からこっちに転移させて、それから・・・アメリア様がうちの屋敷にセシルちゃん連れて来るの・・・今日だった、あ、・・・リィンちゃんがカリーナ王国を出てオースター帝国に入るから夜に宿まで来てって言ってたなぁ・・・あれ・・・明日だっけ?」

ガチャ・・・

「リゼル君、旦那様から連絡っす、今晩リゼル君のお誕生日会だったっすよね、いつお屋敷に戻るのかって・・・」

「あ、シャルロットさん、お誕生日会?・・・わぁぁ!忘れてたぁ!」

「えー、忘れてたんっすかぁ、旦那様や奥様が泣きますよ」

「そんな事言われても・・・お仕事が僕を追いかけて来て終わらないの・・・」

「そういえば今朝オーニィ商会の社長さんが魔法陣の仕様で聞きたい事あるから連絡くれって、手紙の魔法陣にメッセージの紙が届いてましたよー」

「あぅ・・・後でするの・・・時間だから騎士様を転移させて来るね」

「はい・・・それはいいんっすけどリゼル君大丈夫っすか?、顔色悪いっすよ」

「うん・・・大丈夫・・・シャルロットさん、悪いけどお店の戸締りお願いできるかな?」

「はい、やっておくっす」

「・・・転移!」

しゅっ・・・

「・・・リゼル君、そのうち過労で倒れたりしないっすかね、黙ってるように言われたけど、もう限界っぽいから昨日旦那様に報告したっす・・・」





ぱぁっ!

「うわ眩しっ!」

「こんにちは・・・」

「お疲れ様です、リーゼロッテ様」

「今日の荷物はこれでいいの?」

「はい、それからそこの8人をお願いします」

「うん、じゃぁそこに集まって・・・ほい、転移!」

しゅっ・・・

「10日ぶりのローゼリアだ!、向こうは不衛生だから早く風呂入りてぇな」

「ふふふ、俺は明日から休暇で彼女とデートだ、どうだ羨ましいだろ!」

「今お前に足の小指を家具の角にぶつける呪いをかけた」

「やめてくれー」

あれ?、騎士様の声が遠くなって・・・

「あ、リーゼロッテ嬢、これからお時間ありますか、陛下がお会いしたいと・・・」

ぽてっ・・・

「リーゼロッテ嬢!」

「おい!、倒れたぞ!、救護室に・・・」








「無理だと言ってるだろう、リゼたんが倒れたらどうするんだ」

「この前リゼちゃんからも相談があったのだが・・・私・・・いや王国としてはどうしても呪いの被害者への対応に協力して欲しいんだ、元々は王家主催の夜会で起きた事件だからな、下手に隠して後で公になると被害者達は王家へ怒りの矛先を向けるだろう」

「他に対応できる者が居ない、先生・・・ドック氏にも出来るだろうがリゼたんより時間がかかると言われた、どちらにしても2人だけで被害者全員分は無理だぞ」

「だがなぁ・・・今まで全く手の施しようが無かった呪いの軽減、被害者達の耳に入ったらどんな事をしても手に入れたいだろう、今生き残っている被害者がおよそ180人、その全てが善良な貴族ではない」

「俺としては秘匿して欲しい、少なくとも今公表できる状況ではないぞ、護衛に付けた騎士によるとリゼたんと他4人分の作業だけでも3日おきに徹夜している状態だ、制作時間を減らせるように試作品の改善をしているようだが・・・多忙であまり進んでいない」





コンコン!

「入れ」

ガチャ・・・

「失礼します、陛下に緊急の報告です!、ギャラン大陸から騎士を転移させた直後、リーゼロッテ様が騎士団本部で倒れられました!、今救護室で診察を・・・」

「なん・・・だと・・・」

「リゼたんが倒れただとぉ!」








あぅ・・・身体がだるいのです・・・それに頭がふわふわする・・・。

この感じ懐かしいな・・・。

理世だった時に・・・残業で疲れてるのに・・・客先クレームの不具合対応で徹夜して・・・。

誰?・・・私、頭を撫でられてる・・・。

なでなで・・・

誰か居るのです・・・騎士服の女の子?・・・あれ、この娘の顔どこかで・・・。

「アメリア様?」

「気が付いたようだね理世ちゃん、ちなみに私の名前はリベラ・ロリータだよ」

「何でそんなえっちな格好してるのです?」

「なっ!・・・理世ちゃんがデザインした騎士服だろぉ!」

「いや、何でアメ・・・じゃなくて何とかロリータ様がローゼリアの特注騎士服を着て私の頭を撫でているのです?」

「まず、この騎士服はこの前会ったトリエラちゃんだっけ?、その娘が着ているのを見てかっこいいと思ったから私も真似してみたのだ、私が幻術でそれっぽく見せているのだがよく再現できているだろう、それから私がここにいる理由は・・・」

「理由は?」

「正式にローゼリアの騎士団に就職したから」

「は?」

「デボネア帝国語が堪能で膨大な魔力量を持った16歳の美少女魔法騎士リベラちゃん・・・という設定なのだ」

「今設定って言ったぁ!」

「しかも中途採用の筆記試験と実技試験も満点だったのだ!」

「・・・わぁ」

「素性については怪しまれないように面接官に幻術を使って履歴書類は捏ぞ・・・」

「それ以上聞きたくないのです!」

「予想通り騎士団員の中からデボネア帝国語が堪能な人間を探していたようでね、ちょうどいいから向こうで通訳も頼むと言われたのだ!」

「・・・」

「ふふふ、これで堂々とリーシャちゃんとお話しができるぞ」

「・・・」

「どうしたのだ?」

「それは分かったの、でも何で美少女魔法騎士リベラちゃんが私の頭を撫でていたのです?、それに・・・ここはどこなの?」

「騎士団の救護室だよ、理世ちゃん騎士団本部で倒れたでしょ、ちょうど私は本部を案内してもらっていてね、騒ぎを聞いて様子を見に来たのだ・・・部屋に居た医師は隣のベッドで少し眠って貰っている」

「・・・」

「眠らせるついでに疲労が溜まっていたようだから私特製の疲労回復魔法をかけてあげたのだ」

「・・・」

「私を案内してくれていた上官も仲良く隣のベッドで眠っているよ」

「・・・」

「理世ちゃん相当疲労が溜まっていたようだね、今から疲労回復魔法をかけてあげるから目を瞑ってくれるかな」

「そんな魔法あるのです?」

「あぁ、古代魔法陣を改造した私のオリジナルだ、昔・・・私が630歳くらいの頃だったか・・・当時の陛下にこき使われてね、20日程徹夜する事が何度もあったのだ、流石に死にそうになったから疲労回復魔法陣を開発した」

「わぁ・・・」

「これを使うと人間の限界を越えられるし副作用もほとんど無い、私の自信作だ」

「・・・」

「では始めよう、目を瞑ってね」

ぱあぁぁ・・・

「わぁ・・・身体が軽くなって気持ちいいのです、それに眠っても取れなかった疲れが全部無くなって・・・」

「気分はどうだい?」

「美少女魔法騎士リベラちゃん凄いのです!、身体がとても軽いのです!」

「私はこれで20日徹夜した後、更に50日徹夜できたのだ」

「・・・」

「まぁ、こき使われ過ぎて限界を超えたから・・・ある日全てが嫌になってね、失踪して日本に逃げたのだけれど・・・」



リベラ・ロリータさん(騎士服)
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